第2話
「ん…?」
目が覚めたら知らない天井だった。
自分の部屋ではないし、とても清潔感があって
なんというか…高級だ。
何もわからずに周りを見渡すと近くの椅子で本を読んでいる男と目があった。
「えっと…」
男は何も言わずこちらを凝視している。
それに恥ずかしさを覚えた俺は目を少し逸らしたり、あ。、え。とか言葉とは言えない音を出していた。それを見て男は持っていた本を閉じた。
「体調はどうだ?」
「あー…お腹が空いたかな」
俺がそう答えると「そうか」といってすぐに料理を持ってきてくれた。どうやら部屋の外においてあったらしい。
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「はぁー!!食った食った!いや!ほんとに助かった!ありがとう!」
食事中、男は人形のように微動だにせずこちらを見続けていて正直言って怖かった。
食べ終わったのを確認すると男はそそくさと身支度を始めた。
「礼は結構だ。宿代も今日分は取ってある。休みたいなら休んでいけばいい」
男の言い草は他人事のようだった。
人ごとはそうなのだがまるで…
「じゃあごゆっくり」
そう言って男は立ち上がった。
やはり俺をおいてどこかに行こうとしている。
料理の満足感から一変、俺はどん底に落ちたような感覚になった。
ここで逃がしてしまうと俺は困るのだ。
本での知識は知っているものの、現実と比べると
稚拙なものでしかない。昨日初めて森を見たときも思ったが、知識で知っているだけと現実で見たことがあることではかなりの違いがあるだ。
そのため、このままではただの一度つなぎ。
本当に野垂れ死んでしまう。
「まっ!待っ待ってくれ!」
俺はドアと男の前に立ちふさがり、両手両端を広げた。できる限りの意思表示だ。
男はか不思議そうに首をかしげ、は?と声をこぼした。
「えー…。あー、そう!ここ!どこ!ほら俺田舎もんだしさ!ちょっとわからないことだらけでさやっぱいろいろ?教えてもらわないと!」
と自分でも驚くほど焦った声が出たが、思ったよりもごもっともな理由がでてきて安心した。
これなら引き止めることができるだろう。
「…あぁ。そうか気づいてやれずにすまなかった。
少しの間面倒を見よう」
「本当か!助かったぁー…」
どうやら納得してもらえたようで安心だ。
わからないのは本当だからな。これはしょうがない!
「じゃあ、その間の宿代は半分でいいか?」
「えっ…いやぁ」
まずい。予想外だ。お金のことを全く考えていなかった!このままでは養ってもらうために引き止めたと勘違いされる…半分本当だけど
ほら…不審な目を向けてくる…クソここは
「お金がないのです。仕事が見つかるまで養ってはもらえないでしょうか」
土下座だ。こういうときは下手に言い訳を言うのではなく正直に、そして丁重にお願いするのだ。
「…はぁ、一文無しか。倒れていたからそういうものか。
名前は?」
「おっ俺はレオ!よろしくお願いします…」
「そうか。俺はルイ。早く仕事でも見つけろ」
「はいっ」
俺はきれいな土下座を崩さず返事をした。
俺とルイの関係が始まって5分程度で上下関係がきまってしまったようだ。
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