第4話 原作者、撃退する。
俺は屋根の上から、四人組に狙いを定める。
とはいえ、戦闘系のスキルは何も持っていないのだから、命中率は知れたもんだ。
だから、威力より拡散力を重視してハジケナッツが入っている。
これなら外してもそれなりに効果を発揮できる。
まず最初はあの女を狙う。
メンバー唯一の遠距離型で、魔法系のスキルを持っている。
詠唱さえ出来なければ無力化出来るので、スマッシュマッシュの弾を使うことにした。
くらえ!
「グォッホ! なにガッハァ! これウオッホ!」
成功だ。
すぐさま、コンブ弾を発射する。
「うわっ!」
脳筋がバランスを崩してその場で転んだ。
「ギャッ!」
おっさんを狙ったつもりだったが外れて金髪に当たった。
まずい! オッサンは盗賊系のスキル持ちで身のこなしが良く、ヌルヌル状態でもうまくバランスを取って周囲を警戒していた。
今のが外れたせいでこっちの場所を特定された!
早い!
弾をクロスボウに装填……!
ダメだ! 間に合わない!
あーもう! 手で投げる! 手で投げる!
クロスボウとか使ってる暇ない!
くらえキノコ弾……あれ? 間違ってコンブ弾だった。
あ、でも滑って箱から落ちたから結果オーライ!
おりゃ! 粘着弾! 粘着弾!
向こうの連中が復帰しそうだ!
間に合わない!
手で投げる! 手で投げる!
粘着……じゃなくてコンブだった!
スマッシュ……粘着か!
今度こそスマッシュ!
あーもうなんでも良いや!
あるだけ片っ端から投げてしまえ!
……
……
……
「ふう……クロスボウ……要らなかったな……」
小説の中で設定した時はいい装備だと思ったんだけどなぁ。
リアルで使ったら、弾装填してる暇無かったや。
使い方も本来の使い方じゃなかったし、これはこれで使える場面もあると思うんだけど。
まぁ、いいか、とりあえず結果オーライだし。
戦利品を確保しなきゃ。
「ムームー!」
なんか言いたげだけど、ありったけ投げた粘着弾のせいで全員喋れない。
喋れない……あ! 鼻も塞がってるから息も出来ない!
やっば! みんな死んじゃうじゃん!
えーっと、なんかないかな?
あ、おっさんの装備に投げナイフあるじゃん。
これなら細身だし空気穴開けるくらいは出来そう。
「おい! 息できるようにしてやるから、暴れるなよ!」
そう言って、おっさんの顔を抑えつける。
「ちょっ! おい! 暴れるなって! 聞こえてるだろ! 息できるようにするだけだって! あ、おい! もう!」
鼻の穴についた粘着弾取ろうとしたら、パニックになったらしく顔を目一杯動かして暴れ出す。
そのせいで結局小鼻の部分をスッパリ切り裂くことになった。
「フグググ!」
「自業自得だからな、もう知らん! 息はできるだろうし」
とりあえず、おっさんの持ってる武器と金の入った袋を回収する。
続いて女の方に近づく。
「見えてたろ? 鼻に切り込み入れられたくなかったら、動くなよ!」
コクコクコクと頷いた後はジッとしていたので、今回はうまく剥がせた。
女の持ってる魔法書らしきものと、金を回収。
脳筋と金髪は息ができなかった時間が長かったせいか既にほとんど動いてない。
金髪の武器と金は回収したが、脳筋の剣がデカすぎる。
うーん……あ! いい事思いついた。
ランドセルサイズの魔道具。
中には動力源としてそこそこデカい魔石が入っている。
売ればそれなりになるだろう。
取り出す方法まで設定していなかったから、ここは脳筋の剣に活躍してもらおう。
「せーの! おりゃぁぁ!」
魔道具の方にも魔法的なセキュリティがあるから、剣がダメになったけど気にしない。
ぶっ壊した魔道具から魔石を取り出す。
この魔道具かなり珍しい設定にしてたから、こいつらめっちゃ怒られるかもなぁ。
俺は戦利品を抱えながらしみじみ思った。
「アイテムボックス持ちの設定にしとけばよかったー!」
重たいし嵩張るし、この街で売ってる余裕ないし。
仕方がないから、金髪の剣は川に捨てて隣の街ギッノ行きの馬車に乗り込んだ。
【後書き】
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この作品はカクヨムコン参加作品です。
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