異世界英雄譚の少年A
ハレバレ
第1話
魔王の誕生による魔大陸の侵略。魔物の凶暴化。村は焼かれ、都市は落とされ国は亡んだ。
人類から希望の光。女神に導かれた勇者が現れた。
各地での魔王軍との戦いは苛烈を極める。仲間との出会いと別れ。
ついに、魔王を、その剣で打ち倒す。
女神は微笑み、世界から闇は消え去った。
【英雄 の物語】
誰もがしる英雄譚。いつの時代の勇者であるのか誰も知らない。
しかし、誰もが憧れ、英雄へと、冒険者の道に進んでいく。
僕もそのうちの一人だ。
「ジーク!授業を始めますよー!」
「はーい!今いきまーす!」
本を閉じ、呼ばれた先、初老のシスターの元に向かう。
孤児院に入ると、既に何人かの子どもが座って待っている。
どうやら僕が最後らしい。
急いで席に着き、いつも通りの毎日が始まった。
今日の授業は、新しい孤児のために基本的なことを話していて退屈だった。
ここは大陸の東にあるイリオス王国の王都イリオスにある孤児院であること。
王国では10才から14歳になる年の子どもには教育が施されること。だから孤児院でも勉強や魔法や剣の稽古もできる。
これは、子どもの為というよりも教育を受けていないと王国内の犯罪の増加に繋がったりするといった大人の事情なのではあるが、子どもを愛する王様といったプロパガンダに使われている。
まあ、こんなのはどうでもいい。実際、この教育のおかげで自分の才能に気づけて、14歳になって孤児院に居られなくなってからもなんとかなるわけだし。
それに、成績が優秀な孤児には15歳以降の高等教育を王国に支援してもらえるのだ。
つまり、僕。ジークは来年の15歳になる年から高等教育機関である王立学院に通えることになっているってわけだ。優秀だからね。
そんなこんなで午前の授業は終わり、午後からは実践授業がはじまった。
孤児院では冒険者を目指す子どもに魔法や剣術などの訓練が行われる。
訓練といっても最低限の簡単な剣術や魔法の練習でしかない。
この世界で魔法とは、才能のあるものしか魔力を魔法として出力することができないものである。
ただ、魔力は誰もが血液のように体内に持ち、身体強化などはできる。
これは、魔力とは願いを届ける道具であり、願いの対象が世界なのか自身であるのかが原因になる。才能があれば魔力を用いて世界に願いを届け、変化させることができる。
しかし、才能がなければ世界までは届かず、自身にしか届かないからだ。
また、身体強化や自己治癒力を高めることはできるが、欠損を戻すことはできない。自身をこえ、世界への願いということだからだろう。
もちろん、成績が優秀な僕は魔法だってできる。それを含めて成績になるからだ。
魔法とは、個々人によってできることが異なり、また1つの属性魔法ときまっている。
基本的に【火・水・土・風・光】の5属性のうちどれか1つを行使することになるわけだ。
しかし、属性魔法使いは全員同じ魔法を使うといったことではなく、才能や魔力量、練度によってできることや、威力、魔法の質が変わってくる。
ちなみに僕は属性魔法を扱えない。固有魔法という例外だからだ。
固有魔法は珍しい魔法であり、同じ魔法を使うものは滅多にいない。
それに、できることの範囲が狭かったり、属性魔法と被っていたりと、「固有」という割には特別素晴らしい魔法ではない。
僕の固有魔法【加速】もそうだ。今のところ、自身を加速させることしかできないので、自身を【加速】させ高速移動の剣士としてやっていくつもりだ。
この戦法はまあまあいいんじゃないかと思う。速いし、なにより一撃に重みがでる。
幸い、魔力量やセンスはあるようで、身体強化は得意だ。剣士としてやっていけそうな気がする。
こんな風に毎日をすごしているってわけだ。
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