49.ススとケケの攻撃、ブッガー達の何とも言えない雄叫び

『うらぁ!!』


『おらぁ!!』


『ぐあぁぁぁっ!!』


 うん、俺が思っていた以上に、ススとケケの攻撃は上手くいっている。そのまま何事もなく、変な攻撃で骨をボロボロにしなければ完璧だ。


 2人は魔法を交互に使ったり、上手い具合に合わせたりしながら、確実にアースドラゴンを追い詰めている。そんな2人の強い攻撃を、森の魔獣達は少し離れた所から、驚きの表情で見ていて。

 まぁ、そうなるよな。最弱のはずのスケルトンが、アースドラゴンを追い詰めているんだから。


そしてそんなススとケケを見て、アクアやリルのように、凄くはしゃいでいるのがブッガー達だ。


『そこだ、やっちゃえー!!』


『足を狙って!!』


『パンチだ!! 次はキック!!』


 大盛り上がりだよ。パンチとキックって、師匠に習ったのは魔法なんだから、カッコいい魔法を見せて!! って応援の方はあってると思うけど。まぁ、その習ってる過程で、パンチなキックも強くなってるけどさ。

 なんて思いながら、俺は驚いている魔獣達の方へ。一応俺達が何でここに来たのか、話しておかないといけないからな。


『こんにちは』


 ビクッ!! 俺が声をかけた途端、まあ、みんながビクッと驚いた。いや、そんなに驚かなくても


『だ、誰だお前達は!!』


『アースドラゴンだけでも面倒なのに、またおかしな奴らが』


『この森はどうなってしまうんだ!?』


『やっぱり隣の、魔王や勇者が居る、やたら強い奴らが揃ってる森へ、危険でも移り住んだ方が良いのか!?』


 待て待て、俺の話しを聞け。別にみんなには何もしないから。俺から少し離れ、しかも体を仰け反らせる魔獣達。俺達はどれだけ不審者扱いなんだよ。

 

 小さくため息を吐きながら、俺達が何処から来たか、自分達が何者なのか、今回ここへ来た理由について簡単に説明した。それで何とかみんな落ち着いてくれたんどけど。


『そうか、倒してもらえるのなら、それはありがたい』


『俺達ではどうにもならなかったからな』


『おい、アースドラゴンを倒してもらったら、アースドラゴンはスケルトン達にやって良いな』


『ああ。倒すのはスケルトン達だからな』


『たが、やはりあの森に住む者達は、おかしい者達が多いのだな。あの2人のスケルトン。あれの動きはどう考えてもおかしい』


『そうだな。あの2人はおかしい。お前は強い2人にくっ付いてるって来たってところか? 強い仲間がいて良かったな。いや、お前もあの森に住んでいるってことは、少しは強いのか?』


『そうでね。そんな感じです』


 久しぶりにほぼ普通のスケルトンに見られたな。うん、そんままにしておこう。


『じゃあ、どんな攻撃が飛んで来るか分からないから、ここから動かないで待っていてくれ』


『分かった』


『すまない、本当に助かる』


 話しを終わらせて、ススとケケの近くに。そういえば、新しい技をやるって言ってたな。まだやっていないみたいだけど、一体どんな技なんだろう?

 ここまで順調だけど、どうせならこのまま、何もせずに普通に倒して欲しい。なにしろ結婚のお祝いになる骨なんだから。……なんて思っていたら。


『スス!! そろそろ良いんじゃないか?』


『そうだな! よし、次の攻撃で奴が下がった瞬間に狙うぞ!!』


『分かった!!』


 ……やっぱりやるのか。本当気をつけてくれよ。不安になりながら、ススとケケの攻撃を見守る。


 ススが右から水魔法で攻撃、ケケが左から風魔法で攻撃をしようとした。ん? 何で2人は、背中に背負っている剣を取ろうとしているんだ? あの剣は飾りで持っているだけだろう?


 俺はジェラルドさんの訓練も受けたから、こういう戦う時は常に剣を持って来ている。だけどススとケケは、剣の訓練を受けていないのに、剣を持ち歩いているんだ。その理由は、『カッコいいから』らしい。


 そんな飾りの剣に手を伸ばしている2人。俺が不思議に思っている中、2人の魔法攻撃は続き。何回かアースドラゴンは2人の攻撃で、後ろに下がっていたんだけど。力を込めた魔法攻撃に、再びアースドラゴンが後ろへ下がった。その時。


『うらぁっ!!』


『おらぁっ!!』


『グガアァァァッ!!』


 ススとケケがアースドラゴンの胸に向かって、剣で同時に攻撃をした。お互いの得意魔法を剣に乗せて。その攻撃にアースドラゴンが思い切り後ろに飛ばされる。そうして煙が収まればそこには。胸に剣と魔法による、ギザギザの傷を負ったアースドラゴンの姿が。


 そしてそれを見たブッガー達は大興奮。


『ひょーっ!!』


『ふぉーっ!!』


『へぁーっ!!』


 ……何だ、その喜びの雄叫びは。ひょー、ふぉー、へぁー? 凄い!! とか、カッコいい!! とかで良いじゃないか。

 いやいや、じゃなくて今の攻撃はなんなんだ。ぜんぜん腰がはいっていないじゃないか!! いや、それでもなくて、だから何で、訓練していない剣で攻撃なんだよ。俺はすぐにススとケケの所へ。


『あれぇ? 綺麗な丸の傷跡が付くはずだったんだけどな』


『こう、練習通りにやったんだけどな。力の入れ方を間違えたか?』

 

『おい、今の攻撃は何だよ!!』


『いやぁ、俺達2人だけで、お前の真似して剣の練習してたんだけどさ』


『あれだけ岩だと成功してたから、いけると思ったんだよ。こう、綺麗な丸の傷跡が付くはずだったんだ』


『力入れすぎたみたいで、失敗だよ』


『失敗だよ、じゃない!! 見てみろ、ギザギザの傷のところ。かなり酷いギザギザじゃないか!! もし骨にあの攻撃がとどいていたら、どうするつもりだったんだ!!』


『悪い悪い』


『できると思ったんだけどなぁ』


『もう良い!! 後は俺がやる!!』


 俺はイライラしながらアースドラゴンの所へ。と、急にアースドラゴンの魔力は跳ね上がった。へぇ、まだこんな力が残っていたのか。何でススとケケと戦っている時に、この力を出さなかったんだ? それとも怒りで、いつも以上に力が上がったか?


『……お前達、お前達。お前達は一体何者だ!! 俺が、この俺がスケルトンなんかに!!』


『あー、まぁ、少し他のスケルトンとは違うんだよな。だけど少し違うだけで……』


『……殺してやる、殺してやるぞぉぉぉっ!!』


 今までで1番の速さで、俺に向かって来たアースドラゴン。


『すまないが、お前の骨使わせてもらうぞ』


『ガアァァァッ!!』


『フンッ!!』


『グギャアァァァッ!!』

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