甘い彼女
部屋に入ると、澪は目を輝かせていた。
そこまで反応してくれるとは……ちょっと……どころじゃない、かなり恥ずかしい。
「全体的に青、黒のものが多いね。本棚に凄い数の本……これ、ラノベ?」
「ああ、そうだよ。青春ラブコメ、異世界転生、とか」
「異世界転生……なんか聞いたことある。あれだよね、主人公が別の世界から剣と魔法の世界に転生して冒険したり………女の子を誑かす物語でしょ?」
「ちょっと、言い方!!最後の誑かすって、何!?複数の美少女と仲良くなって、一緒に過ごしていく幸せな物語と言ってほしい」
「それ、なんか上手く誤魔化しているだけじゃない?女の子からしたら、かなり浮気に近いようなものだけどね」
「お、女の子達は皆優しいんだ……女の心を蔑ろにしているとか、誰も言わない………」
「言わないだけで、本当はそう思っているかもよ?女の子って、男の子の前では仲よさそうにしているけど本当は……」
「異世界の女の子は優しい―!!皆、良い子だもぉーん!!」
「……青、あなたキャラ変わってるよ?」
「あ……ご、ごめん」
俺は顔を赤くして、床に正座する。
彼女の何気ない発言が、俺のラノベオタクとしての心を刺激したので、思わず自分を見失った。
「ふふ、青にもそういうところあるんだ……なんか新鮮」
「忘れてください」
「えぇ~……どうしよっかなぁ」
澪はクスっと微笑んだ。
その後、俺のベッドに座ってこちらを見ている。
「ねえ、隣にきて……」
「え……あ、はい。わ、わかった」
俺は立ち上がり、澪の隣に座った。
彼女は俺の腕に抱きついて上目遣いをする。
少しだけムスッとした顔を浮かべていた。
「え、いきなりどうしたの?」
「青って、異世界の主人公に憧れてるの?」
「……まあ、そうだけど」
「じゃあ、いつかは私以外の女の子も誑かしたいと?」
「だ、だからそんなことは……」
「むぅ……青は浮気とか考えていないよね?」
「もちろんだよ。俺が憧れているのは、主人公の戦う姿とか強さだから」
「そっか、じゃあいいけどね……あ、あと……エッチな本とかは……」
「この部屋にはございません!!」
俺は思わず丁寧語で答えた。
たしかに男だったら、エッチな本ぐらい部屋にあってもおかしくない。
俺にとってはエッチな本よりもラノベだけで色々なことを考える方が楽しい。
あと、ネットでエッチなサイトぐらい見れるのだから、今時本とか買う奴はいないだろう。
エッチなサイト……は見たことある。
というか、今も見ている
パソコンは机にあるけど、安心してくれ……履歴は削除している。
澪が仮にパソコンを見たとしても、俺が何を調べていたとかはわからないのだ。
彼女はエッチなことに興味あるのだろうか。
これまでの大胆な行動をしているあたり、性格的にもエチエチ系だと見える。
パソコンの履歴を削除するの忘れて、エッチなサイトを見られても彼女はクスっと微笑むだけかもしれない。
もしくは、より大胆にいろいろしてくれたり……って、何を考えてんだ、この変態!!
「青がエッチな本を持っていないの、ちょっと驚いた。思春期の男子はそのくらい持っていてもおかしくはないもの」
「恋愛ラブコメに憧れている俺が、エッチな本を買うわけないだろ……」
「へぇ……本当かなぁ」
澪は首を傾げて俺の顔を窺っている。
その後、澪は唇を軽く尖らせた後、耳元にキスしてきた。
「ちゅ……」
「あぅ!?ど、どうしたの」
「ん?青の耳、赤いなぁって……あむ」
澪は耳を甘く噛んだりしてきた。
彼女の柔らかい唇が耳に触れて、恥ずかしさとゾクゾクした何かが染みこむように這う。
今も、澪は俺の耳たぶを甘噛みして、耳の中に舌を入れたりしている。
心臓の鼓動がおかしくなった。
「み、澪……あ、うぁ、んんっ……くすぐったい」
「ふふ、可愛い……寝転がって」
俺は澪に押し倒されるような形で、ベッドに寝転がった。
彼女も俺の隣に寝転がって体を密着させてくる。
ベッドで澪にむぎゅっとされている状況……え、興奮するんだけど。
甘くて蕩けるような匂いがベッド全体に漂い、より肌の温もりが伝わった。
呼吸は乱れて体が震える。
「すぅ……ん……青の匂い」
「ちょ、そ、そんなところ……汗かいているから」
「青の汗は私にとって、良い匂いなの……あ、首筋からも……すぅ……はぁ……あむ」
「ん、んん……あぅ、み、澪……」
澪は首筋に顔を埋めて、匂いを嗅ぐようにキスしたり舐めたりしてくる。
彼女の吐息がくすぐったくて、思わず変な声をあげた。
澪は俺の首筋から顔を離し、俺の目を見る。
「青って、いろいろ弱点あるよね」
「首とか耳は誰だって弱いよ。澪だって……弱いでしょ?」
「え……ど、どうかなぁ?」
澪は誤魔化す様に、顔を俺の胸板に埋めた。
あれ、もしかして……弱点なのか?
