第3話「エンディングは突然に」

 肛交校に着いた小田は、艶間と松本に昨夜の出来事を話した。

「かわいそうな市悟」

「イチャイチャしてんなぁ」

 なにかズレているが、2人共、感嘆の声を漏らした。

「何をどう聞いたら、イチャイチャになるんだよ」

「てか、もう同棲してんのかよ」

「させられてんだよ」

「お盛んやなぁ」

「何もしてねぇし、これからもしねぇよ」

「なんや、つまらんな」

「そんなことより、撮影とかっていつ始まるんだ?」

「しらね」

「もうちょっとで、誰か呼びに来るんちゃう?」

「なんで分かるんだよ」

「勘や勘」と松本が笑うと、筒美教官が教室に入ってきて、小田を教官室に呼び出した。

「ほらな、思った通りや」松本がほくそ笑んだ。

「すげぇな、お前」艶間が感心した。


 小田が教官室に入ると、初めて見る人物がいた。

その人は自らを藤崎ふじさきと名乗った。またプロデューサーであるとも言った。その隣にはソトムラ監督が大人しくしていた。昨日の元気が嘘のように大人しかった

 軽い自己紹介を終えた藤崎は、次に謝罪の言葉を述べた。

 どうやら今回の騒動は全て、監督の独断で行われており、止められなかったことに対するものであった。

「こちら側の勝手なんですが、今回の話は無かったことに…」と藤崎が申し訳なさそうに言った。

「リ、リアリティが…」とソトムラが呻いたが、藤崎が「あんたは黙ってなさい」と一蹴した。

「ウウム…」と校長は唸った。

 しばらく沈黙が続いていたが、小田が恐るおそる口を開いた。

「…あの…俺が言うのもなんですが、役者提供は無しにして撮影場所だけの提供にして折り合いをつけるっていうのはどうですか?」

 ソトムラは渋々了解した。

ちなみに小田と多懸の住居は、お詫びとして無料(ソトムラの負担)で住んで良いらしい。

 小田は教室に戻り、一切の事情を、艶間と松本に話した。が、2人の反応は意外にも薄かった。

 こうして『ドラマ騒動』は、幕を下ろした訳だがわ多懸との同棲は続くわけだし、物語としてはまだまだ序の口、これからが本番なのであります。

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