ノンストップ蹂躙劇 神壊しのノア〜奴隷解放の為にチート所持者を拷問してチートスキルを取り出します〜

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第1話 奴隷を買うくらいなら市場壊滅させて奪え

瀕死の男は腹を割かれていた。

そして手足を削ぎ落とされていて瀕死だった。

そいつは俺が生まれるより先に両親に拾われた孤児で本当の兄妹の如く仲が良かった。

「はぁ…はぁ…なんで…こんな事ができるんだ…!」

「………」

にも関わらず俺は手足を削ぎ落とし腹を割いた。

「お前…前世の記憶とチートスキルを持っているって言っていたよな?」

「それが…どうした…」

「要するにお前ほ転生者のチート所持者って訳だ」

「だから…それがなんなんだよ…!」

「あくまで噂だと信じたかったが…転生者や追放者は特に深い理由も無く違法な奴隷売買に手を出すらしい。お前は例外だと思いたかったがな」

「そんな事で…兄にここまでできるってのかよ!?イカれてる…!」

「「助けて」と言われた…それだけで殺すに足る、まずは拷問するがな」

「ひぐっ!ぐああああああ!!やめっ…てっくれええええええええ!!」

「何もただ嫌いというだけで拷問しているわけじゃあない…目的があってな…って聞いてないな、まぁ説明する必要もないか」

数時間後

「よし、ようやく神核が取れた。噂が正しければ愚兄のスキルは俺のものだ」

チート所持者がチートスキルを扱える理由である神核と呼ばれる宝石…それは体内から生み出されるので奪いたければ腹を割いて無理矢理削ぎ落とす必要があった…

神核がえげつない拷問でもしなければまず取れない程硬くへばり付いている事こそが兄を拷問した一番の理由であった。

「コロ…ロシテ…」

「長く苦しむタイプの毒をくれてやる。身動きが取れない状態で3日は苦しみ続けるだろう。そしたらようやく死ねるはずだ」

「ググオオオオオオオオオ!!!!!!……」

「終わりだな…俺もお前も…いや…一か八かで行ってみるか…」


数日かけて俺が赴いたのは…

そこは悪人の財産を根こそぎ奪い続け盗賊王とまで呼ばれた男ゾートが、建国した元奴隷と革命家が集う国、奴隷国家アルヴィニア。

奴隷を売買するような極悪人から奴隷と財産を奪い元奴隷達に分け与える事で彼らに人並の暮らしをさせる活動をゾートは長らく続けていたが、いつの間にか彼の拠点には人が集まり建物が増え、なし崩し的に国のようなものが出来上がっていた。

だからこそ奴隷を助けたい俺のような人間も集まるのだ。

「おいおいどうしたってんだ!?かわいい盛りの子供が生首引っ提げて血まみれなんてよぉ…!」

「奴隷を買おうとした兄を殺して神核を奪いました。子供の俺には奴隷全員を救うには力不足で家族の元にも戻れない俺はこのままじゃ生きられません。だから元奴隷と奴隷解放者だけが暮らすこの国に住まわせてください…でももし奴隷売買加担者の家族が許せないと言うならここで殺してく…」

「バカかお前!?殺してなんて殺しても言うんじゃねぇ!」

「!?だったら…受け入れてくれるんですか?」

「当然だろ!見殺しにしようもんならヨメさんに怒られちまう。なんせ…約束したんだもんなぁ!」

「お前さん、名前なんて言うんだ?」

「俺は…俺の名前は…」

「ノア…8歳です…苗字は今捨てました」

「だったらオレっちの苗字をくれてやるオレっちはゾート=エデン!だからお前さんは今日からノア=エデンを名乗れ!」

「ノア=エデンですか…ふふっ…丁度いいですね…どっちも誰かを救うものの言葉だ」

ノアの方舟…海に沈む世界からあらゆる種族の番を乗せて旅立つ船。

そしてエデンとは理想郷を意味する言葉だ。

「お前はその救うものの名が導くが如く数え切れない程の命を救うだろう…だから死んでも殺して欲しいなんて言うんじゃねぇぞ?」

「あははっ!ゾートさんは人を元気付けるのが上手ですね?」

「何年義賊やってると思ってんだ!得意技だそんなもの!そういやお前さんの兄が利用した奴隷市場はまだ潰せてねぇんだろ?オレっちに場所教えろよ!バカ共の有り金も商品にされた子達も全部奪い取ってくるからよぉ!」

