第2話 最弱?

「はあ。」

僕は、楽園学園のEクラスに所属している。能力すらわかっていない落ちこぼれだ。

(やっぱり僕は最弱なのかな。)

「うっ!!」

突然、激しい頭痛に僕は襲われる。

(なんだ、これは。)

(とりあえず、家で寝たら治るかな?)

僕はゆっくりと家に向かう。歩いていると突然、

「ただいま、最終警戒令が出されました。皆さんは、地下シェルターに避難してください!!」

(冗談じゃないぞ。今は頭痛が痛いのにこんなタイミングで。)

この時の僕は、「頭痛が痛い」といった間違った言葉遣いをするほど焦っていた。そう考えていると、地上に人はいなくなっていた。そして、小規模の太陽が都市を襲う。

「うっ!!」

また、激しい頭痛に襲われる。

(なんだ?あの太陽を見た途端、頭痛に襲われた?どういう・・・)

(やべっ!!意識が!!)

パタッと僕は倒れ、意識が途絶えた。


「はっ!!」

僕はようやく目覚めた。どことなく、懐かしい夢を見ていた感じがする。

(どういうことなんだ?さっきの頭痛も、きっとただの頭痛ではないだろう。)

そう思考していると、ガサッという音がした。

「ガハハハハ!!」

謎の生物はそうつぶやく。

(なんだ、こいつ。気味が悪い。人ではなさそうだな。)

「ん?よく見たら下等な人間ではないか。」

「お前は何者なんだ!!」

「我は神なり。貴様ら人間とは格が違うのだ。敬語を使え。下等生物が!!」

(神?最弱の僕がなんとかできるわけがない。)

「うっ!!」

(今度は眠気と吐き気が!!)

「下等生物の分際で、我に無視だと。その罪を償え。」

そう神はつぶやくと僕に攻撃を仕掛けた。僕に攻撃が届きそうになったその瞬間、誰かがその攻撃を受け止めた。

(誰だ。あいつの攻撃を防いでくれたのは。)

僕は顔を見上げる。助けてくれたものを確かめるために。そこにいたのは、Sランクの生徒の白川舞であった。

「あなたは、寝てていいわよ。わたしが片づけるから。」

そうつぶやくと、白川VS神の戦闘が開始された。

(戦うといっても、先生は魔神になった影響で寝てしまったし、先生の魔力もそろそろ切れそうなのよね。まあ、やるしかないしね。)

戦闘はさらに激しくなっていく。


(白川舞なら何とかなるのかな?)

僕がそうつぶやくと、脳内に音声が流れた。

{能力〔3度目の正直〕の覚醒を確認しました。これより、能力完全覚醒の儀式をおこないます。}

(なんだ、これ。気持ち悪い・・・)

「はあ、はあ」

(こんな時に能力か・・・)


「どうした、どうした!!」

「やはり、どれだけ強くてもしょせん人間!!」

「ちっ!!」

(こいつに言われたら、腹が立つわね。でも、実際押されてきているから、このままでは負けるしね。全力を出すしかないわね。)

「ー完全封印ー」

「くっ!!何だと!?」

完全封印は、目の前の神の力を封印するはずだった。

(あれ?)

しかし、発動する直前にちょうど先生の魔力が切れてしまったのだ。そのせいで、完全封印の力が弱まり、目の前の神は耐えたのだ。

「もう、使える手はないようだな。まずは、我に不敬な態度をとった後ろの弱虫から殺すことにしよう。」

「はあ、はあ」

僕は荒い息を吐く。そしてちょうど、能力が完全覚醒した。

{能力の完全覚醒を確認しました。それに伴い、過去の記憶の解放を開始します。}

{記憶の解放を終えました。}

その言葉が脳内に響く。そして俺は自分が何者だったのか気づく。

「死ねえーー!!」

神が叫ぶ。

「やめてー!!」

白川舞も叫ぶ。

(はあ、そんな大声出さなくていいのに。)

神の攻撃が届こうとした刹那、神の攻撃は消えてなくなった。そしてこう俺はつぶやく。

「うるさいから黙れよ。下級神風情が!!」

「えっ?」

俺の言葉に2人とも戸惑いを見せる。しかし、下級神は気づいたようだ。そして、こうつぶやく。

「なぜ、お前が、神になっているのだーー!?」

(えっ?この子が神?)

「ごちゃごちゃうるせーんだよ。名無しの下級神さんよー!!」

「なぜそれを!!」

「そんなの見ればわかるだろう。」

「確かにお前も神なのかもしれないが、下界に来れるっていうことはお前も無名の神なんだろう。」

下級神は、冷静を保つことができなかった。ただ、できたことは現実逃避のみ。

「確かに俺は無名の神だが・・・」

「ほらやっぱり。」

下級神は安堵の表情を浮かべる。

「人の話は最後まで聞け。」

そう俺はつぶやく。

「自己紹介をしよう。そうしたほうが早い。俺は〔無名〕を司る神だよ。」

「はっ?あの、有名な?」

「そのとおりさ。俺がかの有名な無名神だよ。」

そう言った瞬間、目の前の下級神にある感情は、絶望だけだと理解した。そして、こいつは「すぐにでも逃げたい」という思いでいっぱいだろう。だが、俺が逃がすはずがないとも理解しているのだろう。

「お前は悪くないさ。ただ、運が悪かっただけ。それだけさ。」

「じゃあな。いきがり野郎。」

ドーン!!

もともとラグロフとシャロップの戦いで都市がぶっ壊れていたのに、今の一撃で残っていた楽園学園も葬り去った。

白川舞は、何が起こったのか正確に理解していない。ただ、無名神と呼ばれた男は強いとだけ理解したのだ。

「あの時は、かっこよかったぜ。白川舞。じゃっ。また。」

「あっ!!ちょっとまって。」

白川舞がそうつぶやいても、もうすでにいなくなっていた。

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