第2話 原作者、買い出しをする。
さてと、とっととジマーリの街に行って、天空城確保してこないとな。
……あ! 思い出した!
ダイ……俺……なんかまだ他人事に感じるなぁ。
この辺の感覚は慣れていくしか無いか。
この後、王子にけしかけられた転移者達が俺をボコリに来るんだった。
お互い初期レベルだから、たいした事も出来ないけど
四人がかりでボコボコに殴られるのは嫌だな。
しかも、その後お金取られて馬車乗れなくなって、とりあえず逃げるために隣町まで歩くんだよなぁ。
……待てよ……今ならアイテム次第で勝てるんじゃ無いか?
俺の方が弱かっただけで、向こうもまだ全然強くないし。
むしろ、あいつらの持ち物や資金を全部行きがけの駄賃にいただく権利あるよな。
『人の金をむしり取って良いやつは、むしり取られる覚悟のあるやつだけだ』
とか、言ってみるか。
んー、ダサいか。
命だとなんかカッコよく決まるのに、お金だと途端に言い訳に聞こえるな。
まぁ良いや、とりあえず道具屋で使えそうなアイテム調達してくるか。
失敗したら取られる金だし、ここは全額注ぎ込んでしまおう。
とはいえ、元がスローライフからの巻き込まれ物だからなぁ。
あんまり積極的にアイムテムの設定とかしなかったんだよなぁ。
なんか、戦闘に使える設定無かったかな?
悩んでても仕方がない、あんまり時間も無いし、早速買い物に行こう!
ー生活通りー
この辺は生活通りと呼ばれる一般庶民が主に行き来する通りと、冒険者通りという文字通り冒険者メインの店が立ち並ぶ通りが存在する。
とりあえず、俺は生活通りにある乾物屋に向かった。
「おっちゃんちょっと見させて貰うよー」
「おー気になったものあるなら言ってくれ、表に出てないものもあるからな」
「あー、じゃあ『丘コンブ』と『スマッシュマッシュ』と『スライムハニー』ある?」
「丘コンブはあるが、スマッシュマッシュとスライムハニーは扱ってねぇな、薬屋行った方がいいかもしれんぞ」
「分かったー、丘コンブひと束買ってくわぁ」
「銀貨一枚な」
「ちょうどでよろしくー」
「まいどー、またなー」
丘コンブ、その名の通り丘に生えてるコンブだ。
地中の塩分をわずかに吸い取るので干すとほんのりしょっぱい。
出汁もちゃんと出る。
もっとも、出汁文化なんてこの世界には無いけど、それでもコンブ入れれば美味くなるという認識はあるから、湯を沸かす料理にはとりあえず入れるって習慣はある。
まぁ、本編では養殖ウニの餌にしてたけど。
ウニって言っても本物のウニじゃ無くリバーマロンっていう、一応モンスターだけどね。
淡水の川に生息して、たまに氾濫する見た目も味もウニそっくりな奴。
こいつが氾濫すると、現代世界の磯焼けみたいな現象が川や湖で起こる。
餌を食い尽くして中身がスカスカになるのも一緒。
じゃあ、現代世界と同じように餌与えて美味しくいただけるようにしたらどうだ?
と、いう発想から丘コンブを与えたら上手くいった。
って、シナリオだった。
この丘コンブ、コンブだけに刻んで水にひたすとヌルヌルがいっぱい出るんだよなぁ。
多分、現代世界の奴より多いと思う。
一つ目のアイテムはこれでいけるだろ。
「こんちわー『スマッシュマッシュ』と『スライムハニー』あるー?」
乾物屋で言われた通り、薬屋で求めているアイテムがあるか聞いてみた。
薬屋といっても、魔法的な力で飲めばHP回復するポーションのようなものでは無く、薬草やそれを元にして作った漢方薬的なものを扱うお店だ。
「あるけどどれくらい欲しいんだ?」
「スマッシュマッシュはそんなにいらないけど、スライムハニーは買えるだけ」
「スライムハニーは10袋までにしてくれ、あんまり大量に売ると良い噂が出ないんだ」
「分かった」
スマッシュマッシュは乾燥させて粉状にしたものが気付け薬に使われるキノコだ。
味がコショウに似ているので、原作ではコショウの代替え品として流行らせた。
その記憶が残っているせいで乾物屋で買えると思っていたが、考えたら流行る前はこれは薬だった。
スライムハニーは実はスライムには全く関係無く、スライムプラントという食虫植物が葉から出す甘い液体だ。
背の低い灌木で、葉の形状がスライムに似ており、そこから滲み出ている液体は消化酵素が含まれており甘い匂いに誘われた虫を溶かして栄養にしてしまう、粘度が恐ろしく高いので虫だけで無く小動物でも一度張り付いてしまうと抜け出せずに餌食になるほどだ。
消化促進の胃腸薬として扱われるが、容量用法を間違えると胃に穴が空くというまことしやかなデマまで飛び出す代物だ。
乾燥してる状態ではただの、のど飴にしか見えない。
これに道具屋でハジケナッツ、射出型のクロスボウとその弾になる野球ボールサイズの容器、水属性のクズ魔石を買い、準備完了だ!
失敗した時用に逃走経路と作戦実行する場所を下見したら、あとは待ち伏せするだけだな。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
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よろしくお願いします。
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