38.絵のための新しい店舗と家の建築開始
「ここはどうする?」
「ここはもう少し広くしてもらって良いか。ここへ来てくれたお客さんが、俺達がどんな絵を描くのか、どんなサイズの絵があるのか。見本を並べようと思ってるんだ」
『そうだな、見本があった方が良いだろう。それに混んだ時の事を考えて、椅子ももう少し多く置けるようにしよう』
「中はどうする? それぞれの絵を描く部屋はもう決めたが、他の準備する部屋は、簡単にしか決めていなかっただろう。それにグラスリザード達の家もどうする」
『それなんだけど、もう少し範囲を広げようと思ってて』
グランヴィルとの話し合い後、色々確認する事があったから、その確認をした後。俺は改めてグランヴィルと、他の関係者を集めて、詳しい話し合いの場を設けた。
企画的にはお客さんに楽しんでもらえる物だし、俺的にも問題はなかったけれど。他の人の話しも聞いて、本当にその企画ができるのか。その話し合いは必要だからな。
そうして行われた話し合いだけれど。うん。話しが終われば、問題なくみんな賛成してくれて。すぐに準備に取りかかることに。
まず、店舗だけど。店舗は余っている店舗を使うのではなく、森に面している場所に、新しく増築することになった。
もともとアマディアスさんが、これからもどんどん必要になるはずだからと。施設のために、かなり余分に土地を用意してくれていたため。まだまだかなりの余裕があるから、増築するには何も問題はなかった。
それと、森に面している場所に店舗を作るには、他にも理由があって。グランヴィル達絵師が、近くで紙が作れると良いんだけどな、と話しているのをたまたま聞いた俺。
どういうことかと聞いてみれば、紙作りを手伝ってくれている魔獣が、街から少し離れている場所にいて。これからたくさん紙が必要になった場合、遠い場所で作って運んでくる、という作業だけでも、それなりに時間がかかってしまうのではないか。ということだった。
なので俺はすぐに、その手伝ってくれているという魔獣達に会いに行くことに。そうして会った魔獣がグラスリザードだった。大きなトカゲって感じの魔獣だけど、肉食ではなく草ばかり食べている、おとなしい魔獣だ。
そして俺達はこのグラスリザードに、かなり世話になっている。グラスリザードはある決まった草を食べることで、粘液を体から出すことができるんだ。
その粘液はかなり粘りがきつく。粘液を使い敵からの攻撃を防いだり、逆に攻撃したりと、様々なことができる。
が、それだけではなく、俺達が何かをくっつけるために使う、ノリとしても使用することができる。だから街ではノリを作る人達が、時々グラスリザードに粘液をもらい行っていて、勿論グランヴィル達のように、ちゃんと粘液のお礼をしているぞ。
それでそのグラスリザードの粘液だけど。紙を作るのにも適しているらしく。こううまい具合に薄めて使うらしい。まぁ、その辺は俺は素人だから、それはいいとして。
何故俺がグラスリザードに会いに来たか。それは従業員として雇うためだ。どれだけの紙が必要になるかは分からないけれど。グランヴィル達絵師には、少しでも動きやすくしてもらいたいから。
もしもグラスリザード達が良ければ、街の近くに。というか森に面している、新しい店舗の近くに引っ越してきてもらって、そこで暮らしながら、時々手伝ってもらえればと思ったんだよ。もちろんそのお返しに、グラスリザード達が必要な物は用意するし。
そうなると、グラスリザードはもう立派な従業員だろう? だからその話しをしに、俺はグラスリザード達の所へ行ったんだ。
そして俺やグランヴィル達の話しを聞いたグラスリザード達は、街にも入れるのなら楽しそうだからと、喜んで引っ越してきてくれる事に。
こうしてグラスリザード達の家は街の近くに。それに合わせるように、新しい店舗は、森に面した場所に作る事になったんだ。
話し合いと従業員の確保が済むと、いよいよ本格的に店舗と家の建築が始まった。ここまで俺とグランヴィルが最初の話してから、たったの3日だった。
「そうだ、スケ。お願いがあったんだった」
お昼休憩の時だった。グランヴィルが俺の所へやって来た。
『何だ?』
「壁に飾る見本の絵なんだけど。スケとアクアとリルに、モデルになってもらえないかな?」
『俺達に?』
「だってスケはここの責任者なんだから、やっぱりスケの絵がないと。それにアクアとリルはいつもとっても楽しそうでさ。その楽しい感じを絵にしたら、お客さん達もそんな楽しい絵を描いてもらいたいって、思ってくれるかもしれないだろ? 他にも何人か頼んでるんだ。ウェンセスラスさんに、アマディアスさんに、他にもな」
『ジェラルドさんは?』
「あ~、たぶん今はなぁ。ジェラルドはそのうち考えるよ。ただアマディアスさん達も今は忙しいから、落ち着いたらって事になってるんだ。だから最初はスケ達にお願いできればって」
『分かった。別に構わないぞ』
「ありがとう!! じゃあ後で少し時間をもらえる? どのくらいの時間で描けるのか。それも大事だろう?」
『そうだな、あんまり時間がかかるんじゃ』
それで混み合って、お客さんが帰る時に渡せないんじゃ。理想は30分から1時間くらいか?
『午後、仕事が終わって何もなければ家に来てくれ』
「分かった!!」
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