8月 葛飾 綾女

裏口が偶然にも開いていた…ね。ならお昼寝をしていた時に私の部屋に侵入した言い訳を…まずは聞かせてもらおうかな。



…ドアを開けて一歩だけ足を入っただけで気づかれたから実質ノーカン…な訳ないでしょ!?目…そらさないで。あれ?あんた…顔色悪いわよ?…ん。熱はなさそうね。



えっ、気持ち悪い?…はぁ。ちょっと待ってなさい。適当なビニール袋でも…ぁ。



あーあ。昼に何食べたの…は?生クリームがたっぷりかかったショートケーキを10個…!?そりゃあ…誰だって吐くわ。というか、よく食べれたわねその量。



とりあえず…あんたの吐瀉物で汚れた服やカーペットはゴミ袋にでも入れて、眼帯ゴミ館長の部屋にでも捨てておくから…気にしなくてもいいわ。んー…まだゴミ袋ってあったっけ。それと…子供用の服…それは多分あるから、探してみるわね。



別に謝らなくてもいいわよ…気づけなかった私にも多少の責任はあるし。昔ならもっと早いタイミングで…ビニール袋、出せたんだけどなぁ。勘が少し鈍っちゃったかも。



…その話、本当に聞きたいの?はぁ…しょうがないわね。あんたの気分が少しでも晴れるなら…はいはい。まずはその服を脱いでからね。



△▽△▽


——葛飾かつしか 綾女あやめは猟師だった。


「デパート屋上…狙撃ポイントに到着。狙撃銃を出せ。」


「…は、はい!」


私はリュックからバラバラになったライフルの部品を渡す。


「……。」


それが流れ作業のように組み上がっていき、葛飾さんの手の中で狙撃銃が完成して、すぐに胡座をかいて座って、左眼でスコープを覗いた。


「…今の時間は?」


私は、リュックにつけている持田さんのヒビが入っても尚、未だに動き続ける懐中時計で現在時刻を確認する。


「…6時丁度です。」


「…風向きよし。視界は雨で最悪。ターゲットは……いた。橘は…いつもの、用意しておいてくれ。」


狙撃銃の発砲音が響いたと同時に、私は無言リュックから取り出したビニール袋を葛飾さんに手渡した。


「よしヒット…っ。」


さっきまでの凛々しさは消し飛び、青ざめた表情ですぐさまビニール袋を開けた。


「…おぇぇぇぇ。」


凄腕の狙撃手の癖して、生死を問わずに対象を一発撃っただけで生物を殺した罪悪感で嘔吐するくらいに、メンタルが弱い…それが葛飾さんである。



……



数時間後。雨が降る屋上を離れて、一時的に制圧した廃れたフードコートの一角を陣取った。


「…腹…腹が減った。胃の中が…空っぽだ。」


「今……牧田まきたくんが頑張って食料調達をしてますから…」


同時にお腹の音が鳴って…ため息をついた。


「…橘ぁ…ごめんよう。オレの所為で何度かもらいゲロしたよな…」


「い、いえ…もう慣れたから…50発中、8回しか吐かなかったです…よ。」


机に突っ伏していると、何かがこちらに近づく音が聞こえて来て、真剣な表情で葛飾さんが立ち上がり、その方向に狙撃銃を構えたが…安堵したようにすぐに降ろした。


「なんだ牧田君か…びっくりした。」


「その酸っぱい香りといい…その悪趣味な右眼の黄色く濁った眼帯…やっぱり葛飾さんか。」


「そんな覚え方されてたのか…悲しい。」


葛飾さんが少しだけしょげていると、牧田くんは私を見て冷めきった表情から豹変し、目を輝かせる。


「た、た、た、橘ちゃん!!!無事だった!?ぶ、無事だよね?い、生きてる…よ、よかったぁ…すんすん…んん?なんか酸っぱい香りがする気が…あ、まさか…葛飾さんか!!!おい、僕の橘ちゃんだぞ!?!?」


