第20話 原作者、無双を眺める。

 広間に向かって、勢いよくドアを開けた。


「なんだ! てめぇら……グボァッ!」

 そんなセリフなんかを聞いてるほど俺たちは優しく無い。

 あ、訂正、ココアはそういうお約束を知らない。


 俺たちっていうより、ココアだけだもんな飛び出したの。

 俺が飛び出しても足手纏いにしかならないしな。


 ココアが一撃を入れて悶絶してる奴をモッチーがトドメ刺していく。


 みるみる数が減っていく。


「う、うわぁぁぁ……グゥグゥグゥ」

 逃げようとした相手はフィーがサンドマンで眠らせてしまう。


 うん、隙がない。


 十倍の人数が居ても勝てるんじゃないだろうか?


「あ、これ覚えておいて」

 サクヤに『プリズム』のスキルブックを渡す。


「これは何?」

「光魔法に『拡散』『収束』『屈折』の属性与えるスキル。

『拡散』は単体しか使えない光魔法を範囲に変える。

『収束』は単純に威力を上げるけど拡散と併用出来ない。

『屈折』は直線にしか放てない光を曲げられる。

 光魔法使えるでしょ」


「なぜ知ってる?」

「そういうチートだから」

「そ、そうか」


 チートって概念あるの便利だな。


「さてと、折角だし物色してくかな」

 そう言って、まずは食糧庫に行く。


「ココア、どうせ持って帰れないから、好きなだけ食べて良いぞ」

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ココアの雄叫び初めて聞いた!

 さながらバーサーカー!

 相当食べてたけど、あれでもココア的には遠慮してたんだな。

 不憫だ。


 ……ココアの為にたまに山賊殲滅して、腹一杯食わせてやろうかな。

 ココアが満足するだけの食料買ってたら、破産しそうだしな。


「これからどうするの?」

「どうしようかな?」

 宝物庫で価値があって嵩張らないものを物色しながら、フィーに返事する。


「サクヤってレベルいくつ?」

「私はこれでも王族だぞ! レベル上げなんてした事はない!」


 あれ?そんな設定だったっけ?

 うーん、俺の記憶違いかな?


「じゃあ、レベル上げするのにダンジョン潜ろうか」


 スタンピードは止めた。

 序盤のヒロインは全員仲間になった。


 慌てて天空城取りに行かなくても余裕でしょ。


 先にイハトのダンジョン攻略して、サクヤのレベルを上げてしまおう。

 

 イハトのダンジョンは攻略報酬豪華だしね。


 イハトまで戻って来た。


 ここを管理する国が二つあるせいか、ギルドも西ギルドと東ギルドに分かれている。

 念の為隣国の方のギルドでサクヤの冒険者登録をしておく。


「まずは小さい方のダンジョン攻略しちゃおうか」

「構わないが、何かあるのか?」


「うん、結構大きめのマジックバッグと賢者の石のカケラ」

「賢者の欠片は誰が使うんだ?」


「構わないなら俺が使いたいけど」

「私は構わないわよ、サンドマン召喚できる様になったしモッチーもいるし」

「私もプリズムのスキルブック貰ったしな! 構わない」

「むぅ? 食べられないならいらないむぅ」


 ココアなら食べれそうな気もしないでもないが……。


「じゃあ、遠慮なく使わせてもらうね」

 賢者の石のカケラは単純にステータスアップアイテムだ。

 能力値じゃなくて、魔法威力がダイレクトに上がるタイプだから、魔法に必要な知性系の能力が既に高くてそっちで修正入る人より、あまり魔法が得意じゃない人の方が効果が高い。


 その説明をしてると

「それって何回も取れないの?」

 と、フィーが質問して来た。


「あ、初回報酬の話してなかったっけ?」

「ええ、聞いてないわ」


「ダンジョンは初回クリアとそれ以降のクリアで報酬が変わるんだよ。

 だいたい最初が一番良くてそれ以降はそこまで価値がある物じゃなくなる」


「それってメンバーが変わってもダメなのか?」

 サクヤもこの話に興味持ったみたいだ


「一人でもクリア経験者がいたら初回報酬は出ないね。

 ちなみに隠し扉の奥にあるアイテムも同じ仕様」


 そりゃそういう設定にするよね。

 じゃないと誰でも際限なく強くなる可能性あるから、シナリオ破綻するよって感想文書かれそうだしね。


「じゃあ、一つ目のダンジョン向かおうか」

「ええ」

「分かった」

「zzz」


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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