現代に現れたダンジョンで、最強を目指す

腋兄

始まり

第1話

つまらない日々に辟易していた。


毎日学校に通い、面白くもない授業を受け、大して仲が良くもない友達と話をする。

熱中できるような趣味もない。

それが普通なのかも、とは思っていても、自分が普通だとは認めたくないという気持ちもあって、でも、自分が何をしたいのか、何をやるべきなのかが分からなかった。


俺、春名怜はるなれいの中学生活は、ただ時間が過ぎていくだけの日々だった。

今日も、学校へ向かうバスに乗るために、最寄りのバス停へ向かっていた。



その時、いきなりそれは起こった。



地面が大きく揺れだしたのだ。

これまでにも地震は体験したことがあるけれど、これほどのものは初めてだった。これが震度7とかなのだろうか?


俺は周りの建物から離れて、できるだけ道路の真ん中へ行こうと、何とか、地面を這って移動した。

そのまま地面に伏せってじっと耐えていると、俺の5メートル程先の地面が、割れているのが見えた!

その割れ目はどんどんと広がり、俺の方まで迫ってくる。

何故か、その割れ目は、底が見えないほどに深く、暗かった。

意味が分からない状況だったが、俺は逃げなければいけないことだけは分かった。


「いやだ!まだ彼女も出来たことが無いのに、死にたくない!」


叫びながら、なんとか逃れようとするが、広がる割れ目に足下まで追いつかれてしまった。


「うわあああああああぁぁぁぁああぁあ!!」


俺は、そのまま深い割れ目へと落ちていった……











「う、うぅ」


体中に鈍い痛みを感じながら、ゆっくりと重たい瞼を上げる。

暗くてよく見えないが、俺は周りを岩肌に囲まれてるようだった。

地面から起き上がってみると、手にはゴツゴツした感触がある。


なんで生きてるんだ?

俺は、確か、地震のせいでできた断層?に落ちたはずだ。かなりの間落下してたと思う。

それにここはどこだ?洞窟?

意味が分からない。生きて帰れるんだろうか。


そのまま少しの間呆然としていたが、とりあえず、まずは状況の確認をしよう、と思った。


体は、至る所がズキズキと痛むが、特に骨折とかはしてないみたいだし、血も流れてはいない。

ズボンのポケットを探ると、入れていたスマホがバキバキに割れて、壊れていた。


周りを手探りで探ると、すぐ側に手提げカバンがあった。いつも学校に持っていってるやつだ。落ちてくるときにも、握ってたみたいだ。

鞄のチャックを開けると、中はぐちゃぐちゃにはなっていたが、500mLペットボトルの水や、弁当、財布、教科書など、いつもの物が入っていた。


食料があるから、少しの間なら凌げるが、長くはもたない。

でも、ここがどこなのかも分からない。俺は地上に戻って、家に帰れるんだろうか。

このままここで、飢えて死ぬんだろうか。

そもそもなんでこんなことになったんだ。

今日も普通に学校に行くはずだったのに。


そこまで考えて、これは、いつも望んでた非日常だな、と気づいた。

そう思うと、こんな事態でもこんなことを考える自分が可笑しく思えて、少しだけ、恐怖や、絶望といった感情が和らいだ。


「このまま何もせず死ぬのはいやだ」


俺は、ここから脱出する術がないか、探してみることにした。











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