刺激的な彼女

 それから数日後、俺と朝日南は街のプールに遊びに来ていた。


 俺達が来ているこのプールは、最近できたばかりで施設がとても綺麗だった。


 屋内の温水プール、ウォータースライダー、波のプール……当然のことだが、混雑している。


 特にカップルが多い。


 高校生から大学生の男女が、イチャイチャしながらプールを楽しんでいる。


 朝日南とプールに来るのは、これが初めてだ。


 だから、彼女とこうしてプールに来られたのは嬉しいし、なんだか新鮮な気分だ。


 ちなみに俺は既に水着を着ているのだが……朝日南はどんな水着だろう?


 彼女の水着姿なんて見たことがないから楽しみだなぁ~。


 というか、柔らかくて大きい胸、くびれたウエスト、スラッとした美脚……どれをとっても朝日南は素晴らしい。


 そんな彼女に合う水着は一体どんなのだろう? 俺は胸をときめかせながら、彼女の水着姿を想像する。


「お……お待たせ……」


「おお、あさ……ひな……」


 彼女の声が聞こえて、思わずそちらに振り向くと……そこには女神がいた。


 朝日南は俺の目の前に立ち、少し恥ずかしそうにして胸の前で手を組んでいる。


 仕草は相変わらず、可愛い……けど、それよりも衝撃的なのは彼女の水着のほうだ。


 てっきり、青、もしくは白といったシンプルなワンピースタイプかと思っていたのに……まさかの、黒い紐ビキニだったのだ。


 彼女の豊かな胸は、その紐に支えられて……支えられていない。


 彼女の胸をより強調させている。


 そして……彼女の綺麗な、くびれたウエストも魅力的で……お、お……お尻もでかい……もはや水着を通り越して、下着のようにも見える。


 え、朝日南って、こんなに……エッチな体つきだったの!?


 ま、周りの視線は……大丈夫そうだ。


 皆、楽しんでばかりなので、朝日南には気づいていないようだ。


「朝日南……その水着、すごく似合っているよ。本当に……エッチで可愛い!!」


「なっ!?」


 朝日南は顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに両腕を抱きしめる。


 き、気持ちが昂って言葉の選択を間違えてしまった。


 けど、可愛い水着だねというサラッとした感想を言うのは、失礼だ。


 それに……彼女の綺麗な肌と黒い紐ビキニの相性は抜群だ。


 朝日南のスタイルの良さがよりわかるし、何よりエロい。


 俺は思わず、朝日南のエロい水着姿をねっとりと見ていた。


 すると、彼女は胸を両腕で隠しながら近づいてきた。


 その表情はとても煽情的で……見ているこっちまで、顔が赤くなった。


「望月君……じろじろ見過ぎだよ?それから、エロは黙っててほしいのだけど……」


「すいません。つい、興奮してしまった」


「っ!?わ、私のこと見ながら……?」


 朝日南は俺の手を握ってきた。


 彼女の手は熱く火照り、心が落ち着いていないのがわかる。


 けど、安心してくれ……俺の方が気持ちが昂っている。


「もちろんだよ……朝日南以外の誰に俺が……興奮するっていうのさ」


「あ、ありがとう……けど、その……恥ずかしい……やっぱり、ワンピースタイプとかシンプルなデザインにすれば良かった……」


「そんなことはない!!普段の制服越しでもわかるぐらい胸とかお尻が大きくて細いくびれも特徴的な朝日南だからこそ、その水着を着れるんだ。だから本当に今の君は最高だよ!!」


「っ!!あおくんって、やっぱりずるい……」


 朝日南はそう呟き、ムスッとした顔見せる。


 そんな表情をされると……なんだか、男としての理性が乱される。


 俺は彼女の肩を静かに掴んだ。


 紅潮した頬とうるうるとした瞳で見つめてくる姿は、本当に可愛いと思う。


「な、なに……?」


「朝日南、ありがとう。俺を喜ばせたくて……選んでくれたんだね」


「っ!?……う、うん。そうだよ。望月君に可愛いって言ってほしくて、選んだの」


「そっか……本当にありがとう。朝日南がここまでしてくれるなんて、俺は幸せ者だよ」


「あ、あおくん……えへへ、あお君にそこまで思ってもらえるなら、私も幸せ……」


 朝日南は花のような笑みを浮かべると、今度は朝日南が俺に抱きついてきた。


「ちょ!?……あ、ああああ朝日南!?」


 おいおい、これは結構大胆じゃないか? あ~、胸板に朝日南の豊満な胸が当たり、形を歪めている。


 マジで柔らかすぎる……え、俺……童貞卒業?


