梨花の殺人

梨花の殺人

「大丈夫よ! 社長は気が付いてない。


 後は結婚すれば、死んでもらうだけよ。」


 洋子は電話先の相手にそう話しかける。梨花はそっと地面に伏せて、洋子にばれないように、息を殺す。


「社長は金を稼ぐ才能はあっても、恋愛には疎いわ。ちょっと好意を見せたら、すぐに好きになっちゃった。


 本当にちょろかったわ。」


 その言葉で、梨花は怒りを覚えた。


「……しかし、梨花が邪魔ね。いつも社長にベタベタで、社長もまんざらでもない感じなのよ。


 それに、梨花は私のことが嫌いだわ。2人だけになると、いつも毒を吐かれるし、あいつ、私を睨むの。


 本当にあの目、大嫌い。


 私が社長のナンバーワンになったら、社長を殺す前に、あいつを殺してやるわ。」

 

 それを聞いた梨花は我慢ならず、歯を食いしばった。


 洋子が電話を切った。梨花はそれを確認すると、ゆっくりと洋子の前に姿を現す。洋子は梨花を見ると、驚いた様子だった。


「……り、梨花? なんでこんなところに……。


 隣の部屋にいたんじゃないの?」


 洋子は梨花に話しかけた。


「……もしかして、さっきの話聞いてた?」


 洋子は冗談めかして聞いて来た。


 梨花はその洋子の質問に対して、何も答えなかった。


「まあ、聞いていたってどうしようもないわね。


 ……そうだ! もういっそのこと今殺しちゃおうかしら。どうせ、社長はあなたより私のことの方が大事よ。


 だから、不運な事故であなたが死んだことにしましょう。」


 洋子はそう言って、近くにあった花瓶を手に取り、私の方に投げつける。私はそれを交わした。


 洋子は本気で私を殺そうとしている。と梨花は思った。そして、梨花は洋子を殺すことを決めた。


 覚悟を決めた梨花は、体を素早く動かし、洋子の足首へと一直線に噛みついた。


 梨花に噛まれた洋子は言葉にならない声を上げて悶絶した。洋子は足首を抑えるためにしゃがみこんだので、梨花は洋子の後ろに回り込んで、洋子の首を絞めた。


 洋子は締め付けられた首に爪を立てたが、簡単に外れなかった。


 足首から出た血が止まらずに流れ出ていたため、洋子の抵抗で、血飛沫が部屋中に飛び散った。


 しかし、洋子の抵抗も空しく、洋子は段々と体が動かなくなり、最後にはぱたりと体を動かさなくなった。




 梨花は洋子を殺した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る