第5話 レレの過去
「報告があります。無名の神であるゼロが、第2位の(トラリア・ミストレ)に消滅させられました。」
そう俺の部下が発言する。
「は?」
俺は、驚きを隠せない。
だってそうだろう。大切な幼馴染が消えたのだから。
この時点で、「トラリア・ミストレ」の命は尽きることが確定した。
「トラリア・ミストレ」そいつは、ここ、第1神界で2番目の実力を持つ者の名である。そして、時に関する能力を持っていて、俺に次ぐ実力を保持している。
(ゼロは、俺の幼馴染で仲が良かった。けれど、第1神界の第1位になったせいで最近は忙しく会っていなかった。けれど、ゼロは悪として君臨する神を次々と滅ぼしていったため、寂しいとは思わなかった。だが、消滅とならば話は違う。ゼロの活躍も、ゼロに会うことすらできない。そんなの悲しすぎる。ゼロは、悪しか滅ぼしていない。故に、第2位のあいつも何かあくどいことをしているのだろう。)
そう心の中で思考する。
「オマエラ。トラリア・ミストレの行動について調べてこい。」
強気の口調で俺は、部下たちに仕事をさせる。
今の俺は、幼馴染が消滅して心が荒れている。だから、俺はこの時「怒り」を感じていた。
その後、部下たちが「トラリア・ミストレ」の悪事について報告した。どれも、巧妙に隠蔽されており、苛立ちを覚えた。俺は、その苛立ちを吐き出すかのように、つぶやく。
「よし。消そう。」
そして・・・
「じゃ。行ってくるわ。」
その言葉を後に、俺は「トラリア・ミストレ」のもとに向かった。
「これは、これは。ラグロフ殿。久しぶりですね。本日はどのようなご用件で?」
老人風の神こと「トラリア・ミストレ」は、そう言葉を吐く。
(こいつ。絶対わかっているだろうに。)
「率直に言う。さようなら。」
その言葉が、引き金となり、戦闘が開始された。
「ーカタストロフー〔厄災〕」
そう言葉を発した途端、目の前にいる老害に不幸が訪れる。
「ぐはっ。」
ゼロとの戦いの傷が今でてきたのだ。
(カタストロフは、厄災を意味している。厄災は不幸な出来事である。故に、相手に不幸を与えることも簡単だ。)
そう心の中で発しながら、ゼロに感謝する。さらに攻撃を畳み込む。
「ライフル【ロケットランチャー】」
ものすごい威力のロケットランチャーが老害に発射された。
(俺は、北欧神話の王として有名だけど、銃「ライフル」をつかさどる神だぜ。)
だがしかし、その老害は当たり前のごとく、それを避ける。
(まあ、こいつの能力は時に関する何かだ。故に、未来視などもできるだろう。)
「そろそろ、本気を出しましょう。」
「―クロノスー」
そうつぶやいた刹那・・・
時が止まった。
(まあ、時を止めることもできるよな。)
(時が止まっても、この老害は動ける。だけど、俺は動けない。)
(面倒なこと仕上がって。)
そう心の中でつぶやくが、まだ、心には余裕があった。
そいつが、近づいて殴りかかろうとした刹那・・・
目の前の老害に不幸な出来事が訪れた。
そう・・・
(能力は発動できるんだよな。)
にやりと笑みを浮かべ、こう言葉を発する。
「ーラグナロクー〔ハルマゲドン〕」
大規模なエネルギーが「トラリア・ミストレ」を襲う。無理やり圧縮したとはいえ、破壊規模はすさまじかった。「トラリア・ミストレ」が管理していた土地全部を破壊した。例えるなら、大規模な国1個分ほど。圧縮せず全力で放ったのなら、世界が滅ぶだろう。「大事な時のとっておきとして使わないとな」と俺は思った。もちろん、老害は消滅寸前であった。
未来を見ようが、対処できないのだから。ついでにと、俺はこいつの能力を奪うことにした。
「ーカタストロフー〔厄災〕」
(この力は初めて使うからな。誰も知らないしバレないだろう。)
そう、この力は、厄災によって段々と被害が大きくなってきている中の背景には、力を奪う何かがあるのではないか?という、考えをもとに作られた力である。
この老害の力を手にした。
(こいつは、少し先の未来を見る程度しかできなかったようだが、俺なら、もっと先の未来を見ることができる。まあ、限定的なものしか無理だけど。)
「とりあえず、○害○○○を○○○○○○から、○○が未来に起こるか、確認しよう」
そうつぶやき、未来視を発動する。
見えた未来を見て、俺が発した第1声は・・・
「は?」
「はあ、はあ、はあ、」
「夢か。」
過去に起きた夢が今も出てくる。
(あの出来事は「不幸」という単語で終わらせるものだろうか?だけど、ゼロは生きている。そのことが俺の心のよりどころだ。)
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