もし、今ここで澪の首とか耳を刺激したら……どんな反応をするんだろう。
ゾクゾクした気持ちが強くなって、俺は澪の肩を掴んだ。
「え、ど……どうしたの?」
「澪、いつも俺をからかったり、弱いところを攻撃してくるから俺もちょっといたずらしてみるよ」
「な、何を……きゃん!!」
澪は可愛い声をあげた。
彼女の耳を軽く噛んだからだ。
もちろん、歯を軽くしか立てていないけど……大丈夫かな。
彼女の耳を見てみると、噛んだ部分は赤くなっていなかった。
「あ、青!?わ、私の耳を噛むなんて……」
澪は動揺して少し目が泳いでいる。
こんな時に申し訳ないけど、めちゃくちゃ可愛い。
俺は澪の背中に手を回して強く抱いた後、彼女の耳を細かく舐める。
「ちょ、舐めちゃ……んぅ……こ、こらぁ……あぅ……みみ、敏感だからぁ」
澪の頬は赤く染まり、息遣いもどこか荒くなっていっている。
ぺろっと耳の穴を舐めると、彼女がビクッと震えた。
「あぅ……ああ……あぅ、ちょ……」
「良いでしょ?やめてほしいなら力尽くで離せばいいのに」
「力が入らない……変だよ……あ、あんっ……耳がぐちょぐちょだよ~……や、やぁ、あぅ……」
澪の耳を口に咥えて、舐め上げながら耳の窪みを舌先で愛撫するように触れる。
小さくて可愛らしい耳からも、彼女の甘い匂いが鼻に入ってくる。
澪の体はビクビク震え、俺の服を強く掴んでいる手も力が抜けている。
そろそろいいかな。
俺は澪の耳から口を離し、彼女の顔を窺う。
「み、澪……ごめん、やりすぎたかな」
澪は息を乱して、汗もかいていた。
頬は先程よりもゆでだこのように赤くなっていて、色っぽい。
「はぁ……はぁ……青のばか……ひゅぅ……」
「ごめんごめん……だって、澪があまりにも可愛いから」
「えっち……もぉ……癖になっちゃったらどうするの?」
「こ、癖になっちゃうんだ。へえ~じゃあ……」
「こ、今度は何する気なの……?」
「え、首……だけど」
「首……ほ、本当にお、怒るからね。うなじとか、女の子にとってかなり敏感なところだから」
「敏感……いいこと、聞いたぁ」
俺は澪をくるっと後ろに振り向かさせて、抱きついた。
彼女は驚いてバタバタと両手両足を動かしているが、全然力が弱い。
可愛すぎるだろ、この生き物。
「は、離して!!怒るからね!!あ、青聞いてる!?か弱い女の子を力で、逃げられないように抱くとかずるいから!!」
「落ち着けって。うなじを舐めるだけでしょ?」
「ふぅ……ふぅ……お、怒るからね」
澪はいつもよりも慌てて感情を高ぶらせている。
猫みたいだ。
俺はニヤニヤしながら、澪のうなじに優しくキスをした。
「ちゅ……」
「あぅ……はぁん!!」
耳を舐めた時よりも可愛い声で反応してくれた。
すげぇ……うなじって、こんなに匂いが強いのか。
澪はビクビクと体を震わせて、俺の腕を掴んでいる。
ちなみに、腕は彼女の胸より下に回しているので、大丈夫だぞ。
胸を揉むとか考えていませんよ!!
