第3話 原作者、待ち伏せする。

 さて、待ち伏せの場所なんだが、あそこしかないよなぁ。


 俺が本編の方で、ボッコボコにやられた後に打ち捨てられた裏路地。

 ただでさえ狭い路地なのに、箱やら荷物なのか粗大ゴミなのか分からないものが雑多に置いてあって、すれ違うのにも注意しないとぶつかってしまうくらい狭い。


 それに置いてある箱をよじ登れば屋根にも登れる。


 だいぶ後の方になるけど、主人公の俺が敵に追われた時に相手をまく為に設定した路地。

 今回は隠れるようじゃ無く、襲撃するように使うけどね。


 ここまで準備して、そろそろ時間かなぁ。

 本編でも正確に時間決めてた訳じゃ無いけど、そのまま気絶して名前も設定してないちびっ子が主人公の衣服を剥ぎ取ろうとして起きた時には夜明けだったから、割と夕方近い時間帯になってるはず。


 とりあえず、重なっている箱を利用して屋根に登っておく。


 俺が待ち構える場所を決めたら、射出用の弾を作っていく。

 作るっていっても、玉の中に魔石とハジケナッツと各種材料入れるだけなんだけどね。


 ちなみにコンブはコハク亭のおばちゃんに銀貨一枚で刻んでもらった。

 自分でするより絶対ちゃんと刻んでくれるし。


 結構な数の玉も用意できた。

 これを弾として射出する訳だけど、順番を考えておかないとな。


 一応、クロスボウは三本用意した。


 各種類を別々にセットする。

 間違えないようにしないとね。


 あとは待ち伏せするだけだ。


 既に側仕えが渡してきたお金を入れるのに使っていた袋は路地の隅に置いてある。


 あの側仕えは親切心で金を渡したって訳じゃないんだよね。


 魔道具には、特定の物品がどこにあるか探すものがある。

 スマホで自分の家の鍵とか探す機能とかあるじゃん。

 アレみたいなのを魔法的にする魔道具。


 俺が本当に国から出て行った事を確認する為にあのボロい小銭袋を魔道具のサーチ対象に登録してある。


 だから、あの袋を持ってる限り俺がどこに居るか丸わかりって訳なんだよね。


 この国には国全体で探す大型のやつと、街全体を探す中型、半径500mを探す小型が各一個づつある。


 俺以外の転移者達は、あのクソ王子から小型のを貸し与えて貰って、俺を探してるはずだ。

 中型っていっても自動車くらいのサイズあるしね。

 持ち歩けるのはランドセルサイズの小型くらいだし。


 いつになるかは分からないけど、待っていれば確実にあの袋を探知してここに来るはずだ。


 俺は屋根の上でじっとそれを待つことにする。

 太陽がジリジリと照っているが、風があるので思ったより苦痛じゃない。


「本当にここにいるのかぁ?」

「知らねぇよ、この機械がここだって言うんだからいるんだろうよ」

「早く帰ってシャワー浴びたい」

「若いおなごがシャワーとか想像しちまうな!」

「「「おっさんキモい」」」


来た!


 転移者達は


 体つきがガッチリして、見た目で威嚇すれば意見が通ると思っている、いかにも脳筋な男

 目を合わせるだけで、文句言って手を出してきそうな金髪で長髪の男。

 男は自分の言う事を聞くものと信じて疑わないタイプで、夜の飲み屋で働いてそうな女

 品がなく、誰にでも媚びを売って、自分さえ良ければ良いというタイプのおっさん。


 どんな目にあっても読者から可哀想って思われないように設定した相手だけに、俺自身もこいつらを迎撃するのに何も抵抗なく済む。


 俺の金を強奪した所で大した金額じゃない、単純に俺をいびりたい、王子にいい顔したい、そういう理由で追ってきた奴らだ。

 容赦はしない。


 でも、殺しちゃったら呪われるからね、そこだけは気をつけるよ。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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