「そんな軽いノリで…危なくないんですか?」

「所がどっこい!裏技があるんだよな!神核取ったって言ってたろ?そいつ貸してくれ!」

「これですか?1個だけですよ?チート所持者が利用する市場を安全に潰せるとは…」

「違う違う…」

ゾートは袋から大量の神核を鷲掴みした。

「この奪った神核共を…重ねがけするんだよ…」

この世界から奴隷売買を根絶するのに5年と数日程かかったがアルヴィニアの住人は誰一人欠ける事は無かったという。

たった1人を除いては…


あれから5年の月日が経った。

奴隷売買根絶まで目前であった。


この私、氷雨詩安が異世界に転生していたと気付いたのは13才の誕生日を迎えた日の事だった。

「うぅ…せっかくの誕生日だって言うのに風邪なんて付いてないなぁ…あいにく家族は出張だしこんな時にお姉ちゃんが…あれ?私一人っ子だよね!?お姉ちゃんなんて…お姉ちゃん…?うぅ、頭が…!?」

全部…じゃないのかもしれないけど確かに思い出したんだ。前世において私にはお姉ちゃんがいた。

それもとびっきり優しくて妹思いの姉が…

『ふふっ…また転んじゃったの?絆創膏貼ってあげる…お姉ちゃんは泣かない強い子が好きだな…だから泣くの我慢できる?』

『テストよく頑張ったね!今夜はお祝いに詩安ちゃんの大好きなシチューだよ!あらら早く食べようとして溢れちゃってるよ?ふふ!詩安ちゃんはわんぱくだね…?』

『詩安ちゃん…身体の調子は大丈夫?お姉ちゃんちょっと心配だなぁ…よーし、お姉ちゃんこれからナースの勉強頑張るね?そしたら詩安ちゃんを元気にしてあげれるかもしれないし…』

『詩安ちゃん…!?お願い…目を開けて…目を開けてよお!?元気になったら一緒に遊ぼうって約束したのに…こんなの…こんなのって…!?』

姉の泣く姿が脳裏を流れた瞬間現実の私も涙を流していた。

私が病死したのは今の年齢と同じ13才の時だったようだった。

お姉ちゃんに会いたいな…多分この世界には居ないだろうし…

「俺に協力しないなら拷問して殺す」

次生まれ変わったらお姉ちゃんのいる世界に戻ってこれますか…?


何故か昨日の出来事を脳内で振り返り出したのって走馬灯ってやつじゃないよね!?痛いの嫌だよ私!?

「返答がないなよし殺す腹カッ開いてから殺す」

「わー!?待って!待ってって!待ってってば!?」

「何だ?」

「何だじゃないよ!協力する!協力するから!だから殺さないで!お願い!…何に協力するかは分からないけど…」

「協力する気はないのか…?残念だ」

「ごっごめん!知らないから教えて!そしたら協力できるはずだからぁ!」

「見て分かるかと思ったが仕方がない…その前に質問だ。お前何故こんなモンスターだらけの危険地帯に武器も道具も無く倒れていたんだ?俺が通りかからなければ死んでいたぞ?自殺行為のはずだ…なのに何故殺されかけて拒絶する?」

「えっと…お恥ずかしい話ですけど私…追放されたんです」

「追放者か…チートスキルを所持できる条件に当てはまるな…」

〜〜〜


姉との記憶を思い出した後の話だ、私は今まで使える事を認識していなかった魔法のような力を認識した。

「何で…元からあるはずなのに気づかなかったんだろう…【フォーレンコード】…」

フォーレンコードという言葉がトリガーだったのだろう…私の脳裏に前世でも今世でも見覚えのない言葉が流れ込んで来た。

『詩安ちゃんには…来世だけでも幸せであって欲しいな、だから力をあげるね?だから…頑張ってね?』

「お姉…ちゃん!?力ってこれの事なの!?お姉ちゃんに近づけるかもしれない…でも何にも分かんないよぉ!」

でも立ち止まってちゃ駄目だ誰かこの事に付いて知ってそうな人…そうだ!