 なんてバカな妄想をしていると、朝日南が俺を見上げる。


「ふふ、望月君の顔、赤いよ?」


「そ、そりゃ……いきなり抱きつかれたら……」


「……ねえ、望月君。私ね……望月君に可愛いって言ってもらえると嬉しいし、望月君になら何をされても嫌じゃないよ?だから……もっと私を喜ばせて?」


「っ!?……あ、あなたは何を言って……」


「ふふ、冗談だよ。でも、望月君が喜んでくれるのは嬉しいな。だから、今日はいっぱい楽しもう?」


 先程まで俺よりも顔を赤くして、取り乱していた朝日南はいつの間にか落ち着いたようだ。


 俺は朝日南に振り回されてばかりだ。


 でも、それが楽しい。


 だから、俺は朝日南ともっと一緒に居たい。


「お、おう……そ、そうだね。と、とりあえず……まずはあまり人がいない温水プールでも……」


「ねえ、望月君?さっきから……心臓の音、凄いよ?ドキドキどころか、ドドドって……本当にどうしたの?」


「こんなにエロ可愛い女の子からいきなり抱きつかれたら、誰だってこうなるんだ!!」


「へぇ~そうなんだぁ。知らなかった~」


 わざとらしい笑みを浮かべている。


 先程まであんなに取り乱す程、恥ずかしがってたくせに……。


「はぁ……思春期の男子高校生は、かなり敏感だということを覚えてくれ。じゃあ、そろそろ……朝日南?」


「……ふぅ……ふ~」


「と、吐息くすぐったいって!!」


「すぅ~……ねえ、望月君鍛えてる?」


「え、いきなりどうした?まあ、最近は鍛えているかな。朝日南と恋人同士になれて、少しでも男らしくなりたいと思ったから部屋で筋トレしているんだけど……」


「そっか……ふぅ……すぅ……ん、結構腹筋が割れてるね。今時の男子高校生でも、こんなにしっかりした体つきの子は、中々いないよ?」


「お、そうか?だったら、鍛えたかいがあるな」


「あとね……さっきから……凄く良い匂いするね」


「ちょ、ちょっと……朝日南!?汗かいているから……」


「うん、汗かいている。プールなのに……それって、私の紐水着のせいだよね?」


「まあ……そうですけど?」


「えへへ……こんな匂い、女の子に嗅がせたらどうなるかわかっているの?すんすん……はぁ……好き、この匂い……く、癖になっちゃいそう……」


 朝日南はより体を密着させるように抱きつき、俺の胸に顔を埋める。


 か、これはいくら何でもやりすぎなのではないだろうか?


 すりすりと淫らに体を摺り寄せてくるし……あっ……甘い……この、砂糖菓子のような匂いはなんだ!?


「あ、朝日南?このままじゃまずいよ」


「くすっ、いいよぉ。なんなら、このまま……二人きりのところに行く?」


「はい!?」


「すぅ……すぅ……んぅ……少し体が火照ってきたかも……ねえ、望月君は今……どんな気持ち?」


 朝日南は上目遣いでこちらに顔を近付ける。


 これは狙っているのか?


 それとも、天然でやっているのか……どちらでもいいか。


 積極的な朝日南を目の前にして、俺の理性は乱れる。


 ど、どうしよう……この前、俺は恋愛には順序があると言った。


 もちろん、それを今でも大切にしている。


 けどさ……俺だって男だ。


「朝日南……俺は……」


「……あ、あの……すいません。ちょっといいですか?」


「っ!?」


 俺は同時に声のした方向を見る。


 そこには、俺達と同い年ぐらいの女の子二人が立っていた。

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