第30話 原作者、戦う
「うーん、逃げきれないかもなぁ」
オシロスコープで捉えた配置を周りに説明しながら、移動している。
相手が三人の小グループになって陣形を広くしていっている。
中央の二人組がおそらくリーダーで、右と左に三組づつ。
なんとか距離を取るように移動しているけど、一番右端との距離がだんだん詰まって来ている。
「相手がこちらを包囲する前に倒せそうか?」
見つかってから、相手がここに集まりきる前に倒してしまえば逆にこっちが有利になる。
「不意打ちをかませば、なんとかなると思うけど、どの魔眼か分からないから賭けになるな」
「どんな作戦じゃ?」
「モッチーに頑張ってもらう」
古典的な非常に簡単な作戦だ。
モッチーに隠れてもらって相手をやり過ごして後ろから不意打ちしてもらう。
正面はココアとサクヤで対応すれば、後ろに気をつける余裕なんてないだろうから割とあっさり倒せそう。
モッチーを見つけることが出来る魔眼はサーモグラフィーか?
モッチーってアンデッドだから大丈夫か。
魔物を直接見れるやつは雑魚キャラ用のやつだから、精鋭っぽいコイツらはもっと強い戦闘用のやつだろう。
暗視は隠れてればいけるな。
……考えてみたらモッチー見つけるような魔眼ってほとんど無いな。
見つけるようなものよりも、戦闘に有利になるような効果にするもんな普通。
うん、決めた。
「成功率は高いだろうから、フィー! モッチーの制御お願い」
「ええ、任せておいて」
モッチーが、ふよふよと浮かんで木の茂みの中に隠れる。
俺たちはそこから数メートル移動したところで振り返り、迎撃の準備をする。
「ココア!」
塊肉を渡す。
「ハムッ! 美味しいむぅ!」
パワー充填、元気百倍だ!
ココアの後ろに控えるように他のメンバーが移動する。
ココアの視力は良くないと言っても、身体能力の高い“他の獣人と比べて”であって、特別悪いわけじゃない。
そして、夜目がきく。
つくづく、接近戦でのココアの強者っぷりが凄いな。
オシロスコープでタイミングを見計らい奴らの目の前のマジックシールドを展開する。
ゴンッ!
ほぼ透明に近いシールドが、いきなり暗闇に現れるんだ。
まず回避できない。
「サンドマン」
フィーが、三体召喚して相手に一体づつけしかける。
「ムムムムッ!」
一瞬サンドマンに気を取られた相手を見逃すほどココアは甘くない。
獣化状態で更に小さくなって、四つ足で突進する。
その攻撃に合わせてモッチーが背後から襲いかかる。
うん、事情を知らない人が見たら、小さいマスコットキャラが戯れてるようにしか見えないな。
呑気に戦闘を眺めていたら、両サイドを盾にして中央の一人が強引に俺に迫ってきた。
「うおっ!」
飛び込むように襲いかかってきた敵と一緒に倒れ込んだ。
そのままお互い動かなくなる。
「あっぶねぇ」
俺の手には転移者のオッサンから奪ったナイフがあった。
咄嗟に取り出して、運良く相手に刺さった。
そして、あのオッサンのナイフだけど……。
刺さった瞬間に返し状の刃が刀身から何本も出てきて相手を傷つけるエグい仕様の魔剣だった。
「なんだ、援護いらなかったな」
「ん?」
サクヤが光魔法で俺に襲いかかって来てた奴のコメカミを貫いていた。
あ、ここにもエグい人居たわ。
このナイフも元々は王家の品だろうし、王家に問題あるのか?
「このまま逃げるのか?」
「いーや」
俺は悪い笑顔でサクヤを見つめる。
「そうか」
サクヤも楽しそうに笑う。
「じゃあ、行くか」
オシロスコープで相手の場所は分かっている。
その中で動いていない二人組に向かう事にした。
【後書き】
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