第31話 原作者、反撃する。
俺たちは敵の動いていない二人に向かって移動する。
敵は一度散開した状態から俺たちが戦ってた場所に向かって動いている。
そのルートに被らないように気をつけながら、二人に迫る。
ほぼ間違いなくこいつらが司令塔だ。
おそらく、指示もここが中心に出しているはずだ。
「やっぱりな」
「どうしたの?」
「あいつら、俺たちが山の出口側に向かって脱出してると予想して、そっち側を包囲出来るように動きだした」
「そりゃ、なるだけ戦わないように逃げていた集団がいきなり反転して襲ってくるとは思わないからのう」
「人数的にも有利だしね。
俺に言わせれば、一組各個撃破出来た時点で状況変わったんだけどね」
戦力てのは人数の二乗に比例するって理論がある。
同じ攻撃力を持つもの同士ならば、二人対三人の戦力差は『二対三』ではなく、『四対九』という理論だ。
それでいけば、二十人の時は四百あった戦力は二百八十九。
三分のニ程度に戦力が落ちている。
だが、これを実感出来る人間は少ない。
ましてやコッチに超弩級な戦力があるなんて、思ってもいないだろう。
この思い込みの差をしっかり利用させてもらう。
「宮本武蔵は言いました。 一対一を百回繰り返せば相手が百人でも勝てるって」
二百だったかな?
「宮本武蔵って誰?」
フィーの素朴な質問だ。
「御伽話の主人公さ」
少なくてもこっち世界には存在してない人だしね。
「行け! ココア!」
相手の姿が見えた瞬間そう叫んだ。
「ムムムムッ!」
ココアがダッシュする。
その後ろからモッチーが付いていく。
サクヤの魔法の射程距離に入ったところで光魔法を解き放つ。
「あ、一人は生かしておいて! 情報収集したい」
明らかにボスって奴は生かしておきた……。
「え?」
あ、うん、隣のやつでも良いや。
偶然にもココアが体当たりしてバランスを崩したボスらしき相手が前屈みになり、綺麗にサクヤの光魔法で脳天を貫かれた。
クリティカルヒットって奴だ。
「すまん」
「良いよ、隣の奴を生け取りにしよう」
「お願いですー何でもしますー殺さないでー」
なんだ? こんなキャラの設定してないぞ?
でも、このフレーズどこかで聞き覚えあるな。
あ、SLGパートで雑魚キャラがやられる時のいくつかある断末魔のセリフのひとつだ。
って事はモブキャラか?
モブキャラをパーティに入れるなんて出来なかったはずだよな。
あーでも、裏切らせて同士討ちさせるアイテムあったな。
てことは、裏切るって行動はあり得るのか。
うーん、危険な気もするけど、俺の全く知らない展開への好奇心が止められないな。
「よし! 何でもするなら、今いる組織裏切って俺の味方になれ! そうしたら殺さない」
「良いのか? どう考えても殺してしまう方が安全じゃぞ?」
「それもチートで何か分かったの?」
「そうじゃ無いんだけど、殺してしまうのは勿体無いかなって思って。
魔眼持ちキャラが仲間になるとか想定の範囲外すぎるし。
正直どうなるか好奇心が抑えきれない」
「好奇心はゴブリンに食われるって格言知らぬか?」
こっちにもそういう類の格言あるんだな。
「なんか闇魔法でいい感じに出来るの無い?」
「隷属系か?」
「うん」
「ふむ、逃げ道があるので絶対ではないが、一応あるには有る」
「それかけといてくれない?」
「まぁ、良いが、指定した相手に危害を加えないのと、嘘を言うと身体に激痛が走るというやつをかけておくぞ」
「うん、ありがとう」
なんかどんどんメンバー増えていくな。
でも、この後SLGパートが本当にあった時の事考えたら悪く無いか。
【後書き】
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この作品はカクヨムコン参加作品です。
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