うなぎを食べよう!
梅竹松
第1話 おいしいうなぎ
初めまして。うなぎの精・
本日は、ウーナがうなぎの魅力について語りたいと思います。
まずはうなぎの誕生から。
日本人に最も馴染みのあるニホンウナギは、新月の夜にマリアナ諸島の海で産卵します。サイパン島やグアム島周辺の海ですね。産む場所も水深300メートルから500メートルのあたりと、ある程度決まっています。新月の夜に決まった場所で産卵するなんて、本当に不思議な生物ですよね。
そうして孵化したうなぎの幼体は、細長く透明な体で、『レプトケファルス』と呼ばれています。透明な体の生物は水中ではなかなか見つけづらいので、外敵に見つかる心配は低いというわけです。
余談ですが、この透明な幼体は『レプトセファルス』とも呼ばれていて、アナゴやハモなどの魚も孵化した後は一定期間この姿で過ごすそうですよ。
それからうなぎの幼体・レプトケファルスは、北赤道海流に乗ってフィリピンや台湾あたりまで旅をします。
そこからさらに黒潮に乗って日本近海へとやって来るわけですが、そのあたりでほとんどの幼体は稚魚の『シラスウナギ』へと変態しているのですよ。
こうして
あんなに小さく細長い体で3000キロ先まで泳ぐなんて感動してしまいますよね。
“うなぎを食べると精がつく”なんて言われるのも納得です。
ちなみに天然のシラスウナギは、高額で取り引きされることから『白いダイヤ』などとも呼ばれているそうですよ。
ではここからは、うなぎの食べ方について説明していきたいと思います。
日本人にとって最も身近なうなぎ料理と言えば、やはり蒲焼きでしょう。
蒲焼きはうなぎを最もおいしく食べる料理のひとつだとウーナは考えています。最近では海外の人にも人気の料理と聞きますしね。
そんな蒲焼きですが、関東と関西でうなぎの捌き方や調理法が異なります。
まず関東では、うなぎを背開きで捌き、蒸してからタレを絡めつつ焼きます。蒸すことで焼き時間を短縮でき、ふっくらとした焼き具合になるというわけです。
一方関西では、うなぎを腹開きで捌き、蒸さずにタレを絡めながら直火でじっくりと焼きます。
腹開きは背開きに比べて難易度が高いので、捌く人間には高度の技術が要求されます。
また、蒸さずに焼くためどうしても時間がかかるのがネックです。だけど蒸さないおかげで表面がカリッと、中はふんわりとした焼き上がりになり、関東の蒲焼きとはまた違った味や食感を楽しむことができるでしょう。
次に栄養素に関してですが、うなぎにはビタミンやミネラル、そしてタンパク質が豊富に含まれています。
そのため免疫力の向上や疲労回復など、体を健康に保つための効果が期待でき、夏バテで食欲が落ちる時期にこそ食べてほしい食材と言えます。
ただ、うなぎにはビタミンCや食物繊維は含まれていないので、それらの栄養素は野菜や果物などの食材で補わなければなりません。
うなぎと一緒にサラダを食べたり、デザートでフルーツを食べたりすれば、ビタミンCや食物繊維を摂取することができて栄養素の偏りを防げます。
あとは水分補給にさえ気をつければ、真夏の暑い日でも体調を崩したりスタミナが落ちたりすることなく健康に過ごせるでしょう。
ただし、うなぎは非常に栄養価の高い食材です。食べ過ぎると栄養素を過剰に摂取してしまう事態になりかねないので、頻繁に摂取することは避けて、他の魚やお肉も食べるよう心がけてくださいね。
……ちなみに、うなぎは暑い時期にこそ食べるべきと言いましたが、実は天然のうなぎの場合、本来の旬は夏ではありません。10月から11月にかけての時期が最もおいしいと言われています。
この時期は冬眠に備えてエサを大量に食べ、脂肪を蓄えるようになるため、身が肉厚になり脂ものるというわけですね。
とはいえ、養殖と違って天然のうなぎの味は食べたエサに左右されるので、人によっては養殖のうなぎの方がおいしいと感じるかもしれません。
ですが、天然うなぎには天然の良さもきっとあるはずです。養殖に比べて多少値が張りますが、それでも機会があればぜひ味わってみることをおすすめします。養殖うなぎにはない味や食感を楽しめるかもしれませんよ。
さらに、うなぎには蒲焼きだけではなく白焼きという焼き方も存在します。
これはタレを絡めずにうなぎの身をそのまま焼く調理法となります。
もちろん甘じょっぱいタレの染み込んだ蒲焼きも美味ですが、うなぎそのものの味を感じられる白焼きも素晴らしいとウーナは考えています。
なので、蒲焼きを充分に堪能した方はぜひ白焼きも試してみて下さい。きっと、うなぎの新たな魅力を発見できるでしょう。
そして、うなぎを味わう上で忘れてはならないのが肝と骨です。
肝はうなぎの身と同じかそれ以上に豊富な栄養素を含んでいて、滋養強壮に良いと言われています。
定番の肝吸いはもちろん、肝焼きや肝煮、唐揚げなどなど、おいしく食べる調理法はいくつか存在するので、可能であれば蒲焼きや白焼きを注文する際にうなぎの肝を使った料理も食べてみて下さい。
また、骨はそのままでは食べられないので、骨せんべいにして食べるのが一般的です。
焼いたうなぎの骨を油で揚げたものが骨せんべいとなります。これは通販サイトなどで取り扱われいる他、うなぎ料理を提供する店などで販売されている場合もあるようです。
カルシウムのたっぷり含まれている骨せんべいは、サクサクとした食感で、おやつやお酒のおつまみにピッタリと言えます。もちろん食べ過ぎは厳禁ですが……。
ですが骨せんべいならそれなりに日持ちもしますし、小腹が減った時や口寂しくなった時も気軽につまむことができるので、常備する必要はないかもしれませんが、時々は購入するのもアリかもしれません。
うなぎの身や肝を食べたなら、ぜひ骨も味わってみて下さい。そうすれば、本当の意味でうなぎのすべてを味わったことになりますね。
以上、樺野木ウーナがうなぎの魅力について語ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
天然のうなぎの旬は秋ですが、養殖のうなぎなら通年食べられますので、何か良いことが起きた時や精をつけたい時などは奮発してうなぎ料理を食べましょう!
その食事の時間は、きっと幸せな
あなたがうなぎ料理をもっともっと好きになってくれれば、うなぎの精としてこれ以上の幸福はありません。だってウーナは、うなぎの魅力を伝えるために生まれた存在なのですから……。
いろいろと大変なことも多い現代ですが、おいしいうなぎを食べて、明日からも頑張って下さいね! 毎日の生活が豊かになることを陰ながら応援しています!
うなぎを食べよう! 梅竹松 @78152387
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