「う、うん…牧田くんも無事でいてくれて良かった。えっと…食べれそうな物はあった?」


「!?あ、ぁぁぁあぁああ、ありましゅ……」


牧田くんは袋に詰めていた缶詰をぶちまけて白目を剥いて卒倒した。



……



3人は座って缶詰を分け合って食べる。


「物凄く腹減ってたから…美味しいなぁ。助かったよ牧田君。」


「葛飾さんは食事しなくてもいいんじゃないですかね…どうせ、それも吐くでしょう?」


「ま…まあ強く否定はしないけど。」


「あ…橘ちゃんはあんな奴よりも沢山食べて下さいね!!なんだったら僕の分も食べても…」


「葛飾さんの事、あんな奴って言ったらダメだよ…私は荷物持ちであんまり皆の役に立ててないから。寧ろ牧田くんが食べた方が…」


「そ、そ、そんな事は…!!!!橘ちゃんがいるから僕はこの地獄を生きていけてるというのに。」


葛飾さんは先に食べ終わって、私のリュックから地図を取り出してさっきとは変わって真剣な顔で眺めていた。


「さて……どうするか。」


「「………」」


現状。私達はリーダーさん達がいるバスと連絡が取れない状況にあった。


「はぁ…あと少しで病院からゾンビにならない様にするワクチンが手に入ったのになぁ。」



『パラシュートは3つ。しがない病弱の死にかけ操縦士にゃあ、あの化物にヘリぶつけて心中がお似合いさ。くはっ…だから、まだ時間があるお前らに日本の未来…任すわ。』



「っ…持田さん。」


「…はっ!?いや僕は君を泣かせるつもりはなくて…」


牧田くんが私の周りでおどおどしている中、葛飾さんは私の頭の上にポンと手を置いた。


「…乗っていたドクターヘリが変異種に襲われても尚、たった1人の犠牲でオレ達3人を生き残らせたんだ……悲しむのは後にし…うっ。」


私は反射的に、懐に忍ばせていたビニール袋を手渡した。


「…おぇぇぇぇぇえ。」


「葛飾さんが1番キツそうなのによく言及できるよね。あー酸っぱ。ちょっと離れよ…橘ちゃんも匂い…ついちゃうよ?」


「……。」


ふと先月に行方不明になった早乙女さんの事を思い出す。もし、あの場でそのワクチンがあれば治せたのだろうか。


「ふぅ…大の大人が情けない所を見せたな…それに比べて橘…お前は強い。その歳でよく耐えれてる。牧田君は…狂ってるから関係ないとして。」


「は?狂ってるって??葛飾さんに言われたくないけど、確かに僕は、橘ちゃんの為なら全てをかなぐり捨ててもいいと思ってるけどね。でもそれは別に狂ってはいないというか、当たり前の反応という奴で……痛っ!?葛飾さん、いくらなんでも、この状況下で暴力はよくないと思うんですけど。」


「話が長い……」



葛飾さんが割れた壁から、暗くなっている外を眺めてから頭に置かれていた手を離して、私の目の前に差し出した。


「…橘。」


「っ、これ使って下さい、後…蝋燭に火をつけますね。」


「頼む…おうぇぇえぇえ……」


「…え!?何で分かったの!?ねえねえ…橘ちゃん〜」


「何となく…かな。なんか慣れちゃって。」


はにかんだ私を、何故か牧田くんは少しだけ顔を顰めて見ていた。


(……どうしたんだろう?)


そんな事を思いながら、蝋燭にライターをリュックから取り出して火をつけていると、渡したビニール袋に嘔吐して落ち着いた葛飾さんが、食べた缶詰を隅に追いやって地図を広げた。


