54.いや、どうしてこんな事になった? アクアとリルとウッさ達の関係

『新しい藁がきたよ。みんな順番に運んで!』


『『『はいっ!!』』』


『この前決めた通りに! 後で籠もくる』


『『『はいっ!!』』』


『……』

 

 アクアとリル、そしてウッサー達を見つめる俺。アクアとリルの指示により、玄関先から家の中へ、どんどん荷物を運んでいくウッサー達。アクアとリルは、指示を出した後は、ウッサー達を見ながら自分達も荷物を運んで。


『スッケーパパ、籠もすぐにくる?』


『あ、ああ。今日のお昼過ぎには届く予定だぞ』


『分かった。モンティー、やっぱりすぐに籠が届く。今のうちにしっかり他の荷物は運んでおく!』


『はいっ!! アクアさん!!』


『廊下に落ちちゃった藁は、後で拾うの! 綺麗にしていないとダメです!』


『『『はい!! リルお兄ちゃん!!』』』


『リルさん! これはどんな感じに置いたら良いでしょう!』


『うんと、これはねぇ……』


 いやいや、本当に何があったんだよ、お前達。


 グレーさんとシェリさんの結婚パーティーから2日後。パティーは最後までしっかりと行うことができて、グレーさんとシェリさんにはパーティー後に、改めて感謝の言葉をもらった。そして今グレーさんとシェリさんは、残りの旅行を楽しんでいる最中だ。


 そして俺といえば、滞っていた自分の仕事を、急ピッチで終わらせて、ウッサー達の事を済ませることに。と、思っていたんだけど。

 

 俺が遅れていた仕事を終わらせて、リルの説明だけじゃ不十分だろうと、改めてここの話しをして、ウッサー達の話しも聞こうとしたら。アクアとリル、ウッサー達が、まさかの事態になっていた。


 まず最初に、俺がこれからの事を、と言いかけると。アクアとリルから、必要な物リストを渡され。俺よりも先に仕事を終わらせた、アマディアスさんに書いてもらったらしい。

 その買い物リストには、ウッサー達に必要な物が書かれていて。慌てて詳しく聞くと、なんとウッサー達。アクアとリルの話しを聞いて、何故か俺の家に、このまま住みたいと思ったらしい。それで、改めて必要な物をみんなで考えて、リストにして俺に渡してきたと。


 この広い家で、しかも使っていない部屋ばかりだから、別に住むのは構わなかったけれど。でもまさか、俺のいない所で、そこまで話しが進んでいるとは思っておらず、驚いてしまったよ。


 ただ、アクアとリルの話しを聞いてだけのウッサー達。俺はもう1度確認もかねて、ここの話しをして。森へも連れて行った。もしかしたら、やっぱり外の方が良いと思うかもしれないからな。でも結局は、やっぱり俺の家が良いと、ウッサー達は俺の家に住むことになったけど。


 そうして驚いたウッサー達の引っ越しだけど、他にも驚いたことが。驚いたというか、何故そんなことになったのかっていう、驚きとたくさんの疑問が生まれた。


 ウッサー達が、アクアとリルを『お兄ちゃん』呼びか、『さん』呼びに。基本的にアクアとリルより年下の子達はお兄ちゃんと呼んでいて、それは分かるけど。アクアとリルよりも年上のウッサー達がみんな、『さん』呼びなんだよ。


 しかも返事をする時は必ず、元気の良い『はい!』で、しっかりと並んで返事をするんだ。並べない時でも、必ずアクサとリルの方を見て、きちんと返事をする。それはまぁ、何かの隊員みたいに。


 そんな様子を、最初は思わずぼけっと見てしまっていた俺。そんな俺の所に来たのは3匹のウッサー達だった。

 みんなで話し合った結果、自分達も名前が欲しい、俺に名前を付けてもらおう!! と決まったと。アクアやリルを見ていて、『名前、カッコいい!!』ってなったらしい。


 だけどアクアとリルと話して、いきなり全員の名前は大変だから、まずはリーダー格の3匹のウッサーの名前を考えてもらおうって。3匹のウッサーが代表して俺の所へ。


 それを聞いた俺。心の中でアクアとリルにナイス!! と言った。ウッサー達全員の名前を付けるのは流石にな。と、感謝していたら。

 

