第5話 原作者、馬車に乗る
とりあえず、隣の街で冒険者登録をしてしまおう。
隣といっても馬車で丸一日移動してるんだから、すぐに追って来ないだろうし、ここでやれる事は全部やっておいた方が良い!
……気がする。
俺の書いた小説だけど、何もかも俺の思い通りって訳にはいかないんだよなぁ。
リアルな世界となってしまうと、俺が設定しない部分が補完されている。
そこがどうなってるかももっと確認しなきゃだし、俺が持っているのは知識であって力ではない。
この辺が微妙なんだよなぁ。
くっそーこんな事ならもっと盛り盛りにチートつけときゃ良かった!
書いてる時は『最初から最強』とか『実は超強力』とか使わないのが良いんだよとか思って書いてたけど……。
いる。
よー分からん世界に飛ばされて、一歩間違ったら死ぬ環境で、保護どころか追い出されるとか、普通に辛すぎるわ!
愚痴はこれくらいにして、とりあえず冒険者ギルドには登録してしまおう。
本編じゃここで登録してないけど、そこまで変わらないだろう。
物売るにしても楽だし、何かと便利だし、若干形骸化してるけど国の影響を受けない独立した組織だし。
大丈夫だよな……。
ちょっと自信ないけど、根拠のない不安には目を背けておこ。
まずは当初の予定通り天空城発見してしまわねば。
冒険者ギルドで無事登録した後に買い取りのカウンターに並ぶ。
まさか、ライトノベルお馴染みの荒くれに絡まれるイベントとか無いよな?
この状態で絡まれたら、確実にやられるぞ。
「これお願いします」
奪った魔石と魔法書をカウンターに乗せる。
「……どちらも希少品ですが、売ってしまって構わないですか?」
「はい」
どう見ても、俺クラスが持ってて良いアイテムじゃ無いもんな。
さっさと売り逃げしたい。
しばらく待っていると、思ってたより大きい袋を持った受付のお姉さんがやってくる。
「金貨六百枚です。
ご確認ください」
ゴトッという重そうな音と共にカウンターに袋が置かれた。
想像しやすくするのに、金貨一枚で一万円相当って設定した。
つまり目の前には六百万ある。
贅沢せずにひっそりと暮らせば、二年は確実に暮らせる。
所得税とか設定しなくて良かったー。
密かにガッツポーズをして袋を受け取る。
こんな所で中身見せるなんて危険な事したく無いから、確認しないでそのまま受け取った。
「おいおいおい、若造がこんなところで随分と羽振り良いなぁ!」
うわぁ、テンプレ展開あるのかよぉ。
どうやって切り抜けようかな。
「あ、いやこれは……あれ?」
って、誰も周りに居ないや
絡まれてるの俺じゃ無かった。
ラッキー! 今のうちにここから抜け出そう。
宿も取ってないし、このまま馬車に乗ってしまおう。
馬車乗り場への移動中にあった店で水と保存の効く食料を買い込んで、逃げるように目的の街へ移動する。
逃げるように……いや、もう逃げてるなこれは。
直通で行く馬車が無いので、三箇所ほど街を経由する。
そういえば俺、アナライズ全然使って無いや。
すっかり使うの忘れてた。
ま、天空城を発見したら嫌でも使う事になるし、気にしなくて良いか。
楽しみだなぁ。
本編ではチートの無駄使いっていうテーマ持って書いてたけど、当事者だしな!
目いっぱい有効利用するぞ!
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。
よろしくお願いします。
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