53.喜んでもらえたパーティー、シェリさんの闇?

『こ、これは!?』


『私達が予約しにきた時は、こんなお店じゃなかったわよね? 私達お店を間違えたかしら』


『いいえ、間違っておりません。実は……』


 グレーさんとシェリさんが、予約していた食堂に行って奥に入った途端、固まる2人。そんな2人に俺は、これまでの話しと食堂について話した。


 絵を描いてもらったグレーさんとシェリさん。絵の後は衣装を着たまま、施設の中をガイド付きで楽しんでもらった。


 それから絵については、最終仕上げをするために、絵は一旦グランヴィルに戻したよ。額に入れたり、最後の装飾をしたりするためだ。レストランで食事をしている時に、渡そうと思っている。

 

 2人に施設を楽しんでもらっているうちに、俺は最後の確認へ。食堂の確認だ。そうして中を確認すれば、完璧としか言えないほどの完成度で。さすがアマディアスさんだと思ったよ。

 

 食堂のど真ん中、1番目立つ所に、ドンッ!! とアースドラゴンの頭の骨が飾られていて。周りにも壁や天井から垂らすようにして、骨が至る所に飾られていた。

 そしてそれを見て、立居入り禁止の札から入らないように、我慢しながら見ている子供達。我慢してて偉かったよ、すぐにでも近くで見たいだろうに。


 後でしっかりと骨を配らないとな、と思いながら、頭の骨に近づけば。アマディアスさんとカルロスさん、そしてローゼンベルトさんが近寄ってきて。今の状態を教えてくれた。


 骨に関しては、アクアとリルが飾っている物で終わりだった。というかアクアとリル、見なくなったと思ったら、ここでも手伝いをしていたのか。蝶の髪飾りのことで、しばらくはあ~だこ~だと言っていたけど、いつの間にかいなくなっていたんだよ。


 なんかどうしても欲しそうな事を言っていたから、後で同じ物を買ってやろう。装飾品に関しては、お客さんが気に入った物があり、在庫がある場合は買えるようになっている。もちろん新しいものを渡すぞ。


 さっき確かめたら、蝶の髪飾りは後2つあるみたいだから。シェリさんが買って帰っても、もう1つを買ってやれる。アクアもリルも頑張って手伝ってくれていたからな。ご褒美に買ってあげようかと思って。


 料理に関しては、すでにほとんどの料理を作り終えていて。暖かい料理はしっかりと魔法で温めているし、冷たい料理も魔法でしっかりと冷やしていると。


 ちなみにジェラルドさんだけど、オークジェネラルを狩ってきた。付いて行ったジェラルドさんの仲間、モナの話だと。剣も使わずにデコピンで倒したと。その理由は、剣を汚して手入れをする時、ノーマンにぐちぐち細かく言われるのが面倒だかららしい。


 デコピン……。どれだけジェラルドさんは力が強いのか。というか、しっかり手入れをすればノーマンにぐちぐち言われることもないのに。自分の大事な剣なんだから。

 まぁ、とりあえずは、オークジェネラルの肉も揃って、かなり豪勢な食事にはなったから良いけどさ。


 そして会場内の準備だけれど。アマディアスさんはしっかりと全てを終わらせていて。グレーさんとシェリさん、主役の2人が座る席は程々に豪華に。他の人達が休憩用の座る椅子もしっかりと用意してあった。


 後は料理を置くてテーブルと食器の用意、飾りもバッチリで。バッチリと言うか、幻の花と言われている花まで飾ってあって。もしも売れば、国家予算までとは言わないけれど、それくらい凄い値がつく花で。

 準備をしてくれている人達が、時々ビックリして止まって見ていたよ。一体どこから花を持ってきたんだか。


 と、まぁ、色々言いたいことはあるけれど、こんな感じで準備はしっかりと終えることができ、後はグレーさんとシェリさんを待つだけに。

 

 そうして時間通りにやって来たグレーさんとシェリさんは、中を見て驚き固まり。俺はそんな2人に、今回のことについて説明したところだ。


『何も聞かずに用意してしまい、申し訳ありません。普通の方が宜しければ、すぐに元に戻しますので』


 勝手にやってことだからな。こんなこと俺達は頼んでないだろうと、普通のご飯に戻してくれと言われれば、すぐに元に戻すよ。

 そのために、みんな向こうで待機してくれている。どうなるか分からないと、最初にみんなには話してあり、そのことについてみんな納得してくれているから問題はない。


 グレーさんとシェリさん返答を待つ。と、すぐだった。シェリさんがガバッ!! と俺の両手を掴み、ブンブンと振ってきた。


『スケさん!! こんな素晴らしい物を!! ありがとう!! 本当にありがとう!!』


『スケさん俺からもありがとう!! 村でだって、こんな凄い物を見たことがないのに!!』


『なんて私達は幸せ者なのかしら!!』


『飾りも食事も、こんな凄いの見たことないよな!! それに骨だって!! アースドラゴンだぞ!! くくくっ、村のみんなに自慢してやる!』


『本当よ。私だって義妹に……。あいつ、自慢した後、潰してやる』


 ……義妹と何があったんだ? え? 今まで凄く喜んでくれていたのに、急にオオカミ獣人の狩モードのに入ったけど? 

 いやさ、この森に入るのに、真実の目でしっかりと鑑定しているから、シェリさんが危険な人物でないことは分かっているけど。本当義妹と何があったんだ?


 気になったものの、すぐに喜びモードに戻ったシェリさん。2人に、ちょうど食堂を利用しに来ていたお客さんも、パーティーに参加させてもらって良いか確認をして。許可をもらったから立ち入り禁止の札を外し、たくさんのお客さんがいる中パーティーはスタート。


 パーティーは大盛り上がりで、その日の夜遅くまで、パーティーは続けられた。

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