第8話 リオンに認められるアリアナ
魔王はアリアナがメイド服を着て夕食の席に現れたので内心ギョッとしていたが、ニコニコと嬉しそうに給仕をし始めたので、なんと声をかけていいものか悩んでしまう。
だが、イジワルーイだけは楽しそうに口角をあげていた。
(人間の女なんかメイドで充分よ)
魔力のないアリアナがたくさんの皿を運ぶのは大変だ。しかし、アリアナは銀のお盆を両手に持ち、そのお盆の上にはぎっしりと料理を盛った皿を乗せていた。
(あんなに細い腕で、あれだけの重量を持ち上げるとは・・・・・・)
(自分の限界に挑む
優しい気持ちになったリオンは、アリアナの持っているお盆を、ひとつ代わりに持とうと申し出る。
「いいえ。これは私の仕事ですから、お気遣いなく。このようなお皿など、どうということはありません」
アリアナは重い書類を抱えて、大臣たちの執務室まで1日に何度も往復させられた日々を思い出していた。紙の束は驚くほど重くて、持つ際にも気をつけないと指を切ることもあった。思いのほか、紙は凶器になることがあるのだ。アリアナはそれらを思い出し、瞳が涙で潤んだ。
「素晴らしい根性である! 俺はアリアナ嬢を見直したぞ」
「まぁ、ありがとうございます。こんなことで認められるなんて恐縮ですわ。王宮やクレスウエル公爵家にいた時も、褒められたことなどありませんから、こちらに来られて幸運だと思います」
冷たい印象を与えるアリアナが、花のように微笑むのを
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