19.対策どころかすぐに起こってしまったレベル5の大問題
『これはどういうことですか?』
『いえ、これは……』
『俺はいつも、何かする時は、か、な、ら、ず。俺の許可を取ってからか、アマディアスさんの許可を取ってからにしてください。と言ってますよね』
『それはそうなのだけど……』
『言ってますよね!!』
『……はい』
俺は今、魔獣と魔物専用露天風呂の床に立っている。そして俺の隣にはアマディアスさんと、後ろには係員が数名が、同じように厳しい顔をして立っていて。
アマディアスさんは厳しい顔というか、笑いながら怒っているな。アマディアスさんは本当に怒っている時は、いつも完璧な笑顔になるから。
そんな怒っている俺達だけど、俺達に前には。困った顔で笑っていながら、正座をしているケシーさんが。何笑ってるんだよ!!
そして、ピリピリしている俺達の向こう。浴槽の方では、リルやリルの友達の魔獣達が集まって、湯船の中を見て楽しんでいる。と、こんな風にそれぞれが違う雰囲気の俺達だけど。これには訳があるんだ。
昨日、師匠からもたらされた情報。それにより俺はとりあえずの対策を取っただろう? すぐに対策を取ったはずだったんだけどさ、遅かったらしい。
いや遅かったと言うか、まさか情報を受け取ってから数時間で。みんなそれぞれ何処を警戒するか決めているうちに。ケットシーのケシーさんが、大問題を起こすとは誰が思っただろう。しかも俺が寝ているうちに。
俺が仕事を終わらせて就寝したのは深夜2時。だが、早朝4時に、俺に緊急の連絡がもたらされた。
「スケさん大変です!! 魔獣、魔物専用露天風呂で問題発生です!! 問題レベル5です!!」
俺はその連絡にベッドから飛び起きた。問題レベルとは、俺が考えたもので。もしも施設で問題が起きた場合、それが大した問題じゃなけれな良いけれど。お客さんや従業員に関わる問題かもしれないから?
だから起きた問題に対してレベルをつけ、従業員にはその問題レベルに合わせて、行動してもらおうと考えたんだ。
レベル1からレベル5まであって。レベル1が1番問題レベルが低く。レベル5が1番問題レベルが高い。連絡がきたのは最高問題の問題レベル5。だから俺はベッドから飛び起きたんだ。
隣で寝ていたリルも、その事をしっかりと理解していたから、俺と一緒に起きて、連絡しにきてくれた従業員と共に、問題が発生した場所へ向かった。
それで向かいながら、何が起きたのかを簡単にきたんだけど。ほら、もしかしたらお客さんを非難させないといけないからさ。だけど返ってきた答えは、お客さんには問題ないって答えで。どちらかと言うと俺と施設の問題だと。そして……。
「あのぉ、場所は先程もお伝えしたとおり、魔獣、魔物専用露天風呂で。そこでケシーさんがやらかしました」
『はあぁぁぁぁぁぁ』
俺は思わず立ち止まってしまい、大きな大きなため息を吐いたよ。そうしてもう1度確認した。
『本当にお客さんに問題はないんだな? 避難させないといけないような問題じゃ?』
「それは大丈夫です。お客様には問題はございません!!」
『はあぁぁぁ、分かった』
そう答えていた時だった。アマディアスさんが俺の所へ。問題レベルが高かったから来てくれたんだ。
「スケ、問題が?」
『ええ。ですがお客さんには問題はないようです』
「それは良かった。問題はあの者ですか? あのネコの?」
『はい。ケシーさんが何かやらかしたみたいです』
「すみません。私も今まで気配を感じ取れていませんでした。まったくまわざわざ気配を消してくるなど。私も一緒に行きます。それで何があったのですか?」
今までは全力で向かっていたものの、少しスピードを落として、俺達はケシーさんが問題を起こした露天風呂へ。そして到着までに聞いたことは、『露天風呂が生け簀になりました』だった。
何だ? と思いながら、露天風呂へ到着すると。すでにアマディアスさんの側近の1人、トレントンが来ていて、しっかりとケシーさんを捕まえておいてくれていて。
とりあえず俺達は先に露天風呂の中を見てみることに。そして浴槽の中を除いた瞬間、そこに広がっていた光景に、俺は思わず頭を上げて、空を見上げてしまった。
いつも通りの浴槽ではあるんだけど。中に入る物が違っていた。ここは魔獣達と魔物専用露天風呂なのに、従業員が言った通り、生簀の露天風呂が出来上がっていたんだ。
何があったのかすぐに、最初にこの光景を見つけた従業員と、この問題を起こしたケシーさんの話しを聞くことに。するとまぁ、やってくれたなとう話しを聞かされて。
まず、今の露天風呂の状態だけど。露天風呂の浴槽の中は、ケシーさんが大量に持ち込んだ食用の魚で、完全に生け簀状態になっている。そして露天風呂の浴槽周りには、大量のお酒の入っている樽が置いてあって。これもケシーさんが持ち込んだ物だ。
そして何故、露天風呂がお酒だらけと、生け簀になったのか。ことの始まりは、施設の掃除からだった。
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