「牧田君…このデパートから近くにある電波塔は?」


「急に真面目になるなあ…えーっと。外周ぐるっと見て回った感じ…北にあるこれだね。」


「…明日。オレと牧田君でデパートに作ったバリケードを全て撤去します。それが終わり次第、牧田君と橘の2人で通信機を持ってそこでリーダーと連絡を取って下さい。」



——オレが囮になります…っぷ。



「…眠れないのか?」


「……はい。」


私は小皿の上に火がついた蝋燭を持って屋上にやってきて星一つない暗闇の中で狙撃銃をいじっていた葛飾さんに声をかけていた。


「…牧田君は。」


「下の階でぐっすり寝てます。」


「……そうか。なら来い。」


私は言われた通りに葛飾さんの隣に座って、蝋燭が乗った皿を側に置いた。


「あ、あの…」


「組み立て…橘もやってみるか?」


「え……?でも、」


「オレにとってこれを弄ってる時が、1番の現実逃避になるんだ。教えてやるから…ほら。」


私はあたふたしながらも、蝋燭の明かりを頼りに部品を持って…組み立てを始める。


「…おい。橘…スコープをつける位置が違うぞ!?」


「…っ。ここですか?」


「ち…違う!!そこには銃口がくるんだ。橘…お前……今までオレの狙撃銃を見てきたよな?」


「…む。ちゃんと見てますよ!!こうですよねっ?」


「はうぁ!?力ずくでくっ付けようとしないでくれ…頼むからっ…」


躍起になって組み立てるのを見て、葛飾さんに部品を取り上げられてしまった。


「…あ。」


「ちゃんとオレの動きを見てくれ…その後、もう一回やってみろ。」


流れゆく川のように手が動き、一瞬で狙撃銃が完成した。


「何度見ても…凄い。私も…その…」


「出来るようになる…か?なら、まずはスコープの位置をちゃんと考える所からかな。」


「…ぐ。」


私の悔しそうな表情を見て、葛飾さんの口元がわずかに緩んだ。


「…橘。もし明日の作戦が上手く行ったら。この狙撃銃をやる。オレには元々使ってた猟銃があるから。」


「え…いやでも、私にはとても…」


「早乙女さんからアレ…託されてるだろ?」


私は驚きのあまり、黙ってしまった。


「地図を出す時に偶然…見えたんだ。で、渡されたからといって、まだ扱えっこないそんな橘にまず、一つだけアドバイスをしよう。」


「……?」


「『芋スナは正義』だ。これはよく頭に入れておけ。この世界において遠距離からチクチクするのは、決して悪ではなく正義なんだ…使い方はまた、今度……教えてやる。」


私はすぐに携帯していたビニール袋を葛飾さんに渡した。


「おぇぇぇぇえ……よ、よく分かったな。」


「でも…今回はかなり耐えれましたよね。」


「ああ。橘や牧田くんが側にいてくれるお陰かもしれない。この場にオレ1人だけじゃないから…安心するんだ。」


そう言われて、ずっと負けっぱなしだった私は少しだけ誇らしげに笑えたのだった。



……



翌日…曇天の空の下。作戦が始まった。


「…ギァァァァア!!!」


「きゃっ。危な…」


近づいて来るゾンビの頭が次々と爆ぜる。


「いっつも吐いてばっかなのに狙撃だけは本当に上手いなぁ。くそ…おいっ、僕の橘ちゃんに半径2m以上近づくなぁ!!!」


狙撃が届かない場所から迫るゾンビを牧田くんは2丁拳銃で、的確に頭を撃ち抜いていく。


「げげっ!?弾切れっ…」


「ガルァァァァア!!!!」


これ幸いと牧田くんの首を抉り取ろうと迫る最後からのゾンビに私は…あの人がしていたみたいに眉間を目掛けて、護身用にと持っていた早乙女さんのマグナムを両手で持って発砲した。


