story-1-

「ラリューリアさん…?」

学校の友人から声をかけられる。


「ごめんなさい、ぼーっとしていました。お父様のことでしたよね?」


「そうです!」

きらきらとした期待の眼差しを向けられる。


「よく配信などに出演すると、かっこいい、と騒がれてますよね」

そうなんです!と、友人が大きく頷いているのが分かる。


「ですが、家ではごく一般的な父親ですよ」

「そんなぁー。何かないのですか?LERエルイーアール副隊長という肩書きからは見えない姿など」


間髪入れずに尋ねられる。

(昨日配信にでも出たのかな…?)


ラリューリアは、朝髪の毛を触って毛量を心配していた父親を思い出す。

「強いて言うなら、お父様はああ見えて、年齢を気にしています」


(これで良いのかな)


「ラ、ラリューリアさん。それは、本当ですかっ」

「え、えぇ」


ラリューリアは友人の方を見る。すると、彼女は手を合わせ、頬を赤らめていた。さらに、耳を澄ますと、副隊長でも…と呟いているのが聞こえた。


「ラリューリアさんも、将来はLERの隊員ですか?」


「どう、思いますか?今はまだ言うことは出来ませんので」

LERでは、訓練生の間は名前を公に名前を公開してはいけないことになっている。


「まぁ、そうですよね。名前を言っては行けませんから」


「そのようです。わたくし本日は早退しますので、それでは、ごきげんよう」


にっこりと微笑むと彼女は手を振ってくれた。

(お父様は、貴方が思ってる様な人間では無いのよ…)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お嬢様、LERのヨーロッパ本部まで送りますよ」

学校の外に出ると、お父様の部下が車で待っていた。


「ありがとう!」

お父様の部下が、バッと扉を開けてくれる。


「私が、運転をさせていただきます」

「よろしく」


運転、とは言っても今の時代座るだけで下に見られがちだが、大事な仕事だ。


(彼らは、どう思うのだろうか。私が本当は…)

「お嬢様?」

「っなんでもないわ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る