第2話 最強のチート能力?手持ちの神核砕けば無効化できるけど?

僕の名前は矢田トシヒロ、転生者だ。

前世において僕は本当は文武両道で素晴らしい能力を持っているにも関わらず不当な評価を受け続けていた。

ただ暗い性格というだけで不審者扱い

ただ小さい女の子が好きというだけで異常者扱いを受ける始末。

理不尽だろ?

明るい奴が偉いという訳でもないはずなのに…

小さい女の子が好きと言っても小学生以下に興味があるわけじゃなくて見た目が子供にしか見えない成人女性と付き合いたいだけだと言うのに…

僕はひたすら糾弾を受け続けていた。

ちょっと性格が明るい奴らと同じように挨拶をしただけで通報されるなんて日常茶飯事だった。

故に僕は気づいていた。

あの世界は僕の居るべき世界ではない事に…

トラックに轢かれた僕は気がついたら異世界に転生していた事、そして最強のチートスキルを習得している事に気付いた。

治療を施す毎にモンスターを追尾する攻撃魔法が自動で発射され僕が戦わなくても安全に経験値を入手する事ができる回復魔法。

この力を手にした僕は負けしらずだった。

「何いっ!このワシが破れるだとぉ!?」

「もう終わり?いくらなんでも弱すぎない?」

街の治療士として活動を続けていたらいつの間にか数多のチート所持者が敗北してきたと言われる

サンダーワイバーンをほんの20分程度で葬りされる程の力を手に入れていた。

でも僕の心は満たされなかった、それは何故か?

出会いがないのである。

僕の力は最強だと持てはやす人間で溢れかえっていても僕と付き合おうとする小さい女の子はまったく現れもしなかったのだ。

そんな時にある噂が耳に入った。

「隣街に奴隷市場があるのか!?」

「あくまで噂に過ぎないですよ?ガセネタも多いですし。でもあの街に入った複数のチート所持者が奴隷を連れ帰ってきたらしいとの事で…」

「でも期待せずにはいられない!今すぐ行くよ!」

通りすがりの吟遊詩人が教えてくれた奴隷市場の噂に導かれた俺は小さなエルフっ子の奴隷を目の前にし心が沸き立った。

「このエルフの女の子って…」

「こいつ厄介な呪い持ちでしていくら安物でもすぐ死んじまうぞ?在庫が捌けるこっちとしては嬉しいが…」

「大丈夫…僕の治療スキルにかかれば元気でかわいい子が安く手に入るも同然だから」

「あー!回復系のチート所持者様でしたか!それは納得がいきやした。役立たずなこいつを是非是非有効活用してやってくだせぇ!」

「後媚薬を買いたいんだけど30本くらい頼める?」

「あいよ!ちょっとお待ちを」

今の内に呪い解いとくか…【ブレイクスペル】

「や…やめて…来ないで…」

「な、なんで僕を拒絶するんだ!?僕は君を助けに来たのに!?」

「だって今…媚薬が欲しいって…」

「恋人に使う予定なだけだって!無理矢理なんて絶対しないよ…ってああっどこ行くんだ!?」

エルフの少女は逃げ去ってしまった。

反抗的な彼女は呪いによって身動きを封じられていたのに解呪したからだ。

30分後…

「はぁ…はぁ…手間取らせやがってこのメスガキがぁ!!」

「ひぇっ!?嫌…嫌ぁ!にがっ、逃がしてっ」

「何僕を悪人扱いしてるんだよ!?無実の僕を責めるなんて前世の奴らと同じじゃないか!?」

「実際悪人だろ?」

そこに見知らぬ女が現れたのは

「違うって言ってんだろ!?そもそも誰だお前!?…って血塗れ!?」

「奴隷売買は違法だ、市場を襲撃して奴隷を助けるだけならともかく購入するなんて悪人以外の何者でもない」

「だがチート所持者は規格外の力を持っているが故に誰もその罪を糾弾できなかった…だが」

女は袋から宝石を取り出し…そして砕いた。

「これで終わりだ」

「な、何を!?」

「チートスキルの元である神核を砕く事で相手のチートスキルを無効化できる、知らないのか?」

「ぎゃひひひひひ!!今日はエイプリルフールじゃねぇぞ!?明らかに嘘だろ!今から最強の即死魔法でお前を殺してやる!防ぐ事はできねぇぞ!メスガキを犯すのはその後にしてやる!【デスコール】!」

トシヒロのスキル【チェイスブースト】はどんな強敵も必中なうえに一撃で倒せる程に成長していた。

故にこの無礼なメスガキを瞬殺できる…はずだった

「防げないんじゃ無かったのか?」

「あれっ!?なっなんで何も起きないんだ!?」

矛盾と言う逸話がある。

最強の矛と最強の盾を売る商人に客は言った。

「その矛を盾にぶつけたらどうなるんだ?」

結果最強の矛も最強の盾も砕け散ってしまった。

最強同士のぶつかり合いでも時折そう言った事が起こり得るのだ。

故に最強のチートスキルの元である神核でも同様の事が起こった。

原理は不明だが所持している神核を砕くと敵の神核が反応して砕けてしまうのだ。

当然チートスキルは二度と使えない…だが…

ロリコンはチートスキルを失ったがノアは大量の神核を所持しているので痛くも痒くもない。

「何もして来ないのか?なら俺から行くぞ。バフ×500 ホロウフェンリル、心臓を喰らえ」

霊体の狼を2体出現させたノアに対してロリコンは命乞い(無意味)をした。

「まっ待った!話しをしよう!」

「との事だが、エルフのお嬢ちゃんはこいつの事許せるか?」

「地獄に…地獄にたたき落としてやって…」

「やめろぉ!死にたくねぇ!僕には夢があるんだ!幼女ハーレぐええええええああ!!!」

「骨が丸見えだな。無効化したから神核は取り出せない。拷問されずに死ねるなんて運がいいな」

「くそぉ!くそがぁ…!ボエッ」

ロリコンはホロウフェンリルに喰われて消滅した。

「あ、ありがとうございます…」

エルフの少女はノアに感謝した。

「安心してくれすぐ家族の元へ返してやる。回復も蘇生も神核があればどうとでもなる。それと、お嬢ちゃん、名前は?」

「リフィルです」

「リフィル、君を狙う人間がまだいないとも限らない。これを渡しておく」

神核が入った袋(戦闘に使っていたものとは別)をリフィルに手渡した。

「えっ!?これって?」

「力は守る為に使うべきだ。保身や欲を満たすためではなくな。この大量の神核は君の安全を守る為に使って欲しい。できれば他の奴隷達も助けて欲しいがな」

「私の安全の為に使っても保身になるじゃないですか!他の子を助ける為に使わせて頂きますね?」

「ああ、そうしてくれると嬉しい」

これでこの街の奴隷市場の加担者は全員死んだか。

どいつもこいつも最強を名乗ってる癖に弱すぎる。この調子なら今月中に奴隷売買を根絶できるか?

いや、そう簡単に上手く行く気がしない。

俺の奴隷解放軍の仲間には俺よりも多くの神核を持たせているが、誰も失わずに済むといいが…

行方不明になったゾートの二の舞いにはさせない。

前話で言ったたった1人の欠けた仲間とはゾートの事だが、強大な親玉に不意打ちを食らわせる為に潜入捜査をしていたから帰ってこれなかっただけであった。

ゾートは姿を変えていたから誰も判別できなかっただけで完全に無事だった事を知らされるのは敵の親玉にトドメを刺す直前の事であった。

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