第19話 怪しい男
【誰もやってない】星屑のナイトレイド4【クソゲー】
200 ナナシの変態紳士
あれ……俺、バッドエンドに入ったかもしんない……
201 ナナシの変態紳士
逆にハッピーエンドがあるとか本気で信じてたのか?
202 ナナシの変態紳士
いや、違うんだよ
バッドエンドなんだよ
203 ナナシの変態紳士
>>202ちゃんのお薬が切れてる
204 ナナシの変態紳士
何を言っているかわかんないと思うけれど、本当にバッドエンドなんだよ
いや、基本バッドエンドなんだけれど、そんなレベルじゃないバッドエンドに入った
205 ナナシの変態紳士
とりあえず判断してやるから詳細書けや
207 ナナシの変態紳士
とりあえず俺の身に起こったこと
これは全ヒロイン共通なんだけれど、個別ルートに入ったタイミングで全ての選択肢でヒロインからの心証を悪くする
↓
当然心証が悪くなるので、京介に対してヒロインたちの態度が素っ気なくなる
↓
それどころか本編にも出てこないようなモブキャラとヒロインがイチャイチャしはじめる
↓
選択肢がヒロインを監禁するとかモブキャラを殺すみたいな物騒なものになる
↓
ヒロインを拉致監禁、ナイフや怪しい薬などなどを利用してヒロインを強引に洗脳する
とりま俺はここまで進んだ
208 ナナシの変態紳士
う~ん、このクソ主人公
209 ナナシの変態紳士
【朗報】ヒロインと京介どっちが悪い論争、決着がつく
215 ナナシの変態紳士
マジで草
京介いつもの立ち絵で粛々とヒロイン洗脳していくのサイコすぎるんよな……
216 ナナシの変態紳士
ってか、このとってつけたようなモブキャラ誰だよ……
217 ナナシの変態紳士
貴重な俺たちの脳破壊要因なんだよな
あいつはなんというか俺たちの分身だ
218 ナナシの変態紳士
せっかくヒロインと仲良くなってるのに、京介のパワープレイで寝取られるの可哀想すぎるだろ
219 ナナシの変態紳士
可哀想もなにも間違いなく作者はあのモブとプレイヤーを重ねてシナリオ書いてるだろ
220 ナナシの変態紳士
それ誰が幸せになるんですかねぇ……
221 ナナシの変態紳士
ヒロインは洗脳されるし、京介はそれで欲望を満たしているからノーダメなんだよな
225 ナナシの変態紳士
とりあえずトゥルーエンド(バッドエンド)の攻略中断して、バッドエンド(バッドエンド)の攻略始めた
230 ナナシの変態紳士
>>225
ちょっとなに言ってるかわかんないですね
231 ナナシの変態紳士
あ、このバッドエンドやばいわ……
232 ナナシの変態紳士
美優バッドエンドルートやってるけど、とりあえずカラオケにヒロインたちとわいわい
からのヒロインたちが不自然なほどに用事があると続々帰宅
京介と美優が残ってカラオケ
美優が突然の眠気に襲われて昏睡レ○プ
京介の廃倉庫に監禁まではやった
236 ナナシの変態紳士
モブくん、がんばえ~
俺たちはモブくんの味方だよ~
※ ※ ※
袴田美優はクラスメイト生田京介とその取り巻きである女子たちとともに、駅前へと向かった。
なんでもこれからゲームセンターに向かってレースゲームをしたりプリクラを撮って時間を潰すらしい。
美優以外の女子たちはさっきからしきりに京介の隣を奪い合い、偶然を装って露骨に胸を京介に押し当てたり、わざとらしく転んで京介にパンツを見せたりしている。
確かに魅力のある男だとは美優も思う。
生田京介という男は見た目だけでいえば美優の好みの顔をしていたし、女子生徒たちが好意を抱くだけのことはあり、細かい気遣いができる男である。
が、美優はあまりこの男が好きではない。
積極的に嫌いになるほどの嫌悪感はないのだけれど、彼の笑顔から所作の一つ一つがどうも胡散臭い。
それが彼女の率直な印象だった。
今の彼女には具体的にどこがどう胡散臭いのかは説明できないが、一見心優しいその男の行動の裏に何かどす黒い欲望を感じる。
それでも美優は京介と遊ぶことにした。
その理由は彼と一緒に遊びたいから……ではなく中谷大河からそうするように促されたからである。
