第26話 原作者、説得する。

 街の裏側、いわゆるスラム街と呼ばれる場所との境界線のような路地がある。

 小さい頃にここから向こうは行っちゃいけません! なんて言われるような道。

 その路地にひっそりと佇む店が、魔道具屋『黒い炎』


「こんにちわ」

 カランコロンって、ドアベルが雰囲気出てるな。


「誰じゃ!」

 このひと言で気づいた人は気づいたと思うけど、このヒロインは『ノジャロリ』。


 身長は小さくて140cmも無い。


 毛量が多く、地面スレスレの長いプラチナブロンドを先だけで結んでいるせいで、後ろ姿がアザラシのぬいぐるみを被っているように見えた。


 更に本人が闇魔法と火魔法の魔力が大きすぎて抑えきれないため、髪の隙間から魔力が溢れてしまい、どうにもそれが点に見えてしまう。


 一言で言うと、ゴマフアザラシっぽい。


 その為、ファンの間ではゴマちゃんと呼ばれていた。


 コミカライズする時にどんなヒロインを増やすか聞かれたので、思いっきり趣味に走った奴をご自由にどうぞって担当に言ったら、この子が出来てきた。


 ゴーマリアなんて名前にしてるところから、ファンの呼び名も含めて担当の思い通りなキャラになった模様。


「説明とか苦手なんで、単刀直入に言います。

 この店畳んで、俺と一緒に来てください」


「うーむ、見返りに何を寄越す?」


「思う存分魔法を使える環境でどうです?」

 ゴマちゃんは、ゴマちゃんになりたくてゴマちゃんな状態になってる分けじゃない。


 魔力が膨大すぎて、抑えきれないだけ。

 かといって、発散するには戦略兵器並みの魔法をぶっ放さないとならない。


 ちなみにゲームの時はまさにMAP兵器要員だった。


 魔力の調節が下手だから、通常攻撃で魔法使うと初期魔法くらいしか使えないキャラなのに、広範囲型のMAP兵器を三種類も持っているという。


 雑魚戦掃討特化型キャラだった。


「話を聞こうかのう」

「山賊がやたら住み着いてる山があるんです。

 そこ殲滅しませんか?」


 まさに、雑魚の掃討戦にうってつけの戦場が用意されている。


 天空城が無かったと知った時、すぐに思いついたのが彼女……いや思い出したの方が正確かな、正直言ってコミカライズオリジナルキャラとか、完全に忘れてたもんな。


 幸いゲームでは割と好んで使ってたから、どういう性格で、どういう特徴があるかは理解してるけど。


 で、その特徴の一つが、彼女は常に魔法を思う存分使いたいと思ってるって事。


 なので、山賊の規模、なぜそんなに山賊がいるのかなどを事細かに説明する。

 もちろん俺のスキルも説明してどこに居るかなどは俺が探り出せる事も話した。


 じゃないと、一人で勝手に行くとか言われても困るしね。


「面白そうじゃの、お主の話に乗っても良いが……その山賊を殲滅した後はどうするつもりじゃ?」


 うーん、どうしようかな……この話だけで乗ってくると思ってたんだけどな……。


「うーん、うーん、あ! 北方の巨人倒しに行きますか?」


 フエン村が出来る原因にもなった北方の巨人。

 あれなら、思う存分魔法撃てるでだろうし。


「よし、面白そうじゃ! しばらくこの店は閉めてお主に付き合ってやるぞ」


「そんな簡単にこの店閉めてしまっていいの?」

 フィーの疑問もわかる。

「どうせ客も来ないし、お金に困ってないから道楽で開いてるような店だから大丈夫だよ」


「自分で言う分には構わぬが、他人に言われると腹が立つのう」


「あ、ごめん! 甘いお菓子買うから許して!」

「それなら、まぁ、許さんでもない」


 ゴマちゃんの特徴その二、甘いものに目がない。


「むぅ?美味しいものの話してたむ?」

「ココアの分も買うから大丈夫だよ」


 ん? なんか裾を引かれた。

 フィーがじっとこっちを見てる。


「ん? あ、あぁ! もちろんみんなの分買うよ! 美味しいお菓子のお店知ってるんだ!」

 俺、原作者だからね!


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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