俺は澪のうなじに舌先をあてる。
「きゃっ!!……あ、青……弱いとこばっかりぃ……」
澪は動揺からか呂律が回っていない。
どうやら、本当に敏感なところのようだ。
今度は舌全体を使って舐める。
「んぁ……あ"っ……んぐっ!?あぅ……なんか、変なのぉ……ん……あぅ……も、もう……おかしくなりゅからぁ……」
「……澪の首って、本当に甘いよね。今度は前から舐めて良い?」
俺はうなじから口を離して、澪を前に振り向かせる。
正面に向き合うと、澪は既に蕩けた表情を浮かべている。
お風呂あがりのせいで火照った肌が艶めかしい。
息を乱していて、俺の背中に手を回しながら静かに抱きついてくる。
「はぁ……んひゅ……あぅ……」
「澪、大丈夫?なんだか、本当にエロ可愛い表情をしているよ」
「あ、青の……ばかぁ……」
澪は俺に抱きつきながら、上目遣いで見てくる。
彼女の目は潤んでいて、体はビクビクと震えていた。
「う、うなじを……あんなに舐めるなんて……ひぅ……すぅ……はぁ……あぅ……癖になったらどう責任を取るの?」
「え……これから澪のうなじをどこでもペロペロしてあげるよ。けど、二人きりの時だからね」
俺は澪を落ち着かせようと、頬に両手で撫でる。
彼女は火照った顔をさらに赤くして俺の背中を叩いた。
「青のスケベ……うなじにあとがついたらどうしてくれるの?」
「澪は俺だけの女だって、みんなにわからせてあげるよ。むしろ、余計な奴から君を守れるからね」
「……じゃあ、首の表面は舐めなくてもいいよね?もう、私疲れたから寝る……」
「俺をベッドに押し倒して、耳とか首をペロペロしてきたのは澪でしょ?」
「そ、そうだけど……こんなに青がペロペロ上手だなんて知らなかったの!!誘ったことは謝るから、もう寝よう?」
「えぇ……じゃあ、澪……少し顔をあげて」
「顔?わ、わかった……変なこと考えていなよね?」
「大丈夫だって……」
澪は俺の言葉に首を傾げながらも顔をあげた。
その瞬間、俺は彼女の首表面に唇を近づけて強く吸った。
「んにゃぁ!!あ……ば、ばか……」
「なんか柔らかい……凄く美味しい」
「は、離れてぇ……お、おねがい……本当にそこは……恥ずかしいからぁ……」
「可愛い……澪の首、白くてスベスベしているね」
「感想とかいいからぁ……あ、ああっ……あ、ああん……あっ、あぅ……」
澪の膝はガクガク震え、上目遣いで見てくる目はかなり潤んでいる。
先程よりも息を乱し、体も熱くなっている。
澪は俺から離れようとはしないが、俺の背中に回していた両手の力が弱くなっていた。
かなりやばいかも……俺は彼女の首から離れた。
「やりすぎた……ごめん」
「はぁ……はぁ……んひゅ……ばか、えっち……スケベ……もぉ、頭おかしくなる……」
澪は俺の横に倒れて、呼吸を整えている。
良く見ると、彼女の首に小さな赤いあとが浮かび上がっていた。
舐めていたはずだけど、いつの間にか吸っていたかもしれない。
まあ、大丈夫だろう。
「澪、今日はもう寝ようか。ちょっと、いろいろやり過ぎたって反省している」
「本当に?……私も青に耳とか首を舐めたりしていたから……だから、おあいこだからね」
澪は俺の胸板に顔をうずめている。
彼女の温もりが胸に伝わり、お互いの熱が高ぶっていることを知った。
「そっか……けど、俺の方が激しかったと思うから、おわびに……ちゅうしよ」
「青……えへへ、嬉しい。青からキスをおねだりしてくれて……じゃあ、はい……ん」
澪は隣で俺に体を擦らせながら抱きついて、可愛らしい唇を近づけてきた。
お互いベッドで寝転がり、体を密着させてキス……可愛い彼女とこんなことをするなんて、以前までの俺が知ったら驚くだろうな。
これも全部、澪のおかげだ。
お互い唇を離すと、俺は澪に優しく笑みを見せる。
「ありがとう、澪。君に出会えて、恋をして……本当に幸せだ。これからも、ずっと側にいてくれ」
「うん……私も青と出会えて良かった。青の彼女になれて……本当に嬉しいよ。青……大好きだよ」
「俺もだよ。澪、大好きだよ」
俺は澪を優しく抱き寄せて、静かにキスをした。
「ん……青、おやすみのちゅうって、いいよね」
「ああ、そうだね。澪、おねだりしてもいいんだよ」
「え、そう?……じゃあ、もうちょっと強く抱いて……舌をよりねっとりと絡めてほしいな」
「可愛いなぁ」
甘えたがりな澪に俺は見惚れながら、彼女を強く抱いて、舌を静かに絡めながらキスをした。
夏祭りで告白して恋人になれた今日、澪と一緒にお風呂、リビング……俺の部屋で一緒に過ごせた今日を忘れない。
これからは、より澪とイチャイチャラブラブしよう。
俺は澪との幸せな日常を楽しみにしながら眠った。
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