「痛っ…!?」


使い慣れていない銃の反動で腕を痛め、早乙女さんのマグナムを手から落とした。


「…た、た、助かったよぉ!!!!でも…マグナムなんて似合わ…いや、橘ちゃんなら何でも似合うなあ……あ。腕…平気?平気じゃないなら、僕の腕でも移植する?」


「それはいいかな…牧田くんの方は平気?」


「橘ちゃんのお陰でへっちゃらさ。でも…次はちゃんと僕が守るから。」


牧田くんはゾンビが大量に押し寄せる後ろのデパートをチラリと見た。


「…電波塔まであと少し。ゾンビが葛飾さんの吐瀉物の匂いに釣られている間に、さっさと行こうか!!」


「吐瀉物とかは関係ないと思うけど……」


私は早乙女さんのマグナムを拾ってから、牧田くんについて行った。



——◾️◾️ ◾️◾️


オレは田舎の村で猟師の家に生まれた癖して生き物を殺せない…臆病な奴だった。



———いつもビクビクしてばっかで名前が女っぽいよな…お前、女だろwwww


——あっ、緊張してまた吐いたぜwwもっと追い込んだら面白そうだ…


そうやって小学校、中学校、高校と同級生に笑われ続ける日々を送った。そのせいか、心が歪み大学生にも入らず家に引きこもり、親に無理矢理、猟師の道を歩まされた…そんなある日。


『最近現れた…凶暴な人喰い熊をなんとかして欲しい。』という依頼が飛び込んできた。


両親はまだオレが初心者である事を気遣ってくれてオレを1人置いて、その熊が出没する山へと向かった。


その数日後。僕はテレビで両親が登山客を庇って、山であの人喰い熊にぐちゃぐちゃにされたというニュースを聞いて



——吐いた。



葬式でも。親戚や両親に救われた登山客の前でも何度も何度も…吐いた。



…気づけばオレはふらついた足取りで、猟銃片手に両親が殺された山をただ、登っていた。


復讐とか…恨みとか…報酬なんて、そんな陳腐で当たり前な動機じゃない。



……オレはこの後、熊に殺される事よりも、いつも当たり前のように自分の周りにいた人達が唐突に死んだという事実がとてつもなく怖すぎて、ただ…現実逃避がしたかったんだ。



「ガォァァォァア!?!?」


数日間。猟銃で撃っては吐いて、適当な泥水を啜り、野草やキノコを食べてを繰り返し…右眼を抉られながらも、ついに弾が無くなった猟銃で…初めてこの手で生物を殺し、その罪悪感で吐いた。


でもその反面、安堵もしていた。オレはもう2度とこの恐怖に怯えて吐かなくても済むと。これでやっと痴態を晒した親戚や登山客の人達と向き合えると。そう思って下山したら…オレが住んでいた村は


「……は。」



——死臭が蔓延るゾンビで溢れかえっていた。



「……あはは。」


我ながら懐かしい記憶を思い出して、小さく笑った。


「死にたくないのに何故か囮役になって…あの後…デパートで死にかけたオレに救助が来たんだっけ。」


ベチャベチャバチャ…


そうだった。死ぬ事が怖くて、いつもように…現実逃避してたんだ。


『危険になったら、すぐに逃げて下さい。』


昔よりもずっと…心身共に立派になった橘。


『…死ぬなよな。橘ちゃんが悲しむからさ。』


年下の癖にオレに強く当たってきた牧田君。



ベチャベチャボチャベチャ…



「…そうだ。2人を援護しなければ。」



口で言ってはいるが、体は勝手に標的を見定めて、ずっと狙撃を行っている。



いつも橘が渡してくれたビニール袋が恋しい。服にベッタリとついた吐瀉物の酸っぱい臭いが鼻につく。


「ああ…」


屋上のバリケードがとうとう破られてゾンビがゾロゾロと現れる音が聞こえる。


ベチャベチャベチャバチャボチャ…


「怖いなぁ。」


オレは、全弾を2人の援護に使い果たし、研究所に侵入した事を確認すると、いつもの狙撃銃ではない…元々使っていた猟銃で至近距離まで近づいて来たゾンビの顔面を殴り粉砕した。


「…嫌だ。死にたくない…殴らないで…噛まないで…お願いします……傷つけないで。」


リーダー以外は知らない…ずっと隠していた本音が自然と溢れていく。命を奪って行くごとに、ドス黒い血が舞い、吐瀉物が撒き散らされた。


「……嫌だ。嫌だ嫌だぁぁぁ!!!!」


これからも過ぎ去った過去の中でずっと過ごしていたい。リーダーがオレを拾ってくれた時。バスの中でワイワイと楽しんだり、絶望の中でのあの幸せのひと時を。その瞬間を。だから…


