33.実は色々と恐ろしい? 目覚まし鳥②

 実は目覚まし鳥、極悪党達も避けるほどの、戦闘能力の持ち主である。そう、それは物理的にも、精神的、音的にもという意味で。


 可愛い見た目で、とても役に立つ目覚まし鳥。淡い水色でも皆同じ色はなく、それぞれ少しずつ違うため、珍しい色の目覚まし鳥達もいるんだ。

 そのため珍し魔獣を非合法に集める、厄介な奴らが居るんだけど。そういう奴らに、やっぱり珍しい色の目覚まし鳥達は、昔から何度も狙われてきて。


 だけど今ではほとんど、目覚まし鳥を狙う奴らはいない。それは今も言ったように、目覚まし鳥の戦闘能力が凄ましからだ。


 この世界には冒険者という職業がある。魔獣を狩ったり、討伐したり。色々な揉め事なんかを解決したり、文字通り冒険をしたりするする人達なんだけど。

 その人達にはレベルがあり、1番低いレベルがE。それからD、C、B、A、Sと上がっていき。1番上のレベルがSSだ。


 冒険者なりたては皆Eランクだが、レベルを上げるには、訓練をし力をつけ、そして冒険者として、沢山活動をすればするほど、どんどんレベルを上げる事ができるぞ。

  力的にはBが中級の冒険者で、Aから上級冒険者と呼ばれるようになり、SSは特級冒険者で。SSは世界中に10人しかいないんだ。それだけレベルがおかしいってことだけど。


 と、SS冒険者のことはいいんだけど。何を隠そうこの目覚まし鳥達。個体によって差はあるが、冒険者レベルで言うと最低でもBランク。平均でAランクの実力の持ち主なんだ。

 だからそこら辺の魔獣よりも、冒険者達よりも戦闘能力が高く。もしも目覚まし鳥に喧嘩を売ろうものなら、悪さをしようものなら、返り討ちに合う事が多い。


 しかも単独でそれだけの力を持っているのに、ほとんど群れで行動をする目覚まし鳥達。攻撃する時は群全体で攻撃をしてくるため、その力は更に上がり、確実に相手を仕留めてくる。


 でもそれでも、時々悪人に捕まってしまう事がないわけではなく。悪人の方も色々と考えてくるからな。

 だけどもし1匹で悪人に捕まってしまったとしても、ただじゃ起きないのが目覚まし鳥だである。


 目覚まし鳥は自分達の鳴き声だけなら、なんと山2つ分超えても聞くことができるため。すぐに仲間の助けを求める声を聞きつけ、聞こえた仲間のほとんどが、助けに来てくれるんだ。


 ほとんどが……。どれだけの目覚まし鳥が集まることか。そんな集まった目覚まし鳥達に攻撃しようとしても、目覚まし鳥達が全員で結界を張り、そのすべての攻撃を弾き、そのまま全力で突進してくる。


 考えてみてほしい。最低でもBランク、平均でAランクの目覚まし鳥達が、空を覆うほど大量に突っ込んで来るんだ。そのおかげで、今までに壊滅させられた悪の組織がどれだけあったことか。


 しかし目覚まし鳥達の攻撃は、悪の組織を壊滅させただけでは終わらない。悪人が捕まり牢に入れられても、その周辺に集まり大声で鳴き続け、絶対に眠らせないんだ。その大声といったら。大きな街の端から端まで聞こえるほどの大音量で。


 そのため目覚まし鳥関係で捉えられた場合、街から離れた場所に特別に牢を用意してあり、そこに罪人を入れておく事になっている。そうしないと犯罪者以外の、一般住民まで目覚まし鳥にやられる事になっちゃうからな。


 離れた牢に入れられた犯罪者達。めざまし鳥達の鳴り止まない鳴き声攻撃は、朝も昼も夜も続き。そんな生活が1週間も続くと、どんな罪人もほぼ再起不能になり。それを確認すると、ようやく目覚まし鳥達は帰って行くんだ。


 こういう事が何度か繰り返されたため、世界中で目覚まし鳥達は怒らせてはいけない、という認識がされ。今ではほとんど、本当にほとんど目覚まし鳥に悪さをする人達はいなくなった。


 だけどモッチーは。テオドアさんに話しを聞いていただろうに、若かったからか。そこまで真剣に聞いていなかったんだろうな。

 謝っている時にあんなに震えて。かなり怖い思いをしたんだろう。これからはテオドアさんの言うことをよく聞いて、今回みたいな事にならないよう気をつけてほしい。


『さぁ、みんな! 報告が途中になっていたけれど。アオの他に報告はあるか?』


『俺はない、みんなは?』


『私も』


『『『ない!!』』』


『よし、じゃあ今日の夜は、いつも頑張ってくれているみんなに、みんなの大好きなミルクシチューを届けるから。これからもよろしく頼むな』


『『『やったぁー!!』』』


 みんなが喜びながら解散して行く。料理長のカルロスさんに、特製ミルクシチューを作ってもらわなくちゃな。


『あ、スケおじさん』


『どうしたアオ?』


『アクアもうすぐ帰って来るって』


『何だ? もう帰って来るのか? もう少しゆっくりしてくればいいのに』


『ここも方が楽しいって。他のみんなも一緒に帰って来るみたい』


『そうなのか? じゃあ次に遊びに行くみんなを決めておいてくれ』


『分かったぁ!』


 話しが終わるとすぐにみんなの所へ飛んでいったアオ。そうか、アクアが帰って来るか。リルが飛んで喜ぶだろうな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る