この世界において強大な力を持つ人間の事をチート所持者と呼ぶ。

今はチートスキルと呼べる程の強い力なのか分からないけど特殊な力なのは確かだ…

彼らに聞けば何か…お姉ちゃんに会える手掛かりが見つかるかも…

「お姉ちゃん…もしかして、近くにいるの…?」

あくまで可能性だった。でも動かずには居られなかった…

すぐに後悔する事になるとも知らずに…


「は!?前世の姉に話しかけられるだけのチートスキル!?んなのありえねー!俺の虹属性魔法の足元にも及ばねーだろ!」

「まぁチートかどうかって言われるとそうだけど…」

「どうでも言い事聞いてんじゃねーよ!そういうのは他の奴に…ってチート所持者の場所なんざしんねねーかw」

「ちょっとぉ!さっきから酷いよー!」

「悪い悪い!そんな怒んなって。そっちの裏道通って右に曲がってみな?そこそこチート所持者がいるはずだぜ?」

「ホントに!?ありがとう…」

言われた通りの道順を進み…

「えっと…ここかな?」

「お嬢ちゃん見ない顔だな?ここは初めてか?」

女性に話しかけられる。

「はっ、はい!チート所持者の人に聞きたい事があって…」

「あいつらなら売り場に数人いるよ。買い物の邪魔はすんなよ?アタシらは商売の邪魔する奴招きたくはねぇからなぁ」

「あ、ありがとうございます!」

売り場で私が見たのはボロボロの身体に布切れと首輪だけの様相で今にも倒れそうな奴隷達をこぞって買い求めるチート所持者の姿だった。

「こいつ厄介な呪い持ちでしていくら安物でもすぐ死んじまうぞ?在庫が捌けるこっちとしては嬉しいが…」

「大丈夫…僕の治療スキルにかかれば元気でかわいい子が安く手に入るも同然だから」

「あー!回復系のチート所持者様でしたか!それは納得がいきやした。役立たずなこいつを是非是非有効活用してやってくだせぇ」

「後媚薬を買いたいんだけど30本くらい頼める?」

「堀りがいのあるショタがこんなに売ってるなんて今日はツイてるぜ!もちろん全部買うよ!競合がいるなら倍!いや5倍払ってもいい!」

「そこまで言わなくてもお得意様のオークスの旦那だ。優先して売ってやるさ」

「さーて、今日も溜まったストレスを奴隷しばいて発散するとしますかぁ!できるだけ顔が整った男奴隷頼むよ、だってムカつくから殴りがいがあるだろ?」

「やめて…買わないで…」

あれ…?私何しに来たんだっけ?

お姉ちゃんの手掛かりを探す為にチート所持者に聞き込みをしたかったはず…

私はこいつらを殺したくて仕方がなかった…

「あの…すみません、売られてるのって奴隷ですよね?この子達って犯罪への罰として奴隷に落とされたとかじゃないんですか?無理矢理攫ったんだったら犯罪なんじゃ…」

「邪魔すんなつったろ?」

私は頭を後ろから殴られ気絶した。


「麻痺毒で動けないはずだが言伝だけ伝えて置く」

「う…うぅ」

どうやら私は縛られたうえに身動きが取れない状態で馬車で何処かに連れ去られたようだ。

「チート所持者によってどれだけの命が救われているのか分からないのかと、町長を初めとした街中の人間がお怒りだ。奴隷として売り出す事も考えられたがチート所持者達はお前のような迷惑な人間はお断りとの事だ」

兵士が話したのは残酷過ぎる事実。

強大な力を持ったチート所持者が奴隷市場を利用しているというだけで本来違法なはずの奴隷売買が正当化されていたのだ。

「わた…こ…うな……の」

なんとなく察した兵士は

「貴様はこのメルビノ砂漠に無装備で動けないまま捨てていく。後はガイアドラゴンにでも食われ…食われ…はぇ?」

「グオオオオオオオオオオ!!!」

噂をすればと現れたのは…ガイアドラゴンそのものであった。

ガイアドラゴンは馬車の大半と兵士の右腕を喰った。

「腕が!?腕がぁ!?そ、そんな!すぐ帰って褒賞を貰う予定のはずがこんなすぐに!?い、嫌だぁ!食べないでくれぇ!!よ、嫁と娘が俺のかぼええあえあ痛いいたいたたいぴゃんっ!」

