第5話.危険を感じてお泊り2


「ま、負けた・・・・・・?」


 四つん這いで悔しがっているのは美鈴。

 一方のみやびはというと当然だと言わんばかりにふふん!と胸を張っていた。


「まぁ・・・みやもかなりゲームやるからな。」

「美鈴ちゃんもそれなりに頑張ったんじゃないのかなぁ?」

「うわぁ・・・嫌な奴じゃねえか・・・。」

「と、ということでかー君とは私が一緒に・・・。」

「え?それマジなの?嫌だよ?」

「・・・・・・え?」

「え?だってそうだろ?年頃の男女が一緒に寝るなんて・・・。」


 そういうとみやびは瞳をうるうるとさせる。


「かー君は私の事が嫌い・・・?嫌いになったの・・・?」

「いや・・・そういうわけじゃ・・・。」

「昔は一緒に寝てくれたのに・・・?」

「だ、だからそれは幼かったからで・・・・・・。」


 みやびの目の端に溜まっていた涙が溢れそうになる。


「〜ッ!分かった分かった!!その代わり背中合わせだからな?」


 そういうと、パァっと明るい表情を見せるみやび。

 その笑顔は眩しく可愛らしいものであるが、奏多は深くため息をついた。

 こいつは俺の事を幼馴染兼弟ぐらいにしか思ってなさそうだな。


「お、おにぃ・・・。」

「お前が変な条件つけるからこうなったんだぞ。しっかり反省しろ。」

「むぅ・・・・・・。」


 数秒して、はっ!と何かを察したかのように目を見開く美鈴。

 嫌な予感しかしない・・・。


「・・・・・・・・・・・・てない。」

「美鈴?」

「勝ったら一緒に寝れるって言ったけど・・・・・・負けた人が寝れないとは言ってない・・・。」

「うわ、汚ねえ・・・。」

「そんなの卑怯だよ!!」

「・・・・・・これは監視。発情した乳牛を止めるにはこの手段しかない。」


 淡々と告げる義妹。

 我が義妹ながら汚いことこの上ない。


「私は乳牛じゃないよ!それに発情なんて・・・。」


 お前はそこで頬を赤らめるなよ。


「・・・・・・正当な理由がある。おにぃ。私も寝る。」

「いや俺のベッド三人寝たら窮屈だろ。」

「・・・それは我慢。」

「無茶苦茶じゃねえか・・・・・・。」


 結局奏多が根負けして、二人と寝ることになり自室へと足を運ぶ。


「かー君の部屋に入るの久しぶりかも・・・。」

「ん?あぁそうか。基本的に夕食食ってリビングで話してみや帰ってたしな。」

「すぅーーはぁーー。かー君の匂いがする・・・。」

「・・・変態。危ない。」

「ち、ちち、違うよ!?」


 うるさい。何だこの2人。前々から思っていたが普段大人しい二人のはずなのに混ぜると危険なのだ。


「・・・・・・おにぃ。これなに?」

「ん?なんだ・・・・・・・・・」


 美鈴が手に取っていたのは『年上美女と〇〇〇〇』

 という大人の本であった。


「和希かなぁ!?は、はははっ!あいつが家に来た時に置いていったのかもしれないなぁ!ったくあいつはぁ!仕方ないなぁ!!」

「・・・・・・嘘だね。」

「・・・・・・嘘だ。」


 なんでそういう時だけ息ぴったりなの?


「お兄は年上好き・・・・・・?」

「そ、そそそそそそれに・・・。こ、これは・・・・・・ひゃあ・・・・・・。」

「中を見るな!!」


 慌ててその禁書を取り上げる奏多。


「そ、そのかー君が望むなら・・・・・・ゴニョゴニョ・・・」

「・・・おにぃ。この発情期は無視して寝よ。」

「違うもん!!私は変態でも発情期でもないもん!」


 結局二人が大人しくなるまで、布団には入らず漫画を見たり、ラノベを見たり。

 最近ハマっているFPSをしたりしていた。


「やっぱりキーボード操作って難しいよ・・・。」

「まぁ慣れれば簡単だぞ。」

「マウスで・・・・・・狙うのも・・・難しいよ!」


 結局エイムが下手すぎて誰一人として倒せなかったみやび。


「良いか?まずはこうやって・・・」


 奏多は、やましい気持ち一つなくマウスを握っているみやびの手に自分の手を重ねる。


「ひ、ひゃぁっ!!」

「どうした?」

「な、何でもないよ??」


 奏多の声が耳元で囁かれ、顔を真っ赤にしているみやびに全く気づかず、奏多はひたすらにPCでのFPSのプレイを教え込む。

 それをよく思わないものが一人。


「・・・・・・ぎゅぅ。」

「ッ!痛いッ痛い痛いッ!!」


 奏多の内股を思い切り抓った美鈴。


「おにぃ。もう寝よ。」

「?あ、あぁ眠かったのか?確かに気づいたらこんな時間だし・・・。」

「むぅ・・・・・・。」

「なんでお前まで怒ってるんだよみや。」


 気づけば時刻は、午前零時を指しており美鈴は何故かプンスカしながらも目を擦って欠伸をしていた。


「んー。じゃあ俺はキャンプ用の毛布とかあるから地面で寝るわ。美鈴達は二人でベッドに・・・」

「かー君。」

「おにぃ。」


 パンパンとベッドの真ん中にこいと指図される奏多。


「いやさすがに狭いだろって。」

「「・・・・・・。」」

「はい。行かせていただきます・・・。」


 二人の有無を言わせぬ謎の圧に押し負け結局奏多は、ベッドに入る。


「おやすみ。」

「「おやすみ。」」


 電気を消して三人で寝ていたが、やはり真ん中となると狭い。

 やはり抜けようかと思ったが、既にみやびには腕をギューとロックされ、美鈴には足を絡められていた。


「おいおい・・・・・・。」

「「すぅーー・・・。すぅーー・・・。」」


 二人は既に寝てしまっていたが、みやびは強く胸を押し付けてきていた。


「でか・・・柔らか・・・じゃなくて・・・いやでも・・・。」


 これはこれで良いのかも。という感情と

 さすがに理性が。という葛藤が右側では生まれていた。

 一方左側では。

 みやびと同様すぅすぅと寝息を立て足をからませ腕に抱きついていた美鈴の姿が。


 これには可愛いにつきる。

 さすが我が義妹である。

 しかしこれは・・・・・・。みやびお前のせいで・・・。


「朝まで寝れないコースだろ・・・・・・。」


 結局、奏多はその通り朝まで寝れずに過ごし二人とともに学校へ向かう。








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