「……っ。」


でも…もしオレが逃げて、ここに何者かによって誘導されて集まって来た奴らが、2人が向かった研究所に矛先を向けたら。


「……!?」


突如、焼けるような痛みが襲う。殺し損ねて倒れたゾンビが右足を噛んだのだろう。それを確認する暇も与えずに、左眼を抉られたのか…視界が真っ暗になった。それでも激痛の中、肉体がガンガン削られて、なくなっていく感覚だけがあって…



——あぁ…これはもう……死ん…



『死ぬな葛飾!!!このリーダーが来たからにはなぁ!!』


ここにリーダーは来ない。これはあの時の幻聴だ。それでも…!!か弱いオレに、最期まで勇気をくれた。


「…おォぉ————!!!!!!」


立ち上がる事は出来ない。視界も真っ暗なままで…オレは生き残る未来はもう途絶えた。ならもう……決まりだ。



「…持田のように。オレの両親みたいに。」



せめて、誰かを救って……死のう。



……



『オレが背後から君達を守る。だから振り返らずにただ走れ。』


「…っ!?」


私は巨大な爆発音でびっくりして階段を登っている時に後ろを振り返って、絶句した。


「び…ビルが、崩れて……ぅあっ!?」


転げ落ちそうになる寸前で、私の手を牧田くんが掴んでくれた。


「…ぁ…あ、ありがとう…牧田くん。」


「っはぁー…ま、マジでびっくりしたぁ…き、気をつけて…ここで橘ちゃんも失ったりしたら…僕、耐えられなくなっちゃうから。」


牧田くんは私の後ろにある窓から広がるその光景を見て、吐き捨てるように言った。


「僕が死ぬなって言ったのに…あの狂人が。いくよ…葛飾さんが、僕達をここへ導いてくれたんだ。決着…つけに行こう。」


倒壊するビルの姿を目に焼き付けてから、牧田くんの後について行った。



△▽△▽


まあまあ似合ってるわね…ん?この服?昔…いいえ、これフィクションの話ね。昔、私の事が大好きだった人が、常に制服の上に雨ガッパ姿の私を見かねて…え?



こんな姿じゃ、お家に帰れない?…ふふ。私が保証してあげる。あんたは、どこからどう見てもただの見習いメイドよ。



その反応…少し元気になったみたいで良かったわ。折角だし、見習いメイドちゃんには…洗濯を干すのを手伝ってもらおうかな?


ガシッ。


……これでカーペットを汚した件はチャラでいいわよ。逃げようとした事には、特別に目を瞑ってあげるから。




さて…外には、あ!?物干し竿がなかったからって私の狙撃銃を勝手に…いや何でもないわ。ごめん。急遽、眼帯ゴミ館長に会う用事が出来たから…ここで少し待っててくれる?



…えっ、会いたいの?……ただ不快になるだけだと思うけど…『後ろは任せて欲しい』…バカね。もうそんなの要らないのに…でも。今日はお言葉に甘えちゃおうかな。



ん〜この時間だと、眼帯ゴミ館長は館長室にいる筈だけど私達の行動を先読みしてるかも知れないから、ひとまず壁を伝ってショートカットを……あ、とりあえず私の背中に乗りなさい…はぁ?恥ずかしい?…ふぅん。やめた方がいいと思うけど…はい、じゃあ手を握って?



それなら平気でしょ。これからちょっと走るけど、慣れないメイド服であんたが転倒でもしたら危ないし、なるべく歩幅はそっちに合わせるようにするから…うん。体がガクブル震えてるのに、危険な方を選んだ勇敢なあんたに私から一つだけアドバイスしてあげる。




——これから起こる事に対してどんなに動揺しても、後ろ…振り返っちゃダメだからね?


                   Fin


                
























































































































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エンディングリスト 蠱毒 暦 @yamayama18

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