第2話

~個人チャット(愛珠麻あずま)~

『アズ、ボスからの伝令だ。今すぐ準備を。』

『ですが、ここは学校です。教師には何と言えば・・・?』

『一応、教師はアズとタクが私のボディガードというのは知っている。だから、私の体調が悪くなったと嘘をついて2人も帰宅する、というのはどうだ?』

『なるほど・・・。やってみますね。』



「志希様っ!」

「アズ!?どうしてこの場所がわかったのだ!?」

「直感ですよ。タクから資料ができたことは言われていたので、渡すならひとけの少ない場所ですし、なるべく教室から遠い場所・・・。それなら、旧校舎の渡り廊下しかないかなって。」

「はは、さすがだよ。」

「ところで・・・、タクはどこに行ったんですか?」

「ん?ああ、タクは今教室に戻って私たちの荷物をまとめているところだと思うよ。君に言うのを忘れてしまったからね。」

「あ、たしかに私も忘れていました・・・。」

「さてと、タクが戻ってきたら私も準備をしなければな。」

「そうですね。ボスからは何と連絡が入ったのですか?」

「“遊馬財閥に関与しているある企業の傘下会社が、裏社会で海外のヤクザ組織と人身売買(奴隷取引)をしている”とのことだ。そして、その組織と今日取引が行われるそうでな。一緒に始末してよいとの許可が降りたぞ。」

「そうなんですね。取引場所はどこですか?」

「傘下会社の事務所の裏が倉庫になっているのだが、そこには地下につながる階段がある。その先が取引場所だそうだ。」

「まだ聞きたいことはありますが、タグが戻ってきたので取引場所に向かう時に聞きますね。」

「うむ、了解だ。」

「志希様、アズ、只今戻りました。こちらが荷物になります。」

「私、すっかり荷物を持ってくること忘れてて・・・。タク、わざわざ取りに行かせちゃって、本当にごめん!!」

「全然大丈夫だよ、アズ。」

「私もすまなかったな。すっかりアズに言うのを忘れていたよ・・・。」

「「志希様が謝ることではありませんっ!」」

「なんと。息ぴったりだな。」

「あ、志希様、俺だけまだ場所とか何も聞いてないんですが。どこに向かうんです?」

「遊馬財閥に関与しているある企業の傘下会社の倉庫地下だ。そこで、海外のヤクザ組織との取引が行われる。」

「なるほど・・・。とりあえず、屋敷に向かいますか。」

「ああ。私の方で蛇崎組のナビゲーター班と連絡を取っておいた。おそらく、私たちが屋敷に着く頃にはもう到着しているはずだ。」

「呼んであるのはナビゲーター班だけですか?」

「そうだが?」

「ということは、私たちも志希様とご同行させていただけるのですか・・・!?」

「そういうことだ。」

「やった〜!!タク、志希様の雄姿を見れるよ!!!!」

「すごい久しぶりに見る気がする・・・!!楽しみだなぁ!」

(そんなに言うことか・・・?)

「まあいい。急いで屋敷に向かおうか。」

「「はい!!」」

(・・・やる気がすごいな。いや、これは“殺る気”か・・・?)

「あ、屋敷にボスはいるのですか?」

「ああ、いるはずだよ。普段は遊馬財閥の営業をしているからね。」

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