03_パプリカが大嫌い
新宿西ゲートを無事、通り抜けることに成功した。一応、あの自衛官に歌舞伎町内での出来事は話したが、助手席の下で毛布に隠れる女の子のことは話さなかった。私はとりあえず、自動運転のまま青梅通りを西にまっすぐ進み、営業所へ向かった。
「もう、でてきても大丈夫だよ。」
助けた女の子はすぐさま、毛布をはねあげ窓に飛びついた。口をまん丸く開け、目を光らせる姿は幼さと純心さを物語っていた。聞きたいことはたくさんあったが今はそっとしておこう。
「おじさん、あれ何?」
彼女は信号機を指さし言った。私は驚きを隠せず答える。
「学校で習わなかった?信号機だよ。まだ、自動運転が発達していない頃、交通を効率化するために使われていたんだ。赤が停止、黄色が進んでも良い、青が進めを示して、あの3つの穴が点灯していたんだ。」
「へ~。でも、あの町みたいにもっとキラキラしてた方がかわいいよね?」
あの町...恐らく歌舞伎町のことだろう。キラキラしていた方が可愛いか...子供らしい発想だ。
地下の事業所(旧丸ノ内線 南阿佐ヶ谷駅)
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ミックスワールド 後左衛 春散 @hikariatarashi
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