ブラックベリーシンドローム

Rotten flower

第1話

「どうぞ。」と隣人からもらった箱を開ける。期待はしていないが開けてみるとそこにはいちごのパックに雑に詰められた何かの果実があった。

スマホで撮って調べてみるとどうやら「ブラックベリー」と呼ばれる植物のようでジャムなどにして食べられるようだ。

生のままでも食べられるらしいしそのまま食べてみることにした。

ベリーと名につくだけあって苺やラズベリーと同じような酸味のある味だった。

俺はこういう系が好みではない。酸味が全開になっていたりそういうものならまだしも半端なものはあまり好いていないのだ。

「隣人に譲るか。」

そういうとドアがノックされた。恐らく宅急便ではないはず、回覧板かなにかだろう。丁度いい。貰うついでにこれを譲ろうかな。

ドアを開けると先程これを譲った隣人だった。

「すみません…」

目的のものは何となく分かった。きっと別の人にあげるものだったのだろう。少し食べてしまったのは申し訳ない。

俺は量が減ったブラックベリーの集まりを一見違わないようにもとに戻すと、隣人に渡した。

「ありがとうございます。」

隣人はそう言うと走って戻っていった。そんなに急ぐことでもないのに。

そういえば、さっきの隣人さん、箱を渡す時手がやけに震えていたな。一度唾を飲み込んでいたし…

そういえば、さっきの酸味、苺と比べるとあまり嫌いではなかったな。

思い出すとまた食べたくなってきた…

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