第2話

しばらく洞窟(?)を探索した。


広さ的には教室ぐらいみたいだ。高さは、身長165cmの俺が立って、少しだけ余裕があるぐらいだ。


そこら中に、拳より一回りデカいぐらいの石が転がっていた。


そして、薄暗いが、真っ暗で何も見えないと言うほどじゃない。理由は、俺の周りを囲う壁のある1箇所に、匍匐前進すればギリギリ通れるぐらいの穴があり、そこから光が漏れているからだ。


「行くしかないか…」


他に道はない。俺は覚悟を決めた。


鞄を先に穴に入れて、押しながら、匍匐前進で進む。

2mほど進むと、頭が出た。なんとかはい出て、立ち上がる。


「……え?」


俺の前にはレンガの壁があった。後ろも、今出てきた穴以外は同じ壁で出来ている。

左右には、幅2m程の道が続いていた。

そこは通路のようだった。


「ゲームのダンジョンみたいだな」


《ダンジョン:名称 未決定 への侵入を確認……個体名:春名怜にステータスを付与します》


「は?」


急に声が聞こえた。

それにダンジョンとかステータスとか...幻聴じゃないよな?


《個体名:春名怜に『最初の侵入者』を付与します》


まただ。これは絶対幻聴じゃない。確かに聞こえてる…と思う。俺の頭がおかしくなってなければ。

などと考えていると、いきなり、目の前に半透明の画面が現れた。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ステータス】

個体名:春名怜

Lv:1

HP:10/10

MP:10/10

筋力:1

防御:1

俊敏:1

技量:1

知力:1

精神:1


【スキル】

《ユニーク》

『最初の侵入者』

《コモン》


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




「え?」


そこには、ゲームや漫画に良く出てくるような能力値や、「スキル」とやらが書かれていた。

目の高さの、30cm程先に浮かんでいる。


「なんだこれ…」


戸惑いながらも、なんとなく画面に触れてみる。が、手はすり抜ける。だが、【スキル】の欄の『最初の侵入者』とある所に触れてみると、パソコンで新しいウィンドウを開いた時みたいに、もう1つ画面が出てきた。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『最初の侵入者』

最初にダンジョンに侵入した者に与えられるスキル

レベルアップ時の能力の上昇値が大幅に上がる

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



ほんとにゲームみたいだ。まさか、世界にダンジョンが現れて、ゲームみたいなシステムが出来たっていうのか?


俺は、こんな意味が分からない事態になっても、ワクワクして、興奮が抑えられなかった。



くだらない日常が終わって、これから、非日常が日常になるのかもしれない。

俺が「特別」になることが、できるのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る