私は、あいを知りたいらしい

星揺

1章

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「お父様、お呼びでしょうか?」

今となっては珍しい、紙の本が置かれたこの部屋は、いつ来ても苦手だ。この、父の沈黙も。


「明日から、お前も一次訓練生だな」

お父様は、いつもどうり唐突に言葉を発した。


「えぇ、ようやくです」

お父様の鋭い目と目が合い、緊張で目を逸らしてしまう。


「ラリューリア、お前は明日から正式に所属するLERエルイーアールという組織がどのようなものか分かるか?」


「はい、お父様。LERとはartificialアーティフィシャル intelligence インテラリジェンス killerキラーの略でAI犯罪などの取り締まりを行っている組織です」

そうだな、と言いながら頷くお父様とまた目が合う。


「ラリューリア、お前はこのネリュ家がLERにとってどんな存在か分かるか?」

ネリュ家、私の属する一族。


「LERの中でも重要な存在であると認識しています」

「そうだ。ならば当然、明日からの学園生活で私達一族が、お前に望んでいることは分かるな」

(お父様方が、私に、望むこと…)


「家名に泥を塗らない事…でしょうか」

「あぁ、そうだ」


お父様が、くすりと笑う。

私には、その顔がとても怖く見えた。

「家名に泥を塗った時、お前がどうなるか分かっているな」

お父様の声が、笑っている顔とは対称的で、私も負けじと笑顔を作る。


「分かっております、お父様」

(分かっています、すぐに、見捨てるんですよね)


部屋に戻り、カタリと扉を閉じる。さらにカチャリと鍵も閉める。

「…クソジジイがっ」

思い切り叫ぶと、お父様の態度に対する苛立ちが薄まった。

(いつもいつも馬鹿にしやがって…)

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