50.アースドラゴンの骨をゲット、だけど解せない

『さて、これで良いかな?』


『良いんじゃないか、大部分は綺麗に肉を剥がせてるし』


『やっぱり細かいところは、帰ってからやった方が良いだろう』


『後はリル対策だな。他の子供達用にも必要だろうし』


『アースドラゴンの骨は全部使うんもんな』


『ああ。だけどこんなに大きな骨は、なかなか見られないからな。リルも子供達も見たら大興奮だろう』


『そうなんだよな。まぁ、帰りながら対策は考えよう』


 俺達とアースドラゴンとの戦いだけど。結果から言えば最後の俺の一撃で、しっかりと仕留めることができた。ススとケケじゃないけど、雷魔法を剣に合わせ。アースドラゴンの首の部分、胴体と首の所の骨が繋がっている部分をしっかりと狙い。一撃でスパっと首を跳ね飛ばした。


 そのため骨には一切傷をつけることなく、アースドラゴンの討伐に成功。アースドラゴンを討伐した後は、3人でささっと、大まかにだが骨から肉を削ぎ落とした。今骨には少しだけ肉が付いている状態だ。

 

 だけどこれ以上骨から肉を取るのは時間がかかるし、綺麗に取るには帰ってからやった方が良いから、俺達は街へ帰ってから作業することに。思ったよりも早く討伐できたため、アクアとリルには帰れないかもしれないと言ったが、深夜1時頃になるだろうが帰ることができる。


 だけどただ帰るわけじゃない。これからの対処を考えながら帰らないといけないんだ。これだけの大きさの、しっかりとした骨。骨大好きのリルや、他の子供達が見れば放っておくわけもなく。

 しかしこれは贈り物だから。リル達が遊んだらボロボロの骨になって、贈り物にならなくなってしまう。だからその対策をどうするか、考えながら帰らないといけない。


 俺は空間魔法を使い、骨と肉を全て空間にしまい。血で汚してしまった場所にクリーン魔法をかける。

 ちなみに、ドラゴンの血も色々な物に使えるため、しっかりと集め。いつも空間魔法で持ち歩いている、何かあった時用に使う空の壺にしまった。


『さて、それじゃあ帰るか』


『ああ』


『帰ったら、また新技の練習しないとな』


『そうだな。本番で使えないんじゃ、しょうがないからな』


 ……まだ練習するのか。まぁ、失敗せずに使えるようになれば、大きな力にはなるか。


 こうして全てを片付けた俺は、魔獣達に声をかけて帰ろうとしたんだけど。振り向く前に、魔獣達の方が俺達に話しかけてきた。


『こ、今回は本当に助かった。恩に着る』


『お、俺達だけだったらどうなっていたことか』


『そ、それで、お礼と言ってはなんだが。もっと骨が欲しいようなことを言っていただろう?』


『い、今急いで骨を集めてきたんだ。受け取ってくれ。これで足りれば良いんだが』


 魔獣達が俺達の前に、バラバラと結構な量の骨を置いた。その中には頭の骨がそのまま綺麗に残っている物も。


『こんなに? 良いのか?』


『あ、ああ。骨ならまた集めれば良いからな』


『ぜ、是非持って帰ってくれ』


『すまない、助かる』


 魔獣達のおかげで、リルと子供達対策を考えなくてすんだ。これだけの骨があれば、アースドラゴンの骨には勿論集まるだろうが、それでもボロボロになるようなことはしないだろ。と、骨のことは解決したけれど。何で魔獣達は、そんなビクビク話しているんだ?


『よし、じゃあ帰るか』


『そうだな』


『ドラゴンの肉、食べたいなぁ』


『それも帰ってから決めるから。ほら、行くぞ』


 ブッカー達に乗る俺達。すると後ろの方から魔獣達のコソコソ話す声が聞こえてきて。


『本当にやばいのは、手下だと思っていた、最後に戦ったスケルトンだったな』


『俺達失礼な態度とってないよな』


『だ、大丈夫なはずだ』


『それに骨も捧げたしな』


『あの方はスケルトンじゃない』


『ああ。スケルトンがあんなに強いはずない』


『あれはきっと、スケルトンの姿をした、別の生き物だ』


『良いか、絶対に逆らっちゃいけないぞ』


 ……おい。捧げるとか、スケルトンの姿をした別に生き物だとか、俺はアースドラゴンよりも恐ろしい生き物か!! 俺はただのスーパー銭湯を経営するスケルトンだ。

 俺はため息を吐きながら、魔獣達の方を振り向く。するとやはりビクッと震える魔獣達。アースドラゴンを倒したのに解せん。


『おい、もしよかったら、隣の森に遊びに来い。魔王と勇者が作った森にな。お前達が思っているのとは違って、とても良いところだぞ。そして良かったら俺が経営するお店に遊びに来い』


『経営?』


『何だそれ?』


 あ~、そうか。普通の魔獣は経営なんて言葉知らないか。とりあえず見てもらえれば分かるだろう。


『遊びに来れば分かるさ。是非来てくれ、待ってるぞ。よし、じゃあブッガー行こう』


『うん!!』


 走り出すブッガー達。すぐに魔獣達は見えなくなった。森を走りながら、来る時に魔獣達に施した結界を消していく。もう必要ないからな。そうして森の出口に近づくと、最初に出会ったウッサー達の所へ。

 最初にしっかりとした情報をもらったから、こちらもしっかりと、アースドラゴンを倒したと報告するために、ウッサー達の所へ寄った。が、そこでまさかの提案をされることに。


 なんとウッサー達、俺達の森へ行きたいと言ってきたんだ。何も分かっておらず、さっきの強い魔獣達じゃないけれど、森へ来て怖がられても困るから。一応森の事を簡単に説明したが、ウッサー達はしっかりと理解していて。

 俺達の住んでいる森から来た魔獣達は、みんな楽しい場所だと言っていたし。森でアースドラゴンや他の強い魔獣が現れて怖い思いをするなら、こっちの森へ引っ越したいと。


 ちゃんと森の事を理解していて、群れが納得してるのなら、別に俺が止めろと言う理由はないからな。帰るついでに、ウッサー達を一緒に連れて行くことにした。

 

 約50匹くらいのウッサー達の群れ。思ったよりも多かったが、それぞれ分かれてブッガー達や、俺達に乗ってもらい。俺が落ちないように結界を張って、今度こそ俺達の森へと向かう。


 そうだな。今は急いでいるから、とりあえず俺の家に来てもらおう。そしてグレーさん達のことが終わったら、ゆっくり話しをしよう。街の側で暮らすか、森のどこに住むかをな。

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