第15話 息抜きに裸の付き合いを
とある山奥にて。
「ふんっ!ふんっ!!」
「フラワーは張りきってますね~」
「そうね。むしろ頑張りすぎなくらいに」
魔法少女3人は本格化してきたディザイナーズとの戦いに備えて自主訓練をすることにしていた。その中でもフラワーはやる気に満ち溢れており、スカイとアンバーが休憩している間も何故か正拳突きを繰り返していた。
そんな頑張っているフラワーにスカイは心配して声をかけた。
「フラワー!休憩しないと!疲れたでしょ!」
「ぜんっぜん!むしろ絶好調!」
「………だとしても!休憩は大事よ!」
「ありがとう!でもごめんもうちょっと!」
一体何がフラワーをそこまで突き動かすのか。スカイには検討もつかなかったが、アンバーはなんとなく理解できており、フラワーに確かめてみることにした。
「例のホームステイの女性ですか~?」
「ブフッ!?」
「………ホームステイ?」
どうやら図星だったようで、フラワーは盛大に吹き出して動きを止めた。アンバーはあまり分かってないスカイに丁寧に教えてあげた。
「実は~鴉谷くんのお家にホームステイの方が居るそうなんです~。しかも美人さんなんですよ~?」
「……あぁ。それってあの黒髪の?」
「そうですそうです。だからぁ…ホノカさんはそのデナさんに鴉谷くんを取られるのが怖くて~」
「あー!もう!やめてよアンバー!休憩するから!」
恥ずかしい自分の心情を見透かされ、他人に語られるのに耐えられなくなったフラワーは変身を解除してふたりのもとへと戻ってきた。
「もぅ…………別にマコトが誰とどうなろうと……知ったこっちゃないってば……」
「またまた~」
「ねえホノカ。そろそろ鴉谷との関係について詳しく聞かせてくれない?」
友人の恋バナに興味津々なスカイも変身を解除し、ホノカの両肩をガッシリと掴んで頼み込んだ。
「………だから何もないってばぁ」
「私も気になります~。そうだ。親睦を深めるという意味でもスーパー銭湯に行きませんか?裸の付き合いしましょ~」
「よし決まりね。ほら観念しなさいホノカ!」
「うぇ~…………」
ホノカは不服そうな態度を取りつつも、友達と温泉に入るというなんとも楽しげな誘惑に惹かれて大人しく連行されるのだった。
「………セリナちゃんおっきいね」
「なにいきなり!?」
「ですね~」
銭湯につき、3人並んで体と髪を洗う。するとホノカがセリナの体を怨めしそうに凝視しながら自身の胸を揉み始めた。
「………………いいなぁ。やっぱり揉んだら大きくなるのかなぁ?」
「っ…い、いや!!?ならないよ!!?!」
「……声が大きいですよ~セリナさん」
ホノカとしては半分冗談だったようなものなのにセリナは顔を赤く染め上げて首を横に振った。ホノカは自分ばかり茶化されるのも不平等だと思い反撃することにした。
「セリナちゃんは好きな人とかいないの~?ほらほら~白状しろ~」
「いない!そもそも恋愛なんてしたことないし……」
「えぇ勿体ないなぁ………セリナちゃん可愛いのに~」
「ぐぬぬ……私のことはいいの!ホノカよホノカ!あの男との関係を今日こそ教えて貰うからね!」
体と髪を洗い終えたセリナは急かすように湯船へと向かった。その後をミアが追い、ふたりは先に温泉へと浸かった。
「ほぇ…………これが……銭湯…………」
「……久しぶりだけど…やっぱり良いね」
すっかりとろけきっている2人を追いかけるようにホノカも体を洗い終えて湯船に向かった。そしてふたりがくつろいでる温泉にゆっくりと浸かっていき、マコトとの関係性について語り始めた。
「本当に何もないよ?マコトとはさ、幼馴染みで、それだけ。昔からあんな感じでさ、ほんっと苦労したのを今でも覚えてる」
ホノカの昔話にふたりは口を挟まずに聞いていた。するとホノカも温泉の暖かみで気が緩んだのか更に話を続けた。
「ほらさ、私ってうるさいからさ、小学校5年生の時にクラスの女子にいじめられたことあったの。男子に媚売ってるーって。でもすぐにいじめに気づいたマコトがその女子達に文句言ってくれたの。実はマコトって昔から友達はいなかったけど裏で結構モテてたんだよ?背も高くて、足も早かったし…………ちょっとカッコいいし?で、女子達はそんなマコトから怒られて…まぁ…そんな感じ……」
「…………つまり?」
話し終わった雰囲気を出したホノカにセリナが詰め寄った。
「……つまり???いや、別に…ないけど」
「つまりつまり~???」
この期に及んで逃げようとするホノカをミアが捕まえ、セリナとふたりで挟むようにして逃げ道を塞いだ。ホノカはしばらく悶々とした表情をした後、正直な気持ちをふたりに吐露した。
「………………好き……だけど…」
「やっぱりそうじゃないの」
「いいですね~青春ですね~」
「むぅ………………」
その後も女子3人の裸の付き合いは続き、親睦を深めあっていった。
そしてお風呂上がり。3人は定番のコーヒー牛乳を買い、休憩所で飲んでいた、
「ぷはぁ!おいっしぃ!!」
「これが伝説の温泉上がりのコーヒー牛乳!なんという美味しさ!帰ったらセバスに用意させましょう!」
「………セバスさんも大変そうね」
コーヒー牛乳に舌鼓を打っていると、男湯の方から見覚えのある男性がこちらに近づいてきた。
「よう奇遇だな。お前らも風呂か?」
「マコッ……!?」
「あらあら~」
「……もう上がったところよ」
マコトの登場に慌てるホノカ。するとセリナとミアはスッと立ち上がり、その場から逃げようと試みた。
「じゃあ鴉谷。また学校で」
「またデートしましょ~」
「待って!!置いてかないで!!!」
ふたりからの余計な気遣いに加え、ついさっき気持ちを口にしてしまったことでふたりっきりなど耐えられなくなったホノカは顔を真っ赤にしながら後を追うのだった。
「…………元気だなアイツら」
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