『後で少しずつ、みんな名前付けてもらう』


『みんなお名前なのぉ!!』


 ってさ。結局、全員付けるんかい!! と、またまた心の中でツッコミを入れながら、群れのトップウッサーにはモンティー、2番目のウッサーにはシャノン、3番目のウッサーにはリリと名付けて。とりあえず名付けは済んだ。済んだんだけど……。


 ここからが、1番何でそうなった? って感じで。部屋の準備が整うまでの間、アクアを師匠とし、リルはアクアの補佐となって、ウッサー達の戦闘訓練を実地していたんだ。しかもそれは、今行われている、ウッサー達の部屋の用意が終わってからも続くらしくて。


 ちなみに今は、新たにここに住むウッサー達のための、買い物リストで注文した、藁や干し草、餌入れなどが届いた所で。それを全員で、アクアとリルの指示を受けながら運んでいる。自分達で決めた間取りに合わせて。


 と、それは良いんだが。どうして戦闘訓練なんかしているのか。しかも結構なスパルタで。俺のアマディアスさんとジェラルドさんの訓練を思い出す程のな。


 俺はすぐに、その理由を聞いたよ。そうしたらウッサー達が俺達の家の来た日、アクアが俺のお手伝いから戻ったら、リルとウッサー達が『強くなるぞ!!』と、気合を入れていたと。


 それで一応はどうして『強くなるぞ!!』ってなったか、リルに聞いたみたいなんだけど。頑張って俺のように強くなる!! 大切!! と言われ? ウッサー達もそれに頷き。何故かそれで納得したアクア。それからはアクアが師匠として、リルと一緒に戦闘訓練を始めたと。


 いやいやいや、リルはこの森や街、施設について話していただろう!? 何でそんな話しになったんだよ!? だけどみんなめちゃくちゃやる気でさ、どうにも止められなくて。仕方なくもう1度俺は、リルから話しだけは聞くことに。


『ここの話しをしていたんだろう? どんな場所か、しっかり説明していたのを、途中まで俺は聞いていたぞ』


『うん!! リル、いっぱいお話しした!!』


『それなのに、どうして途中から強くなる話しになったんだ? いつからその話しを始めた?』


『ん? リルねぇ、いっぱいお家のお話ししたの。それからスッケーパパのお話しもして。それでそれで……あれ?』


 いや、だから、本当どうしてそんな話しになったんだよ。


 それからずっと、今の状態が続いている。たぶんこの様子だと、もう変わることはないんだろうな。アクアが師匠でリルも先生。モンティー達のリーダーとして尊敬される存在になるんだろう。


 はぁ、アクアとリルがなぁ。余計な事を教えなければ良いけど。まぁ、ここで生きていくのに、力を付けるのは良いことだけど、それでもなぁ。


『アクアさん!! 訓練の場所ですが、今だけ荷物を置いて良いでしょうか!!』


『今は部屋を綺麗に整えることが大事。とりあえず荷物を全部運ぶから、今は訓練の場所に荷物を置いて良い』


『はい!!』


『リルお兄ちゃん、これはどこに置くの?』

 

『これはおもちゃだからそっち。あとあと、宝物もこれからいっぱいになるから、お片付けが終わった後は、絶対にここにはそれ以外の物は置かない方が良いよ!』


『は~い!!』


『アクアさん!! リルさん!!』


『アクアお兄ちゃん!! リルお兄ちゃん!!』


『これからみんな、毎日訓練と、楽しく遊ぶ!! あと仕事も頑張る!!』


『みんなで強くなるの!! それでいっぱい遊ぶなの!!』


『『『はいっ!!』』』


 いや、だから、本当にどうしてそうなった?

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