第17話 原作者、奔走する。

「よし! フィー、サンドマン呼べるようになったよね?」

「ええ、大丈夫よ。 ちゃんと呼べるわ」


 これで、もうここには用がないな。

「大至急で帰るから、悪いけど休憩無しで馬車に乗るよ」

「分かったわ」

「むぅ? クゥ、クゥ、クゥ」


 ココアは既に寝息をたてている。

 疲れたんだな。


 俺たちは大至急で馬車に乗り、来た道を戻る。


「うーん、グダグダだなぁ……もっとスムーズにいけると思ってたんだけどなぁ」

「少し説明してもらってもいい?」

「あ、うん良いよ」


「あなたの持ってるチートってどういったものなの?」

「そっか、ちょっと簡単に説明するね」


「お願い」


「俺のチートは職業と世界知識に分かれるんだけど、職業の方は今は関係ないから一旦置いておくね。

 世界知識の方なんだけど、この世界には元になった世界があって、それを世界Aってすると別のちょっと中身が違う世界Bってのも存在するんだ。

 俺は両方の知識を持っていて、ずっと世界Aだと思ってたらどうやら世界Bだったらしいって事が分かったんだよね」


「ちょっと待って、一回整理させて。

 この世界の事を知っているのがあなたのチートって事で良いのね?」

「そうだね」


「それが二つあるのね」

「うん」


「あなたは一つ目だと思っていたら、ここは二つ目だったのね?」

「そう」


「信じがたい事だけど、この話を信じないと話が進まなそうね」

 フィーが頭が良くて冷静な人で助かる。


「そうだね、で、その違いの一つにヒロインの立場が違うのがあって。

 最初の世界では魔法戦士の冒険者でギルドの仕事をする時に出会う。

 その仕事自体はずっと先の話だから気にしてなかった。

 でも、二つ目の世界では魔法騎士の王女様で、かなり早い段階で出会うんだ」


「それで、慌てて会いに行こうとしてるのね」


「そうなんだけど、単純に会うっていうか、山賊から救出する形で会うんだよね」

「うーん? それって会えなかったらどうなるの?」


「多分、山賊に連れ去られる」

「それは、あまりよろしくないんじゃない?」


「うん、間に合わなかったら救出しないとって思ってる」

「山賊って何人くらい居るの?」


「二十人くらいかな」

「彼らの隠れ家の場所は分かるの?」


「それは大丈夫」

「私たちで勝てそう?」


「一人一人は大した事無いから、全員一斉に襲いかかってくるみたいな状態にならなければ、問題ないと思う」

「じゃあ、作戦考えましょ」

 当たり前のように協力してくれる。

 フィーいい子すぎる。


現場に到着した。


「間に合ったみたい?」

「うーん、ちょっと待って『アナライズ』」


「それもチート?」

「そうだね、どちらかというとこっちが本命かな。

全然使ってないけど」


「使ってなくても充分凄いんだから、それも使えばもっと凄くなるのね」

フィーって褒め上手だな。

「いやーそれほどでもぉ、あ、ここの草むらが折られたって表現が出るのがあるな」


「折られた?」

「うん、アナライズで自然な状態じゃ無い部分を調べていたんだ。

その辺は、『折られた草』や『折られた枝』って出るから多分その辺で人が争ったんじゃ無いかって思う」


「連れ去られたって事?」

「うん、その可能性は高いね」


「山賊の隠れ家に行くのね」

「そうしようか『オシロスコープ』ん、あっちだね」


「それは?」

「コレもアナライズと同じチートスキルだね。

もの凄い強力な索敵スキルって思ってもらえればいいよ。

っていうか俺のアナライザーって職業はこの二つしかスキル覚えないんだよね。

その分強力なんだよね」


「凄いのね」


「その分戦闘は全然ダメだけどね」

「それでも凄いわ」

「そお?そっかぁ」


フィーは褒め上手だなぁ。

機嫌良く山賊の隠れ家に向かえる。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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