飛翔け!クリムゾンドラゴン!!
@syu-inononn
告げられた事実
それ昼休憩のときの出来事だった。
♪♪♪♪♪♪
突如、琳音(りんね)学園高等部の教室の一角で
機械音が響いた。
メルフィーア=アースガルドは廊下に出て、
鳴っている通信機のスイッチを押した。
「はい、メルフィーアです」
彼女は返事をすると通信機の向こう側の人物の話を静かに聞いていた。
彼女の表情はだんだん暗くなった。
「・・・・わかりました。ありがとうございます」
彼女は暗い表情のまま頭を下げると
通信機のスイッチを切った。
メルフィーアの表情が暗いのは理由があった。
ーーーーそれは言うまでもないだろう。
彼女が乗っているスーパーロボットクリムゾンドラゴンの事だ。
彼女は少し前からクリムゾンドラゴンが
空を翔べない事を憂い、日本国軍の総司令である
おじさま(と彼女が呼んでいる人物)に
相談していたのだ。
そして、おじさま率いる日本国軍の科学力を
駆使して調査した結果はこうだ。
まず、日本国軍の科学力ではクリムゾンドラゴンに
翼のようなものを装着するは不可能であること告げられた。
しかし、内部構造を解析してみたところ、
翼らしきものが見られたのは事実である。
もしかしたら、それで飛べるかもしれないが
操作システムの解析が不可能であるため
現状ではどうすることもできないといわれた。
「メルフィーアさん、今日は浮かない顔を
してますね。 なんかあったんですか?」
あの後、体育館で共同授業を受けている時、
メルフィーアはカミトに声を掛けられた。
あまりにもメルフィーアの表情が暗いので
流石のカミトも気になったのであろう。
「・・・あぁ。大丈夫だ。何でもない」
メルフィーアは強気で返した。
しかし、彼女の心の曇は晴れなかった。
ーーーーガガガガガガガガ・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
突然、地響きがした。
ーーーーシャァァァァァ!!!!
ピシャァァァァァ!!!!
甲高い音が響く。
その音を聞いてカミトとメルフィーアは外を見た。
外には下手なビルより巨大な鳥が5羽も
飛んでいた。
これは緊急事態である。
「カミト、避難誘導を頼む」
「わかりました。無理はしないでください」
カミトは駆け出し、避難誘導を行った。
メルフィーアはカミトが駆け出した横で
隠していた剣を天に掲げた。
「ドラゴーン!!!!」
メルフィーアは光に包まれ、体育館から
姿を消した。
そして、学校の近くに現れたクリムゾンドラゴンの
コクピットでいつも通りパイロットスーツを
身に纏った状態で座っていた。
そして彼女はいつもより険しい顔をしていた。
『メルフィーア、ドウシタ?様子ガオカシイ』
「当たり前だ!クリムゾンドラゴンは空を翔べないからだ!!」
ジェネシスの言葉にメルフィーアは怒りのあまり声を荒げた。
『ソウイウコトカ・・・・ワカッタ』
ジェネシスはパスワード入力画面を表示させた。
『飛行ユニット・クリムゾンウィング。
今ロックサレテ使エナイ。
解除ニ必要ニナルパスワードハワカラナイ』
「ジェネシス、思い出せないのか?」
メルフィーアは咄嗟に疑問を口にする。
『・・・・スマナイ』
ジェネシスが発した暗い機械音が事実を告げた。
ーーーーそれでもやるしかないのだ!
メルフィーアは自分を奮い立たせて、
レバーを握る。
「クリムゾンドラゴン!!ゴー!!」
街を破壊する巨大な鳥軍団。
こっちの巨大ロボは一体。しかも飛べない。
不利な状況であることには変わりない。
しかし、メルフィーアとクリムゾンドラゴンは、
それでも戦う。戦うしかないのだ!
「クリムゾンブレイド!!」
クリムゾンドラゴンは巨大な剣を取り出し、振り回した。
ーーーーバシュンッ!!!!
幸運にもそのうちの一体は半分に斬られ、絶命した。
「よし!!この調子で行くぞ!!」
鳥たちもさっきにで学んだのか、
一定の距離を保ったまま、
クリムゾンドラゴンに襲いかかってきた。
ーーーードガガガッ!!バババババッ!!!!
ガガガッ!!
鳥たちはビルの残骸や山から切り出した岩を
クリムゾンドラゴンにぶつけてきた。
それらをクリムゾンブレイドで破壊しながら、
メルフィーア達は策を考えるが
如何せん数の上では圧倒的に不利だ。
残骸をぶつけられる事によって、
機体や中で操縦しているメルフィーアに少しずつだがダメージが与えられ、蓄積していく。
この状況が打開されなければ、
クリムゾンドラゴンはやられてしまうだろう。
この状況を憂いたある男は動いた。
いや、動いたのは日本政府そのものだといっても
過言ではないだろう。
一方そのころ、アメリカアラスカ州にある国際空港。
「ご苦労様です!!」
日本国軍の兵士が二人、大きな犬を連れた男に
敬礼をした。その男は今退役はしているものの、
十五年以上前の世界大戦時では英雄と呼ばれていた。
「フンッ。オレ様をわざわざここまで
迎えに来るとは緊急事態だろうな」
「はっ!我々はあなたを作戦地まで
送り届けることが任務であります!!」
国軍の兵士たちは威勢よく言葉を返した。
「・・・・・クロ、行くぞ」
男は少し考えると、横の犬に話かけた。
「おう。日本に一回帰るわけだね?」
「そうだ」
大きくて黒い犬は人の言葉で男に応え、男は犬の疑問に応える。
傍から見ると異様な光景だが、
兵士たちは疑問に思っても今は緊急事態なので
何も言わないことにしてる。
「さて、戻る前に状況を説明しろ」
兵士たちは現在日本のある地域で謎の化け物の集団による襲撃を受けており
その化け物と戦っている巨大ロボットがピンチであることを男に説明した。
「ふぅん。そういうことか」
男は服のポケットから通信機を取り出すと
ボタンを操作した。
男はかつての直属の部下と通話しようとしていた。
・・・・カチッ
「1号、今大丈夫か?」
『今日は本職非番です。生憎ですが先ほど避難命令が出まして・・・・』
「1号、仕事だ。報酬は出す」
男は部下の話を遮って容赦なく指示を出す。
『わかりました。報酬は高級フレンチでないものでお願いします』
以前報酬でもらった高級フレンチがよほど嫌だったのだろう。
彼女は男に釘を刺した。
「フン。変わり者め。今回の報酬は
回転寿司武蔵坊弁慶の御食事券でどうだ?
今回のは危険が伴うからサービスはしてやる」
『いいですね。それでお願いします』
彼女は男の提案にうれしそうな声で言葉を返した。
「フンッ!現金なやつめ!
細かい指示はメールで送る。後は上手くやれ」
『了解』
男は通信機のスイッチを切ると駆けだした。
「クロ、いくぞ」
「おう!!」
「では、こちらへどうぞ」
彼らは兵士たちの案内で日本国軍の印が
描かれた飛行艇に乗り込んだ。
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