第8話 機動戦士ドルトムント
「適当な魔物が出たら、それを倒してもらう感じで」
「はい!」
いやー、最近はルナと森に出ることも増えたが、二人とも剣と拳だから魔法に触れる機会がないんだよな。楽しみだ。
三人で森を歩いていると、ゴブリンの群れと遭遇する。
数は三匹。
「できるか?」
「任せて下さい!」
この自信……やはりフィン君は相当強い魔導士に違いない。
「ギギッ!」
ゴブリンもこちらに気付き、戦闘態勢を取る。
「楽しみじゃき」
ルナも興味があるらしい。
フィン君は杖を構える。
「我が英雄よ。万物を守り、そして倒せ。召喚魔法《サモン》・
フィン君が詠唱を終えると、目の前の地面に魔法陣が刻まれ輝き始めた。
そして魔法陣から巨大なゴーレム、いやロボットが現れる。
「どう見てもガ〇ダムじゃねえかあああああああああ!」
俺は思わず大声を上げる。
素材は石や土で作成されているが、全身は二十メートル近い。
装甲に翼。腰には巨大な剣、肩に盾がついてあるが、こいつだけ出るジャンルを間違ったとしか思えない見た目をしている。
どういうこと?
だが、そんなことはどうでもよい!
うちの新入りが、世界観が壊れるほどの強者だったことを素直に喜ぼう。
フィン君が居れば、ルナの食費も余裕で稼げるぜ!
敵のゴブリンもその巨大さに言葉を失っている。
「行け、ドルトムント!」
フィン君の言葉と共に、ガ〇ダムもといドルトムントが動き始める。
ドルトムントはゼンマイ仕掛けのロボットのようにカタカタした動きで、ゆっくりと拳を振り上げる。
遅いな……。
そして、その拳を振り下ろした!
その拳はゴブリンの目の前に振り下ろされ、地面を砕いた。
「凄いんじゃ!」
ルナは歓声を上げる。
確かに凄い威力だ……。
外したが、ゴブリンのその威力にビビッて動きが止まっている。
このまま追い打ちをかければ、すぐに倒せる。
だが、フィン君は追加の命令をする気配がない。
「フィン君、動きが止まっているうちに止めを!」
だが、フィン君はこちらを真っ青な顔で振り向く。
「ま、魔力が……」
フィン君はそう呟くと、そのまま地面に倒れ込んだ。
謎のポーズを取ったまま静止したドルトムントを放置して。
「は?」
俺は突然の状況に、そう呟くことしかできなかった。
結局俺達は、ドルトムントが動かないことに気付いたゴブリンに襲われるフィンを救出することとなった。
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