story-1-

兄から別れると、俺は飛行機に乗った、それから数時間後。

「ここが、LERエルイーアールのヨーロッパ本部…」


翼は、今まで日本でAI犯罪などを取り締まる組織、Iアイ隊に訓練生として所属していた。


そして今回、I隊からの出向という形でヨーロッパでAI犯罪などを取り締まるLERに訓練生として所属することになっている。


飛行機から降りると、威圧感のある男性が立っているのが見えた。

(雰囲気こぇーな)


気を取り直して挨拶する為、男性に近づく。

「はじめまして、灯阿翼ですっ。入隊式に行きたいのですが、会場への行き方は分かりますか?」

緊張で少し声が上がってしまう。


「はじめまして、シーマニア・ネリュだ。入隊式の会場へは私が案内する事になっている。付いてきてくれ」

言い終わると、彼はすぐに動き出した。


「あ、ありがとうございます」

俺には、彼の低くこもった声が妙に怖く感じた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

階段を降りると数え切れぬほど沢山の部屋が見えた。

スタスタと歩く男の後ろについて行く。

(部屋の数が凄いな、日本のI隊とは比にならないぞ)

「日本とはやはり違うか?翼くん」

(気づかれた?)


「はい、そもそも部屋の数が違います。こんなにも違うとは知りませんでした。」

(本当に…部屋の数から組織の大きさが伺える…)


「まぁ、そうだろうな。ヨーロッパ本部には、部隊ごとの部屋はもちろん個人の部屋もあるからな」


父から言われたことを思い出す。

「そうなんですね。個人の部屋と仰いましたが、僕の使う部屋は本部の外と聞きましたよ…?」


「君のご両親が、本部の外に部屋を用意したからな」

(へー…以外だなぁ)


「着いたぞ、ここが入隊式の会場だ」

既に沢山歩いていたらしく会場の前まで来ていた。ネリュさんが扉を開けてくれる。


「っ…」

(広い、やっぱり日本の何倍も。俺はこの中で…)


「翼くん、前に書いてもらった意気込み、読んだよ」


(えっ)

翼は、日本いた時入隊への意気込みを書いて、ヨーロッパ本部に送っていた。一番になると。


「一番になるだったかな?ここで怖気付いてたら先が心配だぞ」

煽るようなことを言われ、俺は挑発的な笑みを作る。

「ここで僕が、怖気付くと思いましたか。ネリュさん」

シーマニアを翼が見る。彼はゲラゲラと笑っていた。


「せいぜい、頑張れよ」

そう言うと彼はどこかへ行ってしました。

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