第15話 原作者、様子を見に行く。
フィーと合流する前から気になっていたヤツが、ちゃんと行われるのか様子を見に行くことにした。
「もう随分馬車に乗ってるけど、どこに向かってるの?」
「隣の国のイオニアだね」
「ふーん」
会話が続かない。
ココアは相変わらず寝てるし。
フィーはそのココアをモフルのに夢中だし。
しょうがない、俺もボーッてしてよう。
「ところで、何しに隣国まで行くの?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
国の境界線を超えた頃にフィーがこんな質問をしてきた。
「フィーが起こす予定だったスタンピードって商人が武器を隣国に売れなくなったせいなんだけど、それって戦争が終結したからなんだよね。
それがちゃんと終結してるのか確認したくて」
「よく分からないけど、私に依頼が来てたんだから原因になったことは起こってるんじゃない?」
「あ……」
そっか時間軸を完全に忘れてた。
「もしかして、勘違いしてた?」
「うん……でもまぁ、せっかくだからこのままイオニアのダンジョン一箇所攻略しちゃおうか」
「何か良いものでもあるの?」
「ダンジョンのボスキャラがサンドマンっていうアンデッドなんだよね。
死霊術って倒したことのあるアンデッド召喚できるようになるでしょ」
「ええ、なるわよ。
サンドマンって余り聞いたこと無いモンスターね」
そりゃあね、ご都合主義でここにだけ出したモンスターだし。
「眠りの砂っていう特殊攻撃持ってるから便利だよ」
「へー」
「あと、ついでにフィーって名前で冒険者登録しちゃおう。
見た目も元の姿に戻してね」
「この姿じゃ嫌?」
フィーが自分の痣だらけの腕を見せてくる。
「嫌とかじゃなく、商人たちが追跡出来なくする為に見た目は変えた方が良いからさ。
それに今は仲間が多いから、フィーがどんなに綺麗でも俺……は無理だからココアが守ってくれるよ」
「何それ、情けないわね」
そう言って楽しそうに笑う。
「だって俺は弱いしね」
そう言って俺も笑った。
フィーが痣だらけの姿をとるようになったのは、綺麗すぎたからだ。
自分を不逞な輩から守るため、さわれば感染する病気だと言っていた。
「ココアは俺のボディガードから、フィーのボディガードに転職だな」
「ふふふ、ありがとう」
「むう? お仕事む? 美味しいものくれたら頑張るむぅ」
「その時はお願いね、ココアちゃん」
「むぅ、頑張るむぅ……クークー」
こんなココアでもやる時はやる子だ。
そんなこんなで『イオニア』に到着した。
国の名前と一緒なこの国の首都だ、
「まずは冒険者ギルドに行って、別人になろうか」
「そうね、変なのに狙われたく無いわ」
本編でもヒロインになってから冒険者ギルドで別人になるってくだりあるから、登録しちゃえば大丈夫でしょ。
「その肌も薬品で綺麗に戻してね」
「ええ、大丈夫よすぐに終わるわ」
特に問題なく登録して、ダンジョンに挑戦する許可もらって、早速向かう。
「ここのダンジョンが許可制だとは思わなかったなぁ」
「チートで分からなかったの?」
「チートも完璧じゃ無いんだよ」
「そうなのね」
目的は変わってしまったが、無駄では無かったからヨシとするか。
【後書き】
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この作品はカクヨムコン参加作品です。
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