story-2-

「お嬢様、こちらです」

運転手が扉を開けてくれる。


「ありがとう、入隊式はいつもの講堂で良いのよね」


「その予定でした」


「そう、私一人で行くから帰っていただいて大丈夫ですよ」


(あそこの階段を使えば、早いはず…)

すぐにスタスタと動かし始めた私の足を、運転手のお待ちください、という声が止める。


「どうされましたか?」


「はい、先程当主様より、お嬢様を舞台入口に連れて来るように言われましたので」


「そうでしたか、ありがとうございます」

(私が、代表者だからかしら)


「私は近道を知っているので、入口まで送りますよ」

「ありがとうございます」

ラリューリアは、運転手のあとを歩き始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ラリューリア、間に合ったのか」


「はい、お父様」

(どうして、お父様が居るのかしら?)


「お前は、舞台にあるあの椅子に座れ」


(あの椅子ね)

舞台に置かれたいくつかの椅子を見る。


「役割は、名前を呼ばれたら、立って返事をする。それだけだ」


「かしこまりました」

お父様は、コクリと頷くといそいそと出て行った。


「ラリューリア・ネリュさんですか?」

(クソジジイが出て行ったと思ったら、次は何よ?)


「はい、ラリューリア・ネリュですが?」

「僕は訓練生総代をしている、ジニアです。」


「ラ、ラリューリアです」

「僕も舞台に座ってますので、困ったことがあれば遠慮なく言ってください」


「ありがとうございます」

私は、総代ににっこりと笑っておいて、席に向かって歩き出した。


入隊式が始めた。席がくらいせいで、上からのライトが、眩しく感じる。

(眩しいー)


「一次訓練生代表、ラリューリア・ネリュ」

「はいっ」

席から立つと、いつも見える景色とは違って見えた。

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