04 ふたりの秘密


「あ、ありがとうございます。」


動揺が隠しきれなかったのがバレるような声で

そう返事してしまった。


「何照れたかー??」

「ち、違います!!」

「笑笑。かわいい」


カウンター越しで、ずっと笑ってた。

少しだけ意地悪なのも、優しく名前を呼ぶ声。全部、あ、なんか好きだなって思った

あれ、これって。。いや、まさかね。


「陽斗、彩菜ちゃんで遊ばないの!」

「ちえー怒られちったな(•ε•`)」

「あはは、そうですね笑」

「彩菜ちゃん、陽斗に何もされてない?」


心配そうに私を見る、杏樹あんじゅさん。

きゅるるとしたかわいい目で見つめて来るからこっちがドキドキしちゃう。


「大丈夫ですよ。陽斗くんが困ったら俺に言えって言ってました」

「おっ、じゃあ陽斗これよろー」

「はるーこれもー」

「おいおい!?祥樹、結衣それは違うだろ!?」


オーダーを全部、自分に任そうとした

祥樹くんと結衣さんを前にずっとぶーぶー言ってる陽斗くん。少しだけ可愛く見えて笑ってしまった。


「お、おい〜彩菜まで笑うなぁ〜!」


今までのバイト先で1番楽しかったこの時間。

歳が近いとこういう経験もできるんだなって。



「ー 12卓お呼びー!」

「ー 新規5名様ご来店ですー!」


あれから、数時間後。

お店も忙しくなった頃、休憩入っていいよと言われてスタッフルームにいる所。


「ふー、疲れた。。」


テーブルと、椅子が6個

後一人一人用のロッカーがあるだけの部屋の中で私はそう呟いた。


休憩に入るタイミングは人によって変わるため

基本は被っても2人ぐらいしか被らないらしい。

だからその時に仲良くなったりする人もいるんだとか。


休憩時間の30分何しよう。寝るのが1番いいけど、こういう時にしかメニュー覚えられないしな、、うーん。。


悩んでいると、スタッフルームの扉が開いた。


「あ″ぁ、疲れた、、。おっ!」

「お疲れ様です。」

「おつかれー!彩菜も休憩か!」


2人で入れるとかラッキー!って言いながら斜め前の席に座ると、この辺にあるお菓子食べていいんだぜって言って教えてくれた。お菓子まであるのかこの店、、、、


「俺さ、新しく入った奴とは誰よりも早く仲良くなるって決めてるんだ」

「どんな決まりなんですか笑笑」

「えー?いいだろー?笑笑。ってことで彩菜のこと教えてよ。俺のことも教えるからさ」


突如始まった自己紹介タイム。

陽斗くんは今大学生で、将来は自分の店を持ってバーテンダーになりたいらしい。

私も自分の夢を打ち明けたら、いいじゃん!って言ってくれた。嘘でもそれが嬉しかった。

今までさんざんバカにされてきたカフェのオーナーの夢。無理だと分かっててもやりたいのは変わらないんだもん。


「じゃあさ、俺と彩菜で同じ店でやればさ

家賃とか折半できそうじゃね??」

「確かにそれはいいかも」

「昼は、カフェで夜はBARみたいな?」

「いいですね。集客が見込みあって」

「だよな!」


叶うか分からない2人の夢。

かわりばんこでもいいから互いのお店の接客しても楽しそうっていう話までして。あっという間に過ぎた休憩時間。


「そろそろ上がるか!」

「そうですね」


私達が立ち上がったタイミングで、これから休憩に入る祥樹くんと結衣さんが居た。


「すげぇ、楽しそうな声聞こえたけど何話してたの?」

「えっと、」

「2人の秘密!な、彩菜!」


ああ、ほんとずるい

この時私は気づいた。私は陽斗くんが好きだと

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