兵士は激痛に喘ぎながら喰われて死んだ。

「グオオオオオオオオオオオ!!!」

ガイアドラゴンは私を助ける為に兵士を殺したんじゃない。

ただ人間を喰いたいだけだ。

動けない私もすぐ喰われる。

「ああ…終わりだよ…こんなの…」

「終わりはしない、お前には聞きたい事が山程あるからな」

「えっ?」

奴隷売買を拒絶した事で私は街中のチート所持者に嫌われたはずだった…

なのに私と同じくらいの年の少女が放ったスキルは…

「さっき奪ったやつでいいか。バフ×500。虹魔法

一番強いやつ出ろ」

強化・サポート系のチートスキルは追放者が所持する事が多い。

一時期はサポート特化型の人間が追放されてはチートスキル所持者だと判明し強大な力を手に入れては大暴れすると言う展開が何度も相次いだ。

本当に何度もである。

故にチート未所持者達は学習した。

サポート役を追放してはいけないと。

そして強化・サポート系スキルを習得するチート所持者は激減してしまった。

にも関わらず強化効果のある追放者の神核を500個も奪ったのだ。

「ギャオオオオオオオオオオオン」

ズガデゴーーーーン!!!!

ガイアドラゴンは炎やら雷やらが混じって虹色に輝く魔法によって一瞬で消滅した。

「500積みでこの程度の威力か…あいつは虹魔法は全属性を盛り込んだ最強の魔法と言っていたが…さては全属性配合は難易度が高すぎて、むしろ威力が下がるのか?これなら3種類程度に留めておいた方がマシだな…このスキルは二度と使う事はないか」

虹魔法って市場への道筋を教えてくれた男の人の事!?

神核を好むガイアドラゴンは一般人は基本襲わないがチート所持者だけを狙って喰らう。

さっきの兵士はあくまで巻き添えである。

チート所持者と云えどガイアドラゴンには中々敵わず年間10万人程が惨めに喰われてしまっているらしい。

にも関わらず一瞬で消し飛ばした。

彼女はチート所持者にしか見えない。

それも他のチート所持者とは比べ物にならないレベルの。

じゃあ何で…私がやった事を知らなかったの!?

チート所持者ならわたしの事が許せないはずなのに…

「おい、お前…」

「は、はい!」

「俺に協力しないなら拷問して殺す」

「はい!…はい?…って、えええええええええええええ!!!!!!!?」

〜〜〜

「そんな経緯だったのか…!殺すと脅して悪かったな…事が済んだら腹を切ってもいい、勿論自分のな…」

「ほっ…分かってくれて良かったよ…聞くタイミング無かったけど君ってもしかして虹魔法の人の事…」

「ああ、拷問して殺した。当然神核を奪ってある。死亡した後に回収すると効力が消えるから生きている間に切除しなければならないのは毎度の事だが面倒だったな」

危なっ!説得通じなかったらそんな理由で拷問されてたの私!?

「ついでに言えばこの街で奴隷売買に加担している人間はこの後全員殺す。お前の追放に賛成した奴らごとな。さすがにライン越えだろあの仕打ちは」

「その事に関しては本当にありがとうございます!」

「感謝される筋合いはない。まだお前の事疑っているんだからな」

「いやいやいくらなんでも命最優先だってば!ちゃんと従うよ!」

「まぁ、しばらく様子を見るとするか。お前の名前を聞いておこう。俺の名前はノア=エデン。人攫いを含めた奴隷売買根絶を望むものだ。ノアと呼んでくれ」

「ええっと…わっ私の名前は氷雨…氷雨詩安です!」

「ひさ…氷雨詩安…メシアか、いい名前だ」

「えっあだ名!?殺されそうになったのに!?確かに名前にめしあって入ってるけど…」

「俺と同じ…救うものの名だ…」

メシア…救世主を意味する言葉である。

確かにノアもエデンもメシアもそういう共通点があるけど…

(…狂った人殺しの癖に誰かを救おうとしてるなんて無茶過ぎないかな?正義の為と称して無実の民間人を手にかけてそうだなぁ)

「何か失礼な事を考えてないか?やはり拷問して殺すか?」

「そっそんな事ないですよ!あはははははー!」

なお奴隷売買の加担者が根絶が成された今となってはノアはメシアには頭が上がらなくなっているらしい。

完全に立場逆転である。

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