第4話.危険を感じてお泊まり1


「ん〜!!おいひいっ!!やっぱりかー君のお料理は最高だね〜!!」


 口に持っていく際に手を添えめちゃくちゃ美しく食べ、幸せそうな表情を浮かべ感想をくれるみやび。

 一方やはり義妹は・・・。


「むぐむぐむぐ・・・・・・。ん。」


 なんだその。ん。は。


「むぐむぐむぐ・・・・・・に、にんじ・・・・・・。」

「食べなさい。」

「で、でもおにぃ・・・・・・。」


 ぐ・・・・・・!お、俺は義妹甘やかし隊隊長であるが、それ以前に、美鈴の兄である。

 好き嫌いを見逃して後々野菜を取らなかったせいで義妹が苦しむ未来を見たくない。

 心を鬼にするべきだ。


「ダメだ。」

「ふん!美鈴ちゃん人参ぐらい食べれないとダメだよ?もぐもぐもぐもぐ。ん〜美味しいっ!!」


 おいポンコツ。

 幸せそうな顔をしてくれるのは作った側としても有難いが張り合うな。そして胸を張るな。


「お、おにぃ〜〜・・・。」

「・・・・・・・・・だ・・・だめだ!!」


 若干心が既にぐらついている?は。笑わすな。

 俺は鋼鉄の心を持つ男。

 そう簡単に揺らぐちょろい男ではない。


「今日だけ・・・・・・ダメ・・・・・・?」

「お兄ちゃんが食べてあげよう。」

「即答!?」


 先程までの厳しさはどこへやら。

 美鈴の上目遣いからの小首を傾げる仕草にやられ奏多は速攻了承する。


「おにぃありがとう・・・。」


 無表情のままそう告げた美鈴。


「むぐむぐむぐ・・・。」


 それからは黙々と食べ進めていたが・・・。


「おい美鈴。ほっぺにカレーがついてるぞ。」

「? ん。」


 目を閉じてこちらに顔を向ける美鈴。

 お兄ちゃんセンサーが告げているがこれは恐らく拭けと言うことだろう。


「ったく。これくらいは自分でするんだ。」

「って言ってしてあげるんだ!?」


 やたらとうるさいポンコツは、美鈴の仕草に何かを思いついたみたいで・・・。


「あ、あのーかー君・・・?私もカレーがついちゃったみたいだなー・・・なんて?」

「自分で拭けよポンコツ。」

「ポンコツ!?」


 しまった。ついうっかり本音を出してしまった。


「むぐぅ〜・・・。ずるい!ずるいよ!!かー君!!」


 前の席に座っていたみやびは、突然テーブルに身を乗り出し奏多を覗き込む。


「ばっ!おまっ!」


 普段は何事にもあまり反応しない奏多だったが、みやびの服の中の刺激的な素肌が見えたため目をそらす。


「何でそんなに美鈴ちゃんに甘いの!」


 何故かこいつは毎回美鈴といる時はやたらとつっかかってくる。

 普段は、ただの可愛らしいポンコツで終わるはずなのだが、こういう時はつっかかってくるうるさいポンコツへと変化するのだ。


「んーまぁ義妹だしなぁ・・・。甘やかすのは当然じゃないのか?」

「・・・ん。特権。乳牛は帰る。」


 ・・・・・・いや辛辣だな。


 奏多は、乳牛と言われたみやびの胸元を見やる。


「な、なに?かー君・・・?そんな目で私を・・・。」


 顔を真っ赤にして両腕で胸を隠すみやび。


「・・・・・・ふむ。乳牛か。」


 あ、しまった。思わず口から。


「か・・・・・・。」

「か?」

「かー君のバカぁッ!!!!」


 バチィィィィィンッ!!と結構でっかい音で鳴り響いたその音はおれの頬にみやの平手打ちがクリーンヒットした時の衝撃音でした。はい。







「いってぇ・・・・・・。」


 頬には、しっかりとみやびの手形が残されており未だにヒリヒリとしていたが、とりあえず奏多は風呂に入ることにした。


「ふぅ。やっぱ風呂は最高すぎるよな。」


 癒しの時間とも呼べる入浴で体を休めていると、突然風呂場の外から声が聞こえる。


「か、かー君?」

「ん?みやか?」

「う、うん。あの・・・怒ってない?」

「いや、怒ってねえよ。そもそも俺が悪いんだし。」


 それについては満場一致で俺に非がある。

 まぁ、それほどに良いバストであったことは間違いない。うん。間違いなく間違いない・・・ん?


「そ、そっか。良かった・・・・・・。」

「? それだけか?」

「うん!後で一緒にゲームしようね・・・?」


 それだけいうとみやびは脱衣所から出ていった。


 俺が悪いはずなのに、こちらの機嫌をうかがいに来たみやびに若干・・・・・・いやかなり罪悪感か・・・。


「ゲームしようね・・・か。」


 幼馴染も可愛すぎる件についてちょっと誰かと熱く語りたい。


「さ、そろそろあがるか。」


 脱衣所に置いていたタオルで濡れた体を拭いて、メールが来ていたスマホを手に取る。


「なになに?『娘は任せた。避妊はするように。』ばかやろう。」


 グッドスタンプまで送ってきていたのは他ならぬ、みやの母親であった。

 奏多は、『アホですか。』とだけ送り服を着ると風呂場を後にし、リビングへと足を運ぶ。


「珍しいな。今日はリビングに居るんだな。」

「・・・・・・ん。乳牛が発情するかもしれない。」

「な!?」


「ま、まだそんな関け・・・・・・」ボソボソと何かを呟きながら顔を真っ赤にしているポンコツと、

 ソファにうつ伏せでダラーーンと寝ている義妹。

 リビングとは普通こんなカオスになるものだろうか。


「よし。みや。久しぶりにやるか?マリモカート。」

「! うん!今日は勝つからね!」

「とは言っても、明日は金曜だし学校もあるから早めに切りあげるからな。」

「え、え〜・・・。」

「文句を垂れない。」

「むぅ〜。」


 大体泊まりに来るなら、明日でも良かったはずだろうけどな。

 なぜ今日来たのか・・・。

 何かボソボソと『・・・・・・美鈴ちゃん・・・・・・・・・フタリ・・・・・・・・・アブナイ・・・・・・。』と

 美鈴との近況を話したあと帰宅途中に呟いていたからそれが原因なのか?

 よく分からんが。


 結局奏多はそれ以上考えることをやめてゲームを始めようとしたが・・・・・・。


「・・・・・・待っておにぃ。」

「お?美鈴もやるか?」

「・・・ん。乳牛とやる。」

「え!?わ、私?」

「ん。勝った方がおにぃと今日寝れる。」


 いやいやいやいや、全くバカな義妹だなぁ。

 そんな事でみやが乗ってくるわけ。


「やる。」


 ・・・・・・・・・へ?


 こうして本人の意思など関係なく始められたゲームは熾烈を極めることとなる

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俺のラブコメが義妹一色になりつつある 〜学校の四人の姫に何故か好かれています〜 望米 @mochi_gome

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