第18話 原作者、ヒロイン救出する。
草むらを掻き分け、山道を登り、元の砦跡までやってきた。
最前線だった辺りのせいで、こういう場所はあちこちにある。
山賊の根城としてピッタリなんで、この辺は山賊の出現率高め。
「あれだね」
指を指しながら、フィーと確認する。
「中の様子はあなたのチートで分からないの?」
「流石に建物の中まではわからないよ」
「サンドマンって何体まで召喚出来る?」
「一瞬で良いなら百体でも出せるわ、でもある程度の時間でって言うなら五体、ずっと出しっぱなしにするなら二体ってところかしら」
「結構出せるんだね」
「スケルトンなら、もっと出せるわよ……弱いけど」
だいたい作戦は決まった。
もう一つだけ確認しないといけない事を確認したら作戦実行だ。
「捕らえた山賊どうする? 殺してしまう方が確実だけど」
そう、この世界はリアルだ。
山賊も人なのだ。
「え? 山賊でしょ? 生かしておく理由なんてあるの?」
うん、そうだった。
そういう設定だったよねこの世界。
山賊という名前のモンスター扱いがこの世界でのデフォだった。
「じゃあ、サンドマン二体出して、あいつら眠らせてしまおうか?」
砦の入り口で見張りをしている山賊二人……いや二体を指差してフィーに提案する。
「分かったわ、眠らせ良いのね。
これの為にわざわざサンドマンを確保させたのね。
貴方のチートってすごいわね」
……
……
……
「えーっと、ただの偶然」
うん、なんかごめん。
今、色々失敗した事を絶賛リカバリー中。
「そうなの? まるでパズルのピースのようにしっかりハマった感じがしたわよ」
「今回は本当に偶々なんだよね」
「分かったわ、そういう事にしておくわ」
俺の評価が上がるのは嬉しいけど、本人がついていけない事にだけはならないで欲しいな。
サンドマンがわずかにサラサラと音を立てるが、虫に声で山賊達は気づいていない。
そおっと近づき眠りの砂で眠らせる。
あとはモッチーがHPドレインして、そのまま永久に眠ってもらう。
「ココア起きて、起きて、ここからは砦に潜入するから自分で歩いて」
デカい塊肉をいくつか渡しながら、ココアを起こす。
流石におんぶして潜入は無理がある。
「モグ、分かった、モギュ、むぅ、ハムッ!」
ココアに食べるか喋るかどっちかにしろなんて可哀想な事言えない。
砦といっても、ここは山あいの監視塔に近い小さい砦だから、入れば中央に広間があってそこから宿泊施設に繋がるドアがあるだけの簡素な作りだ。
広間には見張りの交代なのか、六人の山賊がいる。
「フィー」
俺が小声で促すと、無言で頷いて六体のサンドマンを召喚し素早く眠りの砂を撒いた。
あっという間に二度と動かない物体に成り果てた。
「ココア、女の人の声聞こえるドア分からないか?」
「むぅ?」
ココアが目を瞑って耳をすます。
「あのドアから女の人と男の人の声がするむ」
そのドアにそっと近づくと、そっとほんのわずかだけドアを開ける。
空間さえ繋がってしまえば、オシロスコープが使える。
「ビンゴ!」
「ビンゴ?」
「あ、当たったって事、サンドマン中に三体入れてみんな寝かせちゃって」
「分かったわ」
中に入ると、下半身裸の男二人とかろうじて衣服が残っている女の子一人が居た。
「これは……ギリギリセーフだったかな?」
「ええ、大丈夫だと思うわ、今は貴方に視姦されてるけど」
慌ててドアの方に目を逸らす。
「いや、そういうつもりじゃ……」
「男の方は倒したわよ、この子は起こすの?」
「あ、その前に何か着るものを……」
「当たり前じゃない、もう大事なところは隠したわよ」
「そっかぁ、じゃあ起こそうか」
ちょっと残念だったなんて事は断じてない!
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。
よろしくお願いします。
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