本当ならばこんな胡散臭い男と過ごすよりも大河と一緒にいたい。大河の表情を目の前に感じて、あわよくば大河の少し汗の匂いのする制服に顔を埋めたい。
なぜならば大河は美優の神様だからである。
が、それでも美優は京介についていくことにした。いや、そんな神様である大河に促されたからこそ美優は京介と一緒にいることにした。
おそらく、大河は美優がクラスに馴染めていないのではないかと心配しているようだ。現に美優は一週間以上、学校を休んでいたし事情をクラスメイトたちから尋ねられるのがおっくうで避けていたふしはあった。
馴染みたいかどうかはともかく、美優は大河の気持ちが嬉しくて、その気持ちに応えたかった。
それに京介についていかなければますます大河に心配される可能性もあったので、彼を安心させるためにも京介についてきた……のだが。
「…………退屈……」
それが彼女の率直な感想である。当然ながら美優には他の女子のように京介に媚びへつらうつもりはないし、彼に好かれたいとも思わない。
だからゲーセンに着くなりベンチに座り一人スマホを弄っていた……のだが。
「袴田」
そんな彼女に誰かが声をかけてきた。顔を上げるといつの間にいたのか笑みを浮かべた京介の姿があった。
さっきまで取り巻きたちがそばにいたはずなのにいったいどうしたのだろうか?
辺りを見回してみるが女子たちの姿は見つからなかった。
「みんなはどこに行ったんですか?」
「用事があるんだってさ。それで帰ったよ」
「はあ? それ本気で言ってます?」
ありえない。それが美優の率直な感想であった。なにせ彼女たちは目をハートにして金魚のフンのように京介のそばにいたのだ。どんな用事よりも京介を優先しそうな彼女たちがみんな一斉に用事で帰ることなんてあるのだろうか?
そもそもゲーセンに到着早々帰るのであれば、最初から行かなければいいのだ。
訝しげに首を傾げる美優に、京介は相変わらず笑みを浮かべたまま彼女を見つめる。
「本当に帰ったんだよ」
「さすがに信じられません。生田くんから何かしらの意図を感じます」
美優の警戒心が一気に高まった。明らかにこの男の目的は自分と二人きりになることだった。
相手が不快になることにも構わず京介を睨みつけてみる美優だったが、それでも彼は笑みを崩そうとしない。
「袴田、きみもうちのグループに入らないか?」
「はい? グループ? なんですかそれは……」
「深く考える必要はないよ。単なる友人グループだよ。毎日放課後にどこかにでかけて遊ぶだけのグループ」
「…………」
あまりにも見え透いた嘘である。が、京介の表情から察するに嘘だとばれることに躊躇いもないようだ。
京介の言うグループ。それは京介を中心とした何かしらのハーレムグループなのだろう。あんなに京介にベタベタしていた女子たちが、京介の言いつけ一つで解散する。
おそらく京介は何かしらの方法で彼女たちを洗脳している。両親が洗脳状態にあった美優には彼女たちの目をみるだけでそれがわかった。
「申し訳ありませんが、私、放課後はそれなりに忙しいんです」
「きみって嘘がわかりやすいね」
「嘘ではありません。それに生田くんには既に”お友達”がたくさんいるではありませんか。私なんかを仲間にする必要がどこにあるんですか?」
そんな美優には京介はそれでも笑みを崩さない。
「きみがとびっきり可愛いからだよ。それにきみは依存気質で誰かに隷属する趣味があるみたいだね。幸いなことに俺は支配欲が強い」
「気持ち悪い……。それ、冗談だとしたら趣味が悪いですし、冗談じゃなければセクハラですよ?」
やはり美優の嗅覚は正しかったようだ。
が、それと同時にやはりこの男には形容しがたい魅力があることも事実である。
この男の笑顔には必ず相手を屈服させて支配するという欲望が透けて見える。そのどこまでも貪欲で野性的な笑みは、そうだとわかっていても女性の本能を刺激する魅力があった。
もしも大河と出会っていなかったとしたら、自分はこの男に隷従していたかも知れない。
そう思わせるような魅力がこの男の笑顔にはあった。
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