第35話 原作者、戸惑う。
ダンジョンを更に奥へと進む。
「そういえば、なんて呼んだらいい?」
ちょっと今更すぎるけど、ファルルの呼び方考えてなかった。
「好きに呼んでいいわよ、それより暗黒バナナは色々な薬品の材料になるから沢山確保したいわ! 葉も実も両方欲しいの!」
あれぇ? そんな設定あったっけ?
この島自体が小説版じゃ無い部分だから、その辺曖昧だなぁ。
「黒いバナナでどんな薬品が作れるの?」
「戦闘用のバフとデバフの薬品が作れるわよ」
バフ、デバフ? そんなアイテムあったっけ?
「装身香はその場に居る味方の攻撃と防御にバフ、怠惰香は逆に敵にデバフね」
「敵味方を選べるの?」
「魔道具の一種だからね」
あぁ、拠点ボーナスか!
ファルルが居る拠点は味方にプラス、敵にマイナスの拠点ボーナスが入るんだった。
なるほど、あの効果がリアルになると、こうなるんだ!
「むぅ? なんか来るむぅ」
ココアが反応した。
って事は強敵か?
最近は強い相手じゃ無いと無視して眠り続けるからなぁ、この子。
「ちょっと迫力あり過ぎじゃ無い?」
徐々に近づいて来るドラゴンを見たフィーがそう俺に問いかける。
「え、あぁ、うん、俺もそう思った」
明らかにサイズ感がおかしい……。
『アナライズ』
【カイザードラゴン】
な、なんでコイツがここに居るんだよ!
「マズイ! もう逃げるのも難しい! 迎撃するぞ!」
塊肉をココアに渡す。
「「「「はい!」」」」
「ハムッ!むむぅ!」
「ファルル! モッチーに気付け薬飲ませて! 飲ませたら退避! フィーはそれをアイツの目に向かって特攻! その後はアンデッド召喚して足止めして!」
「了解よ!」
「分かったわ!」
これもすっかり解析班が見つけた隠しテク。
モッチーに気付け薬飲ませると、戦闘中に『眩暈』の状態異常攻撃ができるようになる。
気付け薬の効果で相手の目がツーンとなるって言われていた。
「サクヤは収束で最高出力で翼を狙って、動き止まったら接近戦に!」
「任せろ!」
空中でホバリングされるとこっちが一方的にやられる事になる。
どう見てもあの翼で物理的に飛んでると思えないが、翼部分にドラゴンが飛ぶ為の何かがあるのは間違いない。
なので、翼破壊は必須だ。
「ゴマちゃんは顔狙いで冷気系の魔法お願い!」
「うむ」
低レベルでも弱点属性の冷気なら少しはダメージあるはず。
それを顔に当てていれば運が良ければ怯む。
「ココアは全力で頑張って!」
「任せるむぅ!」
この子は好きなようにやらせた方が強い。
「魔眼ちゃんは死なないように逃げ回って!」
「はい!」
この子はとりあえず生き残って邪眼兵に進化したらラッキーって思ってる。
扱いがモンスターだけに、ちゃんと存在進化も用意されている。
生き残って進化する事なんて普通にプレイしてたらまず見ないけど。
さて、俺はマジックシールドと回復の腕輪でサポートに徹しないとな。
改めて見ると火力が足りないな。
雑魚相手には余裕だけど、こういうボス級が出てくると、突破力に欠ける。
しかし、なぜこんな序盤にカイザードラゴンがいるんだ?
ドラゴンの次はエルダーで、その上がカイザーだ。
このダンジョンのボスモンスターがカイザーなはずなのに、これが出て来るって事はボスはエンシェントドラゴンって事になる。
なんだろう? なんか変なフラグ踏んだかなぁ?
…
…
…
難易度調整か?
この世界がクリア後にしか出てこない『エキスパンドモード』なのか?
エキスパンドモードは、最初は全然難易度が高くない。
だがこちらが戦力を整えて強化していくと、容赦なく難易度が跳ね上がる。
魔眼兵とファルルという、本来なら仲間にならないはずのヒロインが仲間になってるせいで難易度が上がったのか……。
そう考えるのがしっくりくるな。
本当、この世界は悪意に満ちてるな!
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
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