第2話

俺は、14歳になり昨日で孤児院生活も終わりを迎えた。


長かった。両親の顔なんてしらない。物心覚える頃には孤児院で生活していて、シスターが両親のかわりだった。


少し寂しくも思うが、今日からの学院生活を思うと楽しみでしかたない。


孤児院のことを懐かしんでいると、目の前には伝統と歴史を感じさせる荘厳な学院への門。

新入生らしき学生が次々に門を抜けていく。


門を抜け、校舎前に掲示されているクラスを確認し向かう。


この王立学院では、庶民と貴族が在籍し平等に扱われるとされてる。

しかし、実際は最初の前期課程2年間は庶民と貴族でクラスは分かれており、後期課程で魔導士と騎士クラスに分かれる時も庶民と貴族クラスとなる徹底ぶりだ。

庶民が貴族と関わる機会は少なく、差別の機会がないとも言える。平等なのかもしれない。


時間ギリギリに教室に入り着席すると、すぐに担任がやってきた。


「今日からこのクラスの担任になるオルドだッ!主に剣術などの戦闘訓練を担当する。お前らも自己紹介してけ」


熱い漢だ。胸襟が発達し過ぎているハゲ。無精髭になぜか上半身裸のオルドの登場に、引いている女子と「漢だ……」と声を漏らしているヘンな奴も若干名いる。

いや、俺含め男子はオルドに惹かれている。こいつは漢だ。


「マーカスです。みなさんと同じ田舎の農家出身です。属性は水で魔導士クラスを希望しています。よろしくお願いします。」


いつの間にか俺の前に座る蒼髪の男子が自己紹介をしていた。農家出身であるのに落ち着いていて礼儀正しそうだ。

あと、長身でイケメンだからか女子の注目の的になっている。


「次、ジーク!」


オルドに呼ばれ自己紹介を始める。


「ジークです。孤児院出身で、剣術が得意です。将来は冒険者としてやっていくつもりです。よろしく。」


普通のことを言っただけだが、教室中から視線を感じる。特に女子から睨まれている?ようだ。


孤児院出身がいけなかったのか?属性を言わなかったから?

原因を考えたが答えは出ず、諦めた。

まあ、最悪一人でやっていけばいいだけのことだ。


ジークは理解していなかった。

睨まれているのではなく、肉食獣のように狙われていたことに。

孤児院では孤児はみなが家族であり他人がいなかった。そのため、ジークは自分の容姿を正確に、客観的に理解してなかったのだ。

黒髪に整った顔立ち。加えてマーカスに劣らずの長身であり、剣士に適した肉体。

このクラスの二大イケメンであることに。


少し残念な気持ちになりつつも、諦めて席に着く。


その後も自己紹介は続いていき、最後の生徒の番になった。


「ゼラです!風魔法が少しと剣術が得意です。よろしく!」


燃えるような赤髪を持つゼラ。細身ではあるが胸部は可愛らしく主張している。短髪でもあるため活発な女の子といった印象だ。


「このクラスで二年間を過ごすことになる。共に学びあっていくように!じゃ、入学式の会場に行くからついてこい」


理性的な落ち着いた感じでも話せるオルドについていくことになった。

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