パスワード入力せよ!

半時間後、そのころ日本では・・・・。


 ----ガガガガ!!!

 ドゴゴゴゴォォォォ!!!


 巨大なロボットがでかい鳥4羽を相手に

ひたすら健闘していた。

 攻撃は受ける一方だが、乗っていたパイロットは

諦めてなかった。


「ッ!!この状況を何とかしないと」

『メルフィーア、大丈夫カ?』

「あぁ!大丈夫だ!!わたしはまだ闘える!!」

 

 パイロットの少女はサポートシステムの問いに

強く応えた。


☆★☆★☆★

 

「・・・・・今回の仕事は15年ぶりの命がけの仕事に

 なりそうだな」

 

 その言葉を漏らした人物は元軍人だった。

 そして彼女は、巨大ロボット対巨大鳥の集団の戦いを少し離れたビルの屋上から双眼鏡で見ていた。


「サポートはオイラに任せろ!」

「わたくしはあなたをそのロボットの首の辺りまで運びますわ」


 彼女の後ろから心強い声が聞こえる。

 彼女はかつて参加した15年前の作戦のことをふと思い出すが、感傷に浸る時間はないのはすぐに現実を見た。


「この戦いの様子から隙を狙って近づくしか

なさそうだ。見た感じ難しそう・・・・」

彼女は後ろにいる白い鷲と彼女と同じ色のヘビに

そう告げた。


 -----まって!!!


『!!!!?』


 彼ら(正確には一人と2匹)の後ろから

女性の声がした。

 振り向くと、そこには1羽の梟、さえずりがいた。


「さえずり!!どうして!!?」


 白い鷲は驚きの声を上げた。

「彼女は試練を乗り越えようとしているの!

 お願い!!ちょっとだけまって!!」

「さえずり!あなた、わかっているの!?

 あの子はそこのままだと死んじゃう

 かもしれないのよ!!」

「そうだ!気持ちはわかるけど、

 これは政府の指示だ!!

 彼女にはいったん退場してもらうしかない!!」

 ヘビも負けじと言い返した。

「わたしもカーラとホムラの気持ちは

 理解している。でも!!」


 私は無視かと不服を覚えた元軍人は

この状況を変えるべく口を開いた。

「ならばだ!!私の上司の意向に従って

 もらおうか!!」


 元軍人は梟に手のひらを大きく広げて

見せ付けた。

「いいか!!5分!!5分間だけだ!

 それ以上は待てない!いいな!!」

 実際聞いたわけではないが、

 元軍人である彼女はあの上司なら

 そういうだろうと思い、言葉を放った。


「ありがとうございます!!」

 梟は泣きそうな顔で頭を下げた。

「言っておくけど、私はただの人間だ

 ・・・一歩間違えたらたぶん死ぬ」

「・・・あっ、ごめん。そうだった」

「さえずり、防御陣を展開するから手伝って!」「わかったわ!カーラ」

 彼ら(一人と3匹)は一つに固まり、

その周りにバリアを張った。

そして、戦いを見守ろうとした瞬間。


 -----ばぁぁぁぁぁん!!!!!

 巨大な瓦礫が彼らの襲いかかろうとしたが、

巨大な手がそれをはじいた。


「何をされてるんですか!!

 早く避難してください!!」

 突如、少女の声が辺りに響いた。

巨大な手の持ち主は、鳥たちと戦っている

ロボットだった。

 「うそ・・・・」

 元軍人はいきなりの出来事で混乱した。

 自分が守る存在に守られたのだ。

 彼女の心情は穏やかではないだろう。

 ロボットのパイロットはふと彼らの姿が

 目に入った。

 そして、彼らに危険が及ぶようなら、

その危険から守るように動いたのだ。

 

「・・・・避難できてない人がいた。

 なんで!!なんで!!さえずりさんが

 あんなとこに!」

 クリムゾンドラゴンのコックピットの中、

メルフィーアは混乱していた。

『メルフィーア、コノママデハ危ナイ』

「ジェネシス!!わかっている!!

 あぁ!!どうすればいいんだよ!!」

 メルフィーアは大声で叫んだ。

 状況が状況だ。彼女は混乱していた。

 そして、ふと、メルフィーアの頭の中で

ノイズが走った。

 彼女の中で何かの文字列を入力する

イメージが浮かび上がった。


「---!!!??」

『ドウシタ?メルフィーア』


 ジェネシスの声が彼女を現実に戻した。

「ジェネシス、パスワード入力画面を出して!

 早く!!」

『・・・・ワカッタ』

 ジェネシスはあわててパスワード入力画面を

表示させた。

 メルフィーアは黙って入力した。


 BEE FEBRUARY


 『ぱすわーど、確認シマシタ。

  くりむぞんうぃんぐノろっくヲ解除シマス』


 機械で作られた女性の声がコックピット内に

 響いた。

 そして、メルフィーアは操縦ボードに現れた

 レバーを引いた。

「ウィングモード!発動!!フラッシュ!!

 メタモルフォーゼ!!」


 クリムゾンドラゴンから光が放たれた。


「何だ?」

「まぶしい・・・」

「これは・・・」

「もしかして・・・!?」

 

クリムゾンドラゴンを見守っていた一同は

あまりのまぶしさに目を覆った。

 しばらくすると、光は消えた。

 そして、羽根の生えたクリムゾンドラゴンの姿が

あった。

「いくぞ!!クリムゾンブレイド!!」

ーーーーバシュンッ!!!!

 意気揚々と羽根の生えた巨大ロボットは

空を舞い、巨大な鳥をまっ二つにした。

 元軍人はその光景を見つめながら通信機を

取り出した。

「こちら1号、状況が変わりました。

 指示をお願いします」

 通信機の向こう側の男はニヤリと笑い、

 彼女に撤退を命じた。

 「わかりました!ありがとうございます!!」

彼女は頭を下げた。

「撤退だ!!逃げるぞ!!」

『了解!!』

 元軍人とそのサポートをしていた二匹は

急いで避難した。

 そして、さえずりは静かにその場を飛び去り、

離れたところで彼女達の戦いを

見守ることにした。


 「いくぞ!!クリムゾン・インパクト!!」

ーーーーザシュンッ!!!!

 ぐえぇぇぇぇぇぇ!!!

 奇妙な叫び声が響く。

 振動をまとった剣は巨大な鳥の首を斬った。

これで半分になった。後2体になった。

「クリムゾン!ヴァルカン!ブレイク!!」

 ----ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 ボォォォォォォ!!!!

 炎をまとった剣が鳥を一刀両断した。

 そして、その残骸は炎に包まれ、灰になった。

 次で最後の一体、見た目が今まで倒したのと

 少し違う。

 おそらく、司令官みたいな存在であろう。


「キサマ、ナニモノダ?」

 異様な言葉が紡がれ、耳につく。

 彼女は臆せず、応えた。

「わたしは地球人!!

 メルフィーア=アースガルドだ!!」


 そして、クリムゾンブレイドに炎をまとわせた。


「これで終わりだ!!

 クリムゾン!ヴァルカン!インパクト!!!」

 炎のまとった剣は振動しつつ、巨大な鳥を

 まっ二つにした。

「・・・・・終わった」

 コックピットの中で彼女は一息ついた。


 一方そのころ。

 「よし!急いで戻るぞ!全速前進!!

 アラスカへ迎え!!」

 日本近郊にかかった飛空挺は男の声